見出し画像

酒を辞めるために無駄だった努力(3):お酒を[ちょっとだけ]辞めてみる


■「お酒とちょっと距離を取れば やめられるのではないか」説

小説家のマーク・トウェインは禁煙について「禁煙なんて簡単なものさ、私なんかもう百回以上やったよ」と語った。
私は禁「」については、禁煙外来を使ってすんなり辞めることができたのだが、禁「」についてはマーク・トウェインよろしく、人生の中で何回もチャレンジする羽目になった。

なぜか、お酒をやめようと思ってもうまくいかない


禁煙も禁酒もダイエットも 始めるのは簡単なのだが「続ける」のが難しいもの。なにかしらコツは存在するのだろうか。


■21日間の禁酒チャレンジ

私は飲酒を毎日のようにしていた頃に21日間連続で、禁酒をしてみたことがあった。これは私が35歳の頃で、職場環境も変化し 酒浸りの生活習慣をかえようとして、「酒なしで人生楽しめるようになる」という 自分だけのクエストを 本気でやってみることにしたのだった。ひとまずは21日間、禁酒してみることが目標だった。


【余談】ちなみに、なぜ21日間だったかというと、マクスウェル・モルツ博士の「サイコ・サイバネティクス」という書籍で「新しい習慣を 21日続ければ 習慣になりやすい」というフレーズが使われていたからだ。
なお、少し横道にそれるがこの習慣の定着と21日間続けるという話は、他にも 心理学者 ウィリアム・ジェームズも「(人間の新しい活動が)無自覚的な習慣」となるのに必要な時間として 「21日」という数字を使っている。現代においては 「21日間続ければ…」というフレーズだが、イマイチ科学的根拠は特にないらしい。

21日間チャレンジの根拠は…

しかし、とりあえずのチャレンジの目安としてはいいと思ったので 21日間禁酒をしてみた。


21日間の禁酒の成果は…


当時、35歳で毎日のように酒を飲んでいた私であったが、めでたく禁酒21日間を迎えることができ、21日目には何を感じることができるであろうか?

少なくても、体調は良くなり、夜は 眠れるようになる

ただ、それだけである。

一人暮らしであるため、酒を辞めたところで 当たり前だが誰かが褒めてくれるわけでもない。
煩悩が霧散し、急に悟りを得られるわけでもない。
会社に行けば、仕事と問題は山積み。
そして、世界は変わらず東から日が昇り沈んでゆく。

禁酒をしたところで いつもの日常は続く…

■禁酒の果に見た光景

21日間の禁酒をすることで 何か 私の人生が激変するような「何か」を期待していたが そんな出来事は起こらなかった。

酒を飲むと孤独を忘れるが、飲まないと常に一人であることを感じる。
酒を飲むと悩みを忘れられるが、飲まないと繰り返し悩みが蘇り、自分自身にも疲れてしまう。
酒を友人と飲むと楽しく刺激的な時間を過ごせるが、飲まなければ私生活の話をする機会がない(飲み会は 私にとって他人とコミニケーションをする口実でもあった)。

つまりは「飲みニケーション」が好きだったのだ


酒をやめた後の日常は、【誰もいない荒野】に取り残されたようで、なんだか無味乾燥であった。

私はこの時「酒を飲まないで過ごすと、酒を飲んでいない自分が残る」のだということに気がついた。
今になって思うと 当時の私は「酒を飲んでいない自分」を扱いきれないため、酒を飲んでいたのかもしれない…。

酒を飲まないと 寂しい自分だけが残ってしまうことに気づいてしまう

■「ひとときの自由」と「禁酒の束縛」のどちらを取るか

…さて、21日間の禁酒のあとについても書いておかなければならない。

この21日間の禁酒をすることで私は、酒を飲まないとつまらない孤独な日々が広い荒野のように続くことを知ることができた。
その反面、数百円で酒を買えば、束縛された日常から解放され、思いのままに泥酔できる事も覚えている。
だとしたら、この「ひとときの自由を得るために 酒を飲めばよい」のではないか?
残念なことだが、当時の私にとってはこれしか選べる答えがなかった。

酒を飲むことで
自由になれるなら 飲むしかない…

そして結局、また飲酒する日々に戻ってしまった…。

私は、どうやらお酒を飲む「必要」があるから、(21日間の禁酒をしたものの) 翌日から 再び自分の健康や時間を犠牲にしてまでも 飲酒する生活に戻ってしまったのだった。

■禁酒失敗の経験は無駄だったのか

なお、ここまで禁酒の失敗談を書いた上で、あえて私はこのように書く。
もし、自分の飲酒癖に少し違和感を感じているのであれば、一度くらいは 禁酒をやってみることをお勧めしたい

…ただし、この「お酒をやめてみる」というチャレンジは、高確率で失敗するはずだ。そして、自分の非力さを知ってショックを受けるだろう。

無策で禁酒しても、失敗する可能性は高い

ただ、私にとってはこの「自分の非力さ」と「禁酒時のさみしい荒野のような感覚」を知ることが その後の人生を変える材料になった

酒浸りの生活から 脱出するための「ヒント」を探すようになった

まずは、お酒を辞めるために必要なことは 単に「お酒を飲まない習慣を作る」というレベルの問題ではないということを 自分の体をもって知ることが必要だったのだ。
つまり、もっと【根本的な問題】を解決する必要がありそうなのだ

【根本的な問題】を解決するとはなにか?
ということは これからの記事で書いてゆくことにする。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?