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病名は視床出血〜50歳脳卒中で絶賛入院中〜

2022年7月6日49歳の時に脳卒中で倒れ、1週間後めでたく50歳に。
倒れた日の顛末はこちら↓

脳卒中とは?

脳卒中とは、脳の血管が詰まったり破れたりすることによって、脳が障害を負う病気のことで、脳の血管が詰まる「脳梗塞」、破れる「脳出血」や「くも膜下出血」を合わせた総称のことを言う。

わたしは「脳出血」を起こしたわけだが、40年前におじいちゃんを「くも膜下出血」で亡くし、3年前に母が「脳梗塞」で入院したにも関わらず、脳卒中とは何ぞやということをよくわかっていなかった。いや、普通知らんて、、、。

脳卒中の家系に生まれて〜50歳脳卒中で絶賛入院中〜


自分が一体何の病気で倒れたのか病名を聞けたのは、意識がハッキリしてきた7月20日頃(倒れてから2週間後)だった。一応毎朝主治医の回診があり、最初の頃に説明を受けたのかもしれないが、まったく記憶がない。

もしかしたら母と同じ「脳梗塞」かもしれないとは思ったので、先生に聞いてみると「シショウシュッケツです。」と返ってきた。

初めて聞く病名は「視床出血」

シショウシュッケツ???
初めて聞く病名だった。先生は紙に「視床出血」と書き簡単に説明してくれたが何せまだ発症して2週間。口頭の説明に理解が追いつかない。「ネットで検索すればたくさん情報が出てくると思いますよ笑」と言われ、そうすることにした。

視床出血をググるとたくさん情報が出てきた。
視床とは、脳の奥深い場所の神経細胞が集まったところにある。嗅覚(臭い)以外の感覚(光・音・味・触覚・体の動きなど)を大脳に伝える中継所の役割を担っている。

わたしは開頭手術を受けなかったのだが、それは出血が軽かったからではなく、出血した場所の問題だったらしい。手術しなかったのではなく”できなかった”のだ。視床は脳の深いところに位置し到達が容易でないので、視床出血の場合、基本的に手術は行わない。

視床は小さな部位にたくさんの機能が詰まっており、手術により逆に視床の機能を更に損なう可能性がある。手術をしていない=後遺症が軽いとは限らない。手術でダメージが広がるのを防ぎ、重い後遺症を負わずに済む場合もある。

急性期病棟での治療

開頭手術を受けなかったので、わたしの担当科は脳神経内科だ。(手術をしていれば脳神経外科)

急性期の治療法としては、点滴による投薬治療になる。何の薬が入っていたのか、当時は意識が朦朧としていたので定かではないが、のちに看護師さんが「血圧がなかなか下がらず心配で何度も血圧を測った」と言っていたので、降圧剤は間違いなく入っていただろう。
一般的には、降圧剤の他に止血剤、脳圧降下剤などが使われる。最初の1週間は食事が取れなかったので、栄養剤も含まれていただろう。

24時間点滴につながれ、心拍などを見ると思われる機器をつけ、バルーンカテーテルで排尿管理。オムツを履いていたので、排便はオムツにということだったが口から食事がとれるようになってもまったく気配すらなく、最終的には3週間後に看護師さんに浣腸してもらった。(その後は慢性便秘薬を今に至るまで毎日2回服薬。)意識がハッキリしてきてご飯も食べられるようになり、ようやくカテーテルなどが外された。

便意尿意もだが、排便感覚、排尿感覚についてはずっと鈍い状態が続き、ようやく最近になってハッキリしてきたくらいなので、半年かかったことになる。

ちなみに点滴や採血で、当時わたしの左腕は青あざ&傷だらけだった。血管が取りにくいらしく看護師さん泣かせで、2〜3人やってダメだと研修医がやらされる。だいたい研修医も何度も失敗。その後ようやく成功!となればいいが、最終的には担当医にバトンタッチ。終いには足の甲に点滴の針が通ってるなんてこともあった。

視床出血の後遺症

脳血管疾患の後遺症は、
・麻痺、痙縮…手足に力が入らない、または入り過ぎて突っ張る
・感覚障害…触覚や温痛感の異常、痛みや痺れなど
・言語障害…言語を使ったコミュニケーションが困難に
・嚥下障害…上手く食べられない、噛めない、飲み込めない、むせる
・高次機能障害…思考、判断、記憶、感情などの障害
・排尿障害…排尿反射による頻尿や尿失禁
などがあり、最終的には損傷した部位によって後遺症が決まる。
そして脳は一度、障害を受けて傷つくと元には戻らない。

骨折しても折れた骨は再びつながって治るが、脳はこの組織を再生する能力が乏しい。脳卒中で発生した手足の麻痺などの症状がリハビリで良くなることはあるが、これは元のネットワークが再生したのではなく、別のネットワーク機能が強化され代替しているのである。

視床出血の場合、運動麻痺も起こるが、感覚障害が強く出る。視床が感覚(光・音・味・触覚・体の動きなど)を大脳に伝える中継所の役割を担っているからだ。

また視床出血では左右の目の位置に異常が起きたり、左側の視床出血では言葉をしゃべれなくなることもある。慢性期になると視床痛と言って、出血と反対側の手足が痛くなる場合があり鎮痛薬が効かない。

わたしに起きた症状と後遺症

倒れた直後は、先ほど挙げた嚥下障害以外はほとんど出たと思う。
言語障害で上手く喋ることができなかったし、言葉も出てこなかった。高次機能障害で思考力や記憶力も著しく低下し、看護師さんや療法士の先生ともまともに会話ができなかった。

会話ができるようになってからも、今考えるといろんな後遺症が出まくっていた。例えば、毎日LINEはくるが、返信の仕方がわからない。送信ボタンがない…と真剣に悩んでいた。

麻痺や感覚障害に関しては、今でも後遺症として残っており、日々リハビリをすることによって改善を図っている。わたしは左の脳卒中なので右半身に症状が出るのだが、倒れてすぐは右手足が麻痺して感覚が全くなく1ミリも動かなかった。顔も右半分だけがヒリヒリと痺れ、歯の麻酔を打った後のような感覚だった。

また左右で同じものを触っても右手足だけ異常に冷たく感じる触覚異常や、常にピリピリとした細かい痺れによる不快感がある。

倒れてから半年が経って…

この記事を書いている間に1月6日を迎えた。倒れたのが、2022年7月6日だから2023年1月6日でちょうど半年が経ったことになる。
急性期病棟から回復期病棟に移り、リハビリで与えられた180日のリミットまで残り約1ヶ月。気づけば病棟で一番”古い人”に。

投薬や日々リハビリを行うことによって、症状や後遺症はだいぶ改善されたし「動く」ようにはなった。ただし「動く」のと「使える」のは違うと痛感している。

特にわたしの場合利き手の右手側だったので、箸を使ったり、字を書いたり、パソコンを使うなどができないと「使える」にはならない。
脚の方も然り。今は装具を付け杖を使って歩けるようにはなったが、一人でも電車に乗ったり、人混みの中を安全に歩いたり、横断歩道を渡ったりできるようになる必要がある。

残り約1ヶ月。あとで振り返った時に、あの時もっとできたんじゃないかと後悔するのだけは嫌だ。だからやるよ。いつやるの?今でしょ!!

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