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今年最後の読本「THE GOOD ANCESTOR」私たちは未来の人たちから「良き祖先」と評価されるだろうか?「悪い祖先」と記憶されるだろうか?

今年最後に頑張って読み切ったのがこの「THE GOOD ANCESTOR」でした。今年最後に相応しい本でした。ちょっと長い文章書いてしまいそう。

人生の軸を決めた「地球環境」

中学2年で「環境レポート」を読んだことから、将来の軸として地球環境を守ることを据えたことは以前noteでも書きました。

中学2年で知った「地球を救うための水素社会」を実現するために、2002年に縁も所縁もない神戸市の土木技術職員として就職して早くも20年。今年はとうとうエネルギー政策課長になり世界的な水素社会構築のためのプロジェクトに関わることが出来ているのは幸運というほかないですね。

水素社会の実現は遠くではあるけど見えてきた。でもそれで地球環境が守られるわけではない。もっともっともっともっといろんな分野で人の生活のあり方を変えていかないとダメだと思います。

未来の市民を視野に入れる

この本では、経済成長重視の短期的な思考から脱却して、長期的な思考を持って如何に未来の世代を含めた世代の公平性を保っていくかについて書かれている。

長期思考を阻む大きな要因としてあげられているのが4つの障壁であり、①政治システム、②既得権益、③目の前の危機、④危機感の欠如、です。

②の既得権益はいわゆる短期思考で育ってきた経済ですね。株を1秒単位で売買するアルゴリズムで巨額の金を動かしているとか、一体何やってるんだろ?って思いますね。

③はとても悩ましいことですが、今現在飢餓や暴力で死にかけている人たちがいるという事実です。これはホントに難しい。

①は政治システムの話です。政治家は4年の任期で選挙があります。当然、僕らを取り巻く市長、市会議員、県知事、県会議員、そして国会議員も。この4年しかない任期で再選するためには当然のごとく短期で成果が必要になってきます。実際上記の立場のいろんな人に会って話をしますが、長期的な視野を持っている人は少ないですし、それを実行に移している人はもっと少ないです。これはシステムの問題ですね。

④は危機感の無さってのは殆どの人にあたります。じっさい地球温暖化のニュース聞きながら焦っている人っていますか?クレダさんのように行動起こしている人の少なさをみれば「まあ私の生きている間は大丈夫でしょう」って言うことなんでしょうね。

仕事上で感じたこと

神戸市の職員として都市計画を専門に長くやってきましたが、長期思考の無さはホントにひどかった。
2004年に「車社会脱却のための提案」をした時も、都市計画の上司に「もっとすぐできる案ださないと」って一蹴されました。

あと、まだnoteには記事として書いていませんが、全国で人口減少対応のコンパクトシティを進めるための50年先を見据えた計画(立地適正化計画っていいますが)を策定していましたが、庁内の多くの部署からは「そんな先まで考えられへん」って言われました。まあしっかり巻き込みましたけど。

市議会からは「それは大事!」って言ってくれる人と、「今の市民の財産になんてことするねん」と目先の意見もいただきました。
市民にも「将来のことなんか知らんわ、その時なんとかしたらええやん」って言われたことも・・・
実際この計画はいろんな調整を必死で行いながら踏ん張って先鋭的に進めていたけど、僕が異動した瞬間に・・・(ああ、これ以上はやめとこう)

でも、なんとか動いた案件もあります。
三宮駅前のタワーマンションの規制とか、多井畑西地区に予定されていた団地開発をやめて里山保全に切り替えたこととか。これは市長含め職員も頑張って先を見た長期思考でできた事例ですね。

さて次どうするかな・・・

「THE GOOD ANCESTOR」を読みながら、僕自身が次どうするかな?という思いをずっと頭の中で考えていました。
今は水素エネルギーをはじめとするエネルギー政策や、カーボンニュートラルを実現するための仕事に就いていますがずっとやれるわけでもない。
そして自治体という短期思考が重視される政治システムの中で仕事をし続けることの息苦しさみたいなものも感じています。来年も悩みながら行動していこうと思います。

そして転職することも考えていますが、たぶんこの長期思考で考えて動けるような仕事が良いなあと改めて思いました。

自治体の中でまだやれそうだなと思ったことは、この本に書いてある「未来の守護者(ガーディアン)」を創設するという方法です。

「未来の守護者(ガーディアン)」とは、伝統的な民主主義のプロセスから取り残されている未来の市民(現在の子どもたちだけでなく、まだ生まれていない世代も含む)を代表するという、特別な任務を持った公務員や機関を指す。
例①1993年フィンランドの国会で設立された「未来委員会」
例②2001年イスラエル議会の「将来世代委員」
例③2008年ハンガリーの「将来世代のためのオンブズマン」
例④2015年英ウェールズで「将来世代のためのウェルビーイング法」に基づいて設立された「将来世代委員」
など

僕は常々「自治体が使う住民という言葉の中に将来生まれてくる住民も含めて欲しい」と発信しています。(僕が普段着全然読まない)地方自治法にも第一条に「住民の福祉の増進を図る」と書いています。この条文では今住んでいる市民しか対象になっていないのです。ここをもっと広げて解釈しないと結局短期思考の今だけの施策がはびこってしまいます。

この話をするときいつも思い出すのは北斗の拳のこのシーン(若い世代は知らないよな~w)

なので未来の守護者みたいなのが神戸市でも出来たらいいな~と思いますね。こういう組織が設立できる自治体があったら働いてみたい。外部採用の職員として行きたいな。

いろいろ考えされられた大晦日でした。さてもうすぐ新年。さらにいろいろ考えていきます。

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