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10. あきらめたらそこで試合終了ですよ…?〜50歳脳卒中で絶賛入院中〜

2022年7月6日49歳の時に脳卒中で倒れ、1週間後めでたく50歳に。
倒れた日の顛末はこちら↓

あきらめたらそこで試合終了ですよ…?

言わずと知れた漫画『SLAM DUNK』の名シーン。湘北バスケ部の監督安西先生の有名なセリフである。って『SLAM DUNK』読んでないんだけどね…苦笑

わたしが脳卒中で片麻痺になり、杖と装具を装着して歩けるようになったけど3歳児並みのスピードだよ…と言った時、「倒れた当初のママを思えば歩いてるだけで奇跡だよ!やればできる!」と娘に言われたエピソードをTwitterに投稿したら、フォロワーさんが教えてくれたのがこのシーン。

『あきらめたらそこで試合終了ですよ…?』
まさに後遺症との戦いってこれ。もちろん何もしなくても脳卒中の症状が治まるとともに自然と緩和される部分もあるとは思うけど、やはりリハビリなしにはここまでの回復はなかったと思う。何せ最初は手も脚もピクリとも動かなかったし、つい3ヶ月前の11月初旬までは車椅子に乗っていたのだから。

今でも「絶対にちゃんと歩けるようになってみせる!」「文字を書けるようになる!」といった強い想いと諦めない心、そして二人三脚で一緒に取り組んでくれる療法士さんたちがいるから、毎日のリハビリも真剣に取り組むし、できることは全てする所存だ。家族の存在、仲間や友達の励ましも大きい。

そう、まさに「あきらめたらそこで試合終了」なのだ。

『SLAM DUNK』第69話より引用

右手で食事?できるわけがない

急性期病棟にいた頃、いつもの担当作業療法士さんが体調不良で、20代の男子がピンチヒッターできたことがある。飄々とした感じの面白い子で「食事って右も使ってます?」と聞く。

その頃わたしの右手はというと、少し持ち上げるのがやっとでまったく役に立たず、当然左手にフォークやスプーンを持って食事をしていた。なので右手で食事?できるわけないでしょ。と思ってた。

ところがその彼、「右手でやってみましょ。最初はできなくていいから。」と涼しい顔していうのだ。えーーーと思ったが、やらずに諦めるのも嫌なので、早速その日の夕食から試してみることに。

久しぶりに右手に持つフォーク。もちろん腕だけでなく指にだって麻痺があるから、持つというより左手を使って右手に握らせた。何とかおかずをフォークに刺して、口元に運ぶ。が、一向に口には近づけることができない。ならばと、口を手元に近づけるが、今度は手が離れていく。

何度やってもその繰り返しで、ついにおかずが口に運ばれることはなかった。わーん、悔しい…。

「できない」という思い込みを捨てる

1日目は失敗に終わったが、そこで諦めないのがわたしの良いところ(自分で言う笑)。翌日も懲りずにチャレンジしてみる。すると前日は口にすら近づけることができなかったのに、3口食べることができた。

できた!できるじゃん!やればできるんだよ!!
たった3口だったけど、麻痺した右手が初めて役に立った瞬間だった。

できることがわかったのは、やってみたから。
「できない」と決めつけていつまでたってもやらなかったら、できるようにはならないんだよな…。と大いに反省した。そのことに気づかせてくれた若い療法士さんには、今でもとても感謝している。

以来、できるだけ右手で食事をするようにし、急性期病棟にいる間にほとんどの食事を右手にスプーンとフォークを持ってできるようになった。

しつこいけど、『あきらめたらそこで試合終了ですよ…?』なのだ。

箸を使ってみましょうか。

急性期病棟から回復期(リハビリ)病棟に移って担当療法士さんも変わったが、主担当が休みの時、今度は同世代の女性作業療法士さんが代わりに入り、「箸を使ってみませんか?使えそうだけどな。」と言われた。

まだまだ麻痺が残っている指先。フォークスプーンならともかく、箸は難易度が高い。でもやってみなくちゃわからない。作業療法室にある補助箸を借りて使ってみることに。

試しにやってみると、思っていたよりもスムーズに使うことができ、第一段階クリア。そして程なくして普通のお箸も使えるように。使えるといっても未だに持ち方も箸捌きもぎこちないし、箸を使って切り分けるといった動作はできないけど。

それでも箸で食べられるようになったことは、わたしにとって大きな進歩だったし、大きな喜びだ。やっぱり日本人だもの。箸でしょ、箸。

できることってなんだろう?

こうして、療法士さんたちのおかげで「できなかったこと」が次々と「できること」に変わってきた。わたしはリハビリに関してはもちろんドのつく素人だし、そのために理学療法士、作業療法士といったプロがいるわけで、ありがたいことに今は毎日何でも確認できる環境にある。

リハビリ病棟に移ってからの半年間、朝6時に起床して9時に消灯するまで、夜寝ている時間以外はリハビリ三昧(自主練含む)の毎日を送ってきた。昼寝している時間なんかないくらい。

今の自分に足りないこと、問題点、対策ややるべきこと。リハビリ中に確認しつつ、自主練のフィードバックを受ける。今の自分にできることは全てやるつもりで。できないと決めつけず、まずはやってみる。

ひよってる場合じゃない。
『あきらめたらそこで試合終了ですよ…?』
安西先生の言葉が頭をよぎる。『SLAM DUNK』読んでないけどねー!

カウントダウンが始まる。

さて、いよいよ2月に入り2月10日の退院までカウントダウンが始まった。
退院当日はリハビリがないので、2月9日が実質最終日となる。
今は2月1日の午後19時。毎日リハビリを受けられるのは、残すところあと8回のみとなった。

脚も手もまだまだ目指すところには程遠い。
でも…絶対にあきらめない。

退院後の通所リハビリ機関も決まり、初診日も決定した。
残り8回で1ミリでも良くなって退院したいし、退院後も可能性がある限りリハビリを続けていきたいと思う。


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