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香港取材旅行~ホラーゲームトリビュート『触手を売る店』の為に

Achamothです。最近ゲーム公開しました。


『触手を売る店』

 見ての通り、アジアン~な、中華~な、なんかそんな感じのゲームです。
こちらはRPGアツマールさんのホラーゲームトリビュートに参加をして作りました。
 詳しい参加概要はコチラなのですが、要は『ヘイ!そこのちょっと目立ってるキミ!みんなで集まって相談しながらゲーム作らないかい!?』というゲームブートキャンプっつーか、夏の合宿っつーかそんな感じで、参加者同士で自由に相談、フィードバックができる場があり、かなりいい経験となりました。

 それで、参加概要にある通り、いくつか特別な追加サポートがありましてどれかひとつだけ希望することが出来るんですね(希望者が多ければ抽選)
 わたしは迷った結果『取材サポート』を希望してみたのですが、見事抽選にあたりまして。
どこに行こうかなーって思ったわけですよ。

 すでに参加するときから、『あー香港ゴシックやりてぇ~』という構想はあって、そういうモノを実際に見られる場所に行きたいなぁと考えたワケです。
 香港ゴシックとは、具体的には攻殻機動隊の街並みとか、クーロンズゲートとかウォン・カーウァイの作品とかそういう、薄汚れた、配管とかウネウネしてて、ネオンだけギラギラしてて、人々の熱い活気と欲望が渦巻いているカオスな感じ……
 どこに取材に行けばいいんだ……と国内でいろいろ検索してたんですけど、もうね、思い立った。
 そうだ、香港に行こう。




 と、いうワケで6月中旬、取材のため香港に行ってきました。
 バンギャル単身弾丸取材旅行。時間は限られているので、キチンと下調べをし、計画を立て、目的を設定しました。
目的は
1.現地の空気・生活様式を肌で感じる
2.資料写真を撮る、景色を見て歩く
3.文化に触れたりする

 の3つ。
これらがどんな感じに取材され、ゲームに生かされたのかご紹介していきたいと思います!


脚を踏み入れてまず思ったのは「暑い!!」ということでした。



 香港は沖縄と同じぐらいの緯度で、季節も四季ではなく雨季と乾季。6月は雨期にあたり、暑く、スコールのような雨も降りやすく、下手すると台風が来たりするんですね。台風が直撃すると日本の比ではなく、全ての仕事は休み、学校も休校、外出禁止になるそうです。
 ちょうどこの前香港台風が話題になってましたね。

 そのため観光のオンシーズンは11月から1月。冬場でもあまり寒くならずに快適に過ごせ、特に年末はクリスマスイルミネーションでただでさえ美しいネオンがパワーアップしているだとか。
 ま、貧乏旅行なのでオフシーズンは逆にありがてぇ!と思ったのですが……歩くだけで滲む汗、立っているだけで減っていく体力、いつまでも纏わりつく湿気はなかなか辛いものがありました。
 植物も熱帯性で、ヤシの樹やトロピカルな花があちこちに。
 この暑さでは普通に生活していたらやってけないからでしょう、もうどこに行っても室内はクーラーガンガンでした。


 一番最初に熱望したのは風景でした。あの、ネオンギラギラ~の、中華と洋風がくっついた妙な雰囲気というか、そういうのは香港にしかないと思ったからです。
 香港はご存知の通りアヘン戦争でイギリス領となり、1997年に返還されるまで英国に統治されていました。中国南部の文化と英国の文化が混ざり合い、独特の風景を領土に築き上げていったんですね。
その光景をまず見たい。そして写真に収めたい、そう思ったわけです。

 そんなワケで一日目夜、ネイザンロードオープンバストップツアーに参加しました。
 香港の人波は凄く、とりわけ繁華街のメインロードであるネイザンロードは歩くだけでも一苦労。そんなところで夜、立ち止まって写真を撮るのは神経つかうので、いっそツアーに参加しました。
 こちらは二階建てのバスに乗ってネイザンロードの中を走るというもので、身近にネオンを感じることができます。



陽気なガイドさんの案内の元、きらめくネオンの中を走ります~



このツアーで撮った写真は貴重な資料となり、マップにも使用されました。


これとか




 もうひとつ、撮りたい光景は香港の街並みそのもので、本来ならばその中でもとりわけ九龍城塞を撮りたかったのですが……すでに今はなし。
 九龍城塞跡地はきれいな公園となっていて、痕跡は全くないそうです。しかし、香港は狭い


 香港は九龍半島香港島からなっているのですが、それで札幌市ぐらいの面積しかありません。そこに、700万人が暮らしているのです。
 九龍城塞は英国統治時代の影という面もありましたが、同時にこの過密都市の表れでもありました。土地が狭いから上へ、上へと伸びていくしかないんですね。ともなれば、九龍城塞が取り壊されようと、そこにヒトがいる限り、第二第三の九龍城塞は存在しているわけです。


 そこで、トランスーフォーマーの撮影にも使われた鰂魚涌に残るマンション……「福昌楼」「海景樓」「海山樓」「益昌樓」「益發大厦」の5つのマンションがアルファベットのEの文字に並んでいる密集住宅を見に行きました。
 鰂魚涌は香港島のハズレにあり、駅も中環(セントラル)から遠かったのですが、地下鉄(MTR)の乗車時間はわずか15分。狭いので移動時間は短く済むんですね~

 英皇道(キングスロード)沿いのマンション(ちょっとテンションあがった)には、普通に人が生活しています。



 ここにヒトの息吹があるのですね。下の通りはお店になっていて、異常な床屋率。あちこちでカードゲームに興じる主婦たちや、ボール遊びをする子供などがいました。




これらの風景はマップや、図鑑のフレーバーテキストに生かされました。



これとか。





 また、印象的だったのが雀鳥花園(バードガーデン)。ガイドブックによれば『小鳥を買うのは香港男性のたしなみでステータス……』とあり、わたしは「ま、昔の習慣を観光向けにしたんでしょ~未だに小鳥を買うのがステータスだなんてそんな」とタカをくくってたんですが。





 もうすっごいの。香港の地元民が、ふつーに小鳥買いに来てたり、自慢の鳥を持ち寄って傍らに置きながら麻雀してたりするし。





 中環はダデル・ストリートのスターバックスは1960年代頃のの喫茶店、冰室(ビンサッ)を模しているんだけど、そこにも鳥かごの意匠があるんだよね。
 昔から香港人は小鳥と共にあったんだなぁと実感しました。


 そう、香港に来て見たかったのは風景だけじゃありません。このような、文化というか、生活習慣を肌で感じたかったんですね。
 そういったものは文献で読んでもやっぱりピンとこないし、想像しがたいものもある。



 香港といえばネオンの街並みだけど、反面、なんとなくIT文化は遅れてて、レトロなパソコンを使っていそうなイメージだった。



バードガーデンのおっさんはおもむろに服を脱ぎ始めるし……



 ところがどっこい、街行く人はみんなスマホを持っていて、ネイザンロード沿いにあるショッピングモールには扇風機ロボットまでいる始末。
 ネオンの通り、すごくハイテク化された街なんですね。
市民の足、地下鉄(MTR)も電子マネー『オクトパス』が一般的で普通の切符を使う人はあまりいない。
でも、オクトパスのチャージ機はすごいレトロだったりしてヤバイんですよ~



 香港の人たちは自分たちを拝金主義だと言い、オープンバストップツアーの司会のおっさんも同じことを言っていた。
 バスの日は6月にしては珍しく晴れていたのだけど、おっさんは「雨が降っても大丈夫。水はお金の象徴。旅先で雨に降られるのはお金が入ってくるということ。香港の人はお金が大好き。雨に降られても喜ぶね」と言っていた。

翌日はわたしも見事雨に降られまくったけど、お金が入ってくると思ってガマンした。



 そしたら、変な傘を差している人をたくさん見かけるじゃありませんか!
 香港にもセブインイレブンは浸透していて、急な雨に降られたらやっぱり傘を売っているんだけど、ビニール傘ではなくセブインイレブン柄の傘。
 きっと広告替わりにしているんだろう。



 それは、この百万ドルの夜景と言われるビル群のネオンのほとんどが広告で出されているのにも関係しているのかもしれない。
 九龍半島と香港島の間にはヴィクトリア港があり、互いの岸辺から互いのビル群を望むことが出来る。毎晩、シンフォニー・オブ・ライツという光と音楽のショーを開催しているのだ。
毎晩だよ、すごくない?




 このビル群は九龍半島からはプロムナードと呼ばれる海岸線を走る大きな道路から見えるのだけど、その途中に映画スターの銅像が並んでいる星光大道(アベニュー・オブ・スターズ)がある。
 香港は映画も有名。ブルース・リーのようなアクション映画から、ウォン・カーウァイのような恋愛映画まで様々。


 こうしてみると、香港という場所は本当にエンターテインメントに富んでいることがわかる。ネオンに映画……百万ドルの夜景。


ごはんもとってもおいしい!




 これらの体験したことは、ゲーム内図鑑のフレーバーテキストで大いに役立たせていただきました!
 ゲームだけじゃない、これからの創作活動、もしかしたら人生にまで!?及ぶような大きな経験をしたと思います。

 何よりも日本に帰ってきて感じたのは「ふいに出る言語が通じるってなんて素晴らしいんだ……」ということで、思わず成田空港入国審査官のおねえさんに雑談を振ってしまった。
 今までは海外旅行をしてもグループ行動だったので必ず日本語は使っていたんだけど、この単独香港取材のときは、独り言でしか日本語はつかわなかった。
 孤独。
 そして自由。誰もわたしを知らない場所、というのは、もはや孤独以上に自由を感じた。



 そんなわけで、(たぶん)一回り成長した我が腕で作ったこのゲーム!
是非遊んでみてくださいね!




『触手を売る店』







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