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【UGDG】ゲーム展示イベント参加のすゝめ【アドカレ】

この記事は、Unityゲーム開発者ギルド Advent Calendar 2020、第2カレンダー23日目の記事になります。
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コスパだけ見れば非常に悪いけど

ゲーム展示イベントなんて。そんなの別に、出る必要ある??
出展費交通費、場所によっては交通費、こまごまとしたディスプレイにも費用はかかる。
イベント出展専用ビルド、接客の如き人の往来、気を使うことはかり知れず。ああ、あのゲームもそのゲームも、別段イベント出展なんてしなくても、売れてるものはゴマンとあるし。このインターネット時代、わざわざ現地のイベントなんて、ナンセンスもいいところ。

それでもわたし、ゲーム展示イベントが好き!!
コスパや手間の換算では、もはや計れぬ実りある経験が現場で待っている。
この間も行ってきた。デジゲー博2020。Covid-19がはびこる現在、11月にして2020年初の現地によるゲーム展示イベントだった。
いつもなら長机半分であるスペースが、ソーシャルディスタンスの為まるまる一枚になっていた。ゲームを展示するのには、これぐらいのスペースがむしろちょうどいいのかも知れない、なんて思いながらいつの通り真っ赤なディスプレイを施して、来場者が訪れるのを待った。

およそ1mのわたしの城に、多くの人が訪れてくれた。その中で、とある人がつぶやいた言葉が大好きなので伝えたい。
「僕たちはこの長机からはじまるんですよ。いや、今もか。この長机で頑張り続けるんですよね」

それは長机の我城、遠くから見える広告塔

わたしのはじめてのゲーム展示イベントはデジゲー博2018だった。当時、unityを本格的に触り始めて半年のわたしはルーキーもいいとこで、誰もわたしのことなど知らなかった。展示したゲームはまだシステム部分しか出来ていなくて、今思えばUIもおざなりな出来だった。
それでも、終わってみればその一回で、とても多くのことを経験した。
検索によってサジェクトされるインターネットと違って、現地では一緒くたに来場者の目に飛び込んでいける。排除もされずピックアップもされず、開場から閉場まで、ただそこにいる。それによって得られる経験やチャンスというものが、現地にはある。

ゲーム業界やその関連企業の方から声をかけてもらったり、名刺を頂いたりした。
それは自己紹介だったりスカウトじみたものだったり、意味合いはその時によって違ったけれど、わたしの作品を見た上で頂く名刺や声というものは、交流会で頂戴するソレよりも更に自分というものを理解してもらった上で差し出されたようで嬉しさはひとしおだった。
中には交流だけで終わらずに、具体的なお話となっていったものもいくつかある。ずっとイベントに参加し続け、人の目に触れ続けたからこそ得られたチャンスなのだと思う。

また、ゲームメディア関係者の方がブースに訪れることもあり、イベント記事としてメディアに載ることもあった。
ゲームメディアに載ることなんて初公開時にプレスリリースを送ってそこでいくつかが関の山、メディアに載る機会を多く得られる、というのは確実にゲーム展示イベントに出展する大きなメリットのひとつだろう。
何度もイベントに参加するうちにおかげさまで主要なネットゲームメディア様のほとんどには掲載してもらえ、雑誌に載ったこともある。
でも、そうね、タイミングとしては、人の記憶は風化していくもの、リリース直前に多く露出した方がより良いだろうからちょっと早まったかな、と思いつつも当初は2019年中にリリース予定だったから致し方がない。

2019年リリース予定とメディアで言ってしまっている記事の図。

得られるメリットはなにも、ビジネス的なものだけではない。
イベントに多く参加しているサークル同士は互いに互いを認知しはじめる。そう、インディーゲーム開発者同士の交流のきっかけにもなるのだった。
イベントで出会ううちにすっかり開発仲間のような関係に、ということは片手では数えきれないほどあった。
ゲーム開発は孤独で辛く、真っ暗なトンネルを歩き続けるようなものだけれど、仲間がいると思えば個人開発でもそれは、ランプのように暖かだ


初のイベント出展だったデジゲー博2018から今まで、いろんなイベントで得たいろんなこと。それが自信となって、今日までわたしは活動と開発を続けていられるのだと思う。

肉体とはこんなにも《言葉》を発するものなのか

メディア掲載のチャンス
ビジネスチャンスの到来
出展者同士の交流

イベント出展におけるメリット上げてきたが、これらにも増してあまりあるものが、ひとつある。
それは……ゲームを遊ぶ人、ユーザー、プレイヤー……彼らの姿を直接見られるということだ。

実際にゲームを遊んでくれた人の声や感想というものは、辛く長い作業が報われる最高の瞬間だ。なるべく多くの人に、楽しくゲームを遊んでもらいたい。ゲームを作っている誰もが願っていることだ。
インターネットで活動をする内は、得られるフィードバックというものは主に文字☆状のものばかりだ。それだけでも本当に、ありがたい。わざわざ文字を書き☆をつけるという行為は、それだけ心を動かしたということ。
特に、感想文やレビューなんてものはどれだけ労力を割くものか。時間と頭を使ってでも、動いた心を書き出したい、それほどのものをわたしの作品で与えられたのなら創作者冥利に尽きるというものだ。

そう、インターネット上で得られるものは、プレイヤーが能動的に表したものだ。プレイヤーが表現しようとして表現した感想だけが、作者の元に届く。ゲーム展示イベントはそうではない。来場者がブースに訪れ試遊を始めたその時から、もうすでにフィードバックは始まっている。たとえ終始無言で一言も感想を言わなかったとしても、ゲームプレイ中の肉体は、雄弁に感想を語っている。

現実に目の前で、人間がゲームを遊んでいる……その姿形から得られる情報量は圧倒的だ。
わたしはスマートフォンで遊べるアプリゲームを作っているが、ユーザーの中にはスマホの画面をやたらと連打する人がいるということを知った。
夢の舞台だった東京ゲームショウでは、チュートリアルが未熟すぎてアテンドでフォローし続ける羽目になり、悔しくて涙をのんだ。ユーザーインターフェースが分かりづらくて、首を傾げている姿はある意味、面白かったと一言いわれることよりも多くの情報を含んでいた。
何度も何度もチュートリアルを作り直し、ユーザーインターフェースを調整した。
デジゲー博2020ではあえて何も説明せずに来場者にゲームを遊んでもらった。遊び方がわからない、という人はほぼいなくなっていた。
ゲームイベント出展により良いチュートリアルとユーザーインターフェースになったと思う。

たくさんのゲーム展示イベントに出展して、プレイヤーそのものをこの目で見てきた。ひとりひとり、老若男女、いろんな人が遊んでくれた。
彼らに本当に面白いゲームを届けたい……
イベントに出展してプレイヤーと触れ合ううち、心からそう思うようになった。最初は自己表現としてはじめたゲーム制作に、ユーザーの為に、という視点が加わった。ゲームイベントに出展したからこそ、より強くユーザビリティーについて考えることになったのだった。

ゲーム展示イベントのすゝめ

手間やコスパでは計り知れない経験……それらを得るには!!

実際にイベントに参加してみよう! レッツトライ!

って言われても……なにをどうしたらいいのかわからないよ?
そんな風に思ってる? 大丈夫、じつはとっても簡単なんです!

①参加するイベントを決めよう!

このご時世、激減しているけれど本来は毎年10ぐらいのイベントが開催されていましてね。何に出てもいい、ビビッときた奴に応募しよう。2019年、わたしも夏コミから東京ゲームショウまで出れるイベントは全部出た。
とはいえ、各イベントはそれぞれ特色豊かで、どれもゲームが展示出来るといえど、ルーツは様々。いわゆる同人ゲームとインディゲームのちがい、なんてものも関わってきたりする。
自分はどのようなルーツを持ったゲームを作っているのか……向き合うと、ビビッと来るイベントが見つかりやすいかもしれない。

また、イベントによっては厳しい審査があることも。けれどその分、審査に通り出展出来れば大きな契機を得るキッカケになる。わたしもインディゲーム制作者として自分で自分を認めることが出来たのは、東京ゲームショウの出展が大きかった。
審査は無く完全なる抽選でスペースが割り振られるイベントは敷居も低く最初にオススメ。わたしも一番最初はデジゲー博から始まった……

以下、わたし自身が出展したことがあるイベント一覧。

【デジゲー博】

日時:11月
場所:東京・秋葉原
インディはもちろん、同人、二次創作もアリの懐がでかいイベント。
純粋なる抽選形式、イベント参加費もお手頃で申し込み方法もシンプル。

【コミケ】

日時:8月と12月
場所:東京ビッグサイト
同人ソフト、通称『同ソ』ジャンルで参加すればゲームの頒布が可能。制作ジャンルによっては別ジャンルになることもあるので注意。
展示会ではなく頒布会なのでなにかしら販売・頒布をする必要がある。
その開催理念からどのようなゲームジャンルでも受け入れる。エロゲからアートスティックなインディまでなんでも来い。
申し込み方法がかなり特殊。

【ぜんため】

日時:夏
場所:岐阜県岐阜市
日本一ソフトウェア主催で主に企業のゲームイベントだがインディも募集している。なんと費用は無料の上受かりやすい。
商店街をひとつまるまるイベント会場にするという、夏祭りと合体した珍しいゲームイベント。楽しい。

【東京ゲームショウ】

日時:秋
場所:幕張メッセ
日本最大のゲームイベント。毎年参加費無料のインディゲーム展示スペースがある。審査があり、全世界から応募されるゲームの中から選ばれないといけない。展示期間は4日間で、当日は辛い。

【ビットサミット】

日時:春
場所:京都・みやこめっせ
日本最大のインディゲーム展示イベントを謳う。高額な出展費がかかる上独特な審査があり、出展難易度はかなり高い。その分、受かれば大きな広報チャンスとなるだろう。

わたしが参加したものは以上だけど、他にも色々あるし海外のイベントに行ってる人も見たことある。
今はちょっと難しいけれど、わたしも海外のイベントいってみたーい!

②ディスプレイを考えよう

ディスプレイは広告塔。実機だけボン、と置くだけだなんてもったいない。ゲームのイメージカラーに沿った布を敷くだけでも違うし、遠目でもわかるようポスターの掲示をするとグッド。
イベントで流しの来場者が訪れるかどうかは、ディスプレイで決まるといってもいいでしょう。長机は我々の城。思う存分世界を構築しましょう!
わたしも、ゲームのイメージカラーである真っ赤な敷布で彩り、メインヴィジュアルを印刷したポスターを掲示していましたが「雰囲気に惹かれて…」と来場者の方に触れてもらうきっかけになりました。

メインはもちろん試遊!
実際の流通と同じ実機で展示するのが一番……スマホゲームならスマートフォン、switchならswitch……ですが
わたしは一番最初のデジゲー博はビルド前のunityエディタで展示したけど問題なかったよ。とにかく遊べればいいんや!!

また、可能であれば来場者のゲームプレイを観察できる仕組みを入れるとなお良し。実機の画面をミラーリングして手前のノートパソコンで映すとか……それ、いいなぁ、頭いいなぁ~!!と思いつつじぶんはやったことない。ないのかよ。次回はやります。


③展示用ビルドをつくろう

ディスプレイと共に展示用ビルドも用意しなくちゃあなりません。
来場者は数多くのゲームがある中、落ち着かないイベント会場でゲームに触れます。なるべく短いスパンで、ゲームの魅力が伝わるものを用意するといいでしょう。

とはいえ、これがなかなか難しい。わたしは毎回無視して通しでプレイすると30分かかるビルドをしれっとおいてます。まぁいいんだよ、遊べれば!!

④インターネットで宣伝しよう

当日、流しの来場者に見つけてもらうのも一興ですが、ここはインターネットでのアピールもかましておきましょう。
思わぬ人が遊びに来てくれるかもしれませんよ!
わたしも毎回、SNSやunityギルドの友人知人、まさかの憧れの方まで遊びに来てくれたりして、楽しいイベントを過ごしております。みんな、じゃんじゃん遊びに来てね!!

⑤会場に向かおう

そして当日、時間を守って会場に向かうだけです。
イベントによっては事前にサークル入場証などが送られてくることもあるのでキチンと用意しましょう。

ね? かんたんでしょ?

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ゲーム展示イベントが好きだ。それはきっとバンギャルの本能だ。
わたし、思うの。現地のイベントってなんか、ライブみたいだなって。
小さな小さなライブハウスで、5組以上のインディーズバンドが行う対バン形式の興行。あの日、わたしは目当てのバンドの為に現地に赴くのだけど、合間に出演する他のバンドも、悪くないじゃん、なんて思って見ていた。
地方へ遠征もした。知らない土地で知らない人と同じ空間にいるのが、なんだかとても面白かった。
また、その土地土地の名物に舌鼓をうったり、絶景を眺めたりするのも一興だった。ライブは時に旅情でもあった。

そして今、今度はわたしが興行に出展する側になった。演じるのはロックじゃなくてゲームなんだけれど、あの時憧れたライブハウスのステージに立つことと、似ていることをきっと今している。

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