大人になるのが怖かった20歳前夜の話。
スマホのメモにこんなものが残っている。日付は20歳の誕生日前日、19歳最後の夜に書いたものだ。
これを書いたときのことは今でも覚えている。一緒に住んでいた家族に見つからないように、泣いているのがバレないように、自室で隠れて書いた。普段あまり使っていなかった自分の部屋にはティッシュすらなくて、鼻をすすったら気付かれてしまうから、なるべく上を向いて書いた。赤いパーカーの袖が、涙で黒っぽくなった。
このときは、「大人」になってしまうことが、もう二度と「子ども」には戻れないことが、今いる場所に生涯戻ってこられないことが、どうしようもなく恐ろしかった。子どもでいるまま人生を終わらせてみようか、なんて考えてみるくらいには不安だった。大人になるその瞬間がどうにも耐えがたく思えて、その夜は21時をまわったあたりで無理やり眠ったんだったと思う。
あれから4年が経ったけれど、今の自分は4年前の自分にどんな言葉をかけられるだろう。考えていることは大して変わらなくて、置かれた場所だけが気付いたら変わっている、そんな感覚が近いかもしれない。
「大人」っていうのがなんなのかは、今もまだ分からない。多分そんなものはいないんだろう、なんて薄々気付きながら、でもまだ「大人」にならなきゃいけないつもりでいる。人は何者かになりたがる、多分そういうことなんだと思う。
4年前の自分へ。
あなたの力になれるようなことは言えなさそうです。ごめんね。でも、4年後も同じようなことを考えながら、なんとなくなにかに気付きながら、それなりに生きていられてます。今のところ何者でもないままですが、もがくというほど必死でもないなりに、今日も生きています。だから少なくとも、大人になる前に人生を終わらせようとは思わなくていいんじゃないかと思います。20歳おめでとう。成人おめでとう。
この記事が参加している募集
最後まで読んでいただきありがとうございます。またぜひ遊びに来てください^^