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【会社にドローンがやってきた:11】ミッション・インポッシブル?

【前回のあらすじ】独学で最安値で包括申請に通す方法を模索。そこで現実的には資格取得のほうが確実と思うに至る。

(2023年1月)
そんなある日、親会社から通知が届く。

「グループ全体で新年会を開催します」

コロナ下で開催できずにいたが、数年ぶりに復活することになったらしい。これは考えようによっては、チャンスかも・・・。

僕の勤める会社がグループ入りしたのは2年ほど前で、顔と名前が一致する人は、限られたごく一部のみ。

新年会でドローン掲示板の関係者と親交を深めることで、何かが動くかもしれない。この先パイロットが増えるようなことがあるなら、きっとこのメンバーの中からだ。このままでは何も動かない。1ミリでもいいから話を進めたい。

「本社にドローン経験者がいる」という噂も聞いており、それが本当なら是非ともお会いしたい。理想はもちろん社長から資格取得の許可を得ることだが、まずは外堀からだ。このような機会は滅多にない。最大限活用せねば。

事前に通知されていた夕食会場の席次表を見て関係者の席に印をつけ、首を長くしてその日を待った。

実は出発直前まで迷っていたことがある。ドローンを持って行くかどうかだ。手元にあるこの2台の機体は、まだ本当の親の顔を知らない。お披露目を兼ねて飛ばせば、インパクト絶大であることは間違いない。
現場は人口密集地域外。ホテルの許可さえ出れば敷地内、更には食事会場で飛ばすことも不可能ではない。

しかし、それは断念した。今回はドローンのための集まりではない。スケジュールは事前に幹事さんが分単位で計算して決めている。文字通り飛び入り参加などしようものなら、悪い意味でインパクト絶大な結果になりかねない。

そしてついにやってきた新年会当日。

ドローン検定の参考書や雑誌を持参し、仕事中に常に肩にかけている「まごの手」も連れてきた。会社のオンライン会議で視界に入っていたはずなので、わかる人にはわかるだろう。今回は猫の手、いや「まごの手」を借りてでも、関係者に僕のことを覚えてもらわなくてはならないのだ。

総勢200名弱が参加する食事会場で、席次表でマークしたそれぞれの位置に関係者がいることを確認。よし、欠席は無し。

社長席は全体を見渡せる上手中央にあり、周囲はSP・・・もとい、重役席で固められている。ここへ単身で乗り込むのはさすがに無理だ。

乾杯の後、各グループ会社の紹介などのプログラムが進み、ほどよく酔いも回ってきた頃、

「それではしばらくの間、ご歓談ください」

来た、今だ。「ミッションスタート」である。

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