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ざくざく詩作工房

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投稿された詩にアドバイスや批評をしていきます
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記事一覧

ざくざく詩作工房 #5

こんにちは! 今回は、い〜のさんの「8月31日の夜に」を取り上げます。ご投稿ありがとうございます! 8月31日をベースに、空虚さの中にも切実さのある、読み手に訴えかける作品だと感じました。 まず、連ごとの内容が濃く、まとまりがあるなと思いました。連ごとにひとつの作品としても読めるほどです。ただ、それだけに、連と連の連結、つながりが途切れがちな部分が多く、読み手は連から連へのジャンプに頭を使ってしまうかもしれません。(このジャンプは、イメージの飛躍、流れの飛躍とは別物です)

ざくざく詩作工房 #4

こんにちは! 今回は、六名 温さんの「ミミクリー」を取り上げます。ご投稿ありがとうございます! 「ミミクリー」というタイトルがいいですね。「擬態」のこと。 ざくざくとした質感、目の前に尖った刃物を置かれているような緊張感と無機質さがイメージされる作品だと思いました。緊張感も最初から最後まで保たれていて、特に言うべきこともないのでは…と思うくらい完成度の高い作品です。 それでは、みていきたいと思います。 ピクリとも動かないロボット掃除機が落ちてもいない塵埃を感知しては床を這

ざくざく詩作工房 #3

ざくざく詩作工房、第3回です。 今回は、理柚さんのこちらの作品を取り上げます。ご投稿ありがとうございます! 正直に言ってしまいますと、この空気感、とても好きです。語り口が静かで、でも熱さを秘めていて、遠くから響いてくるような。景色も見えてくる、いい作品だと思います。 と、それで終わってしまっては詩作工房の意味がないので、少し細かくみていきましょう。 生温い風 家々からこぼれる 食器のぶつかる音 入浴剤の匂い 騒がしいテレビ たわいもない会話 湿度 室外機から吐き出される倦

ざくざく詩作工房 #2

こんにちは、ざくざく詩作工房第2回です。 今回は、宮永 蕗さんの「中庭」をみていきます。ありがとうございます! 淡々と続く描写がまるで写真のようにイメージされていきます。 語り口調も最後まで緊張感を保っていて、書き慣れているというか、ご自身の中で書くメソッドが出来上がっている方なのではないかと思いました。 特筆すべきひっかかり、流れを止めるものもありません。 あえて、あえて申し上げるなら、一定の流れができすぎていて、読んだ後に残るものの印象が薄くなっているかなと思います。

ざくざく詩作工房 #1

初回です! 早速投稿をいただきました(はやーい!)、ありがとうございます! 元ヤマサキ深ふゆさんのこちらの作品をご覧ください。 まず全体的な印象ですが、花のイメージやひらがなの多さから、あたたかさややわらかさを感じました。最後まで読み終わると、タイトルの意味が分かってくるのもなるほど、と思います。 では、少し細かくみていきます。 私が今 ここにいるのは 物憂げ でもなく 億劫 でもなく この連、特に「物憂げ」のところでひっかかります。相手からの視点、物憂げな、物憂げに、

ざくざく詩作工房、はじめます

前々から、書かれた詩に「ここがもったいないなー」「ここで集中が切れてるなぁ」と思うことがあって、伝えたいけど余計なお世話になりそうで、できずにいました。 最近自分にできることを模索していく中で、それを形にしてもいいんじゃないかという気持ちになり、Twitterでアンケートもとっているところなんですが、やっぱり何がしかアドバイスが欲しいひとはいるんだなと。 そこで、noteのコメント欄を使って作品を投稿してもらい、それをあれこれざくざくと褒めたりアドバイスしたりしてみよう、