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私は禁煙が出来ない

永遠に何かを無くすのが怖い。
無くせる勇気が持てないのだ。
色々なものに支えられながら、もたれ掛かりながら、日々を抜けてきている。

煙草を吸っている時、昔の男の影響でしょ?と言われると何も分かっていないなと思ってしまう。私は私のせいで男を喫煙者にしたことだってあるのだぞ。……ああ、本当にダサいな。

長生きをする気がないし、少しでも気が紛れるなら、と思ってハタチから始めた煙草は、いつしか車が買えるくらいになるのだろうか。
車なんて要らないし、将来だってそんなには要らない。今を通り抜ける為だけにこの数センチの棒をひたすらに口に運ぶ。

あの日初めて家の裏でこっそりと吸った煙草は、全然美味しくなかったな。