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TOO FAST TO LIVE,『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』!!

脚本・監督、宮藤官九郎。
主演、神木隆之介、長瀬智也。
題名『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』。

 もう見るしかないって思った。
 わたし、クドカン世代。青春時代は『池袋ウエストゲートパーク』『木更津キャッツアイ』を見て過ごした。
 あの、エッジの効いたセリフ、何でもないような行動が後々に効いてくる伏線、キテレツな人間関係。最高でしょ。

 その上題名が『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』。
 もう絶対ロックじゃん。グループ魂きちゃってるじゃん。ロックなクドカン出ちゃうよ、もう絶対見るっきゃない!


『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』

平凡な男子高校生・大助は、修学旅行中に交通事故に巻き込まれ死んでしまう。目覚めるとそこは、深紅の空の下で人々が責め苦を受けるホンモノの地獄だった。戸惑う大助の前に、地獄専属ロックバンド「地獄図(ヘルズ)」のボーカル&ギターで、地獄農業高校の軽音楽部顧問をつとめる赤鬼・キラーKが出現。現世によみがえる方法があることを知った大助は、大好きなクラスメイト・ひろ美ちゃんとキスするため、キラーKの厳しい指導のもと地獄めぐりを開始する。


 TOO YOUNG TO DIE。
 これは、もともとは50年代アメリカの族の合言葉である。族、つまりバイクをぶんぶんしてる暴走族だ。
 彼らはライダースジャケットを身にまとい、ハーレー・ダヴィッドソンを乗り回していた……そう、イギリスはロッカーズの前身である。


 50年代の俳優、若くして死んだ俳優ジェームズ・ディーン
 自動車事故で死ぬまで4年間しかない芸歴の中で、スクリーンに伝説を残した男。主演映画、『理由なき反抗』はアメリカの行き場のない若者たちのバイブルとなり、だからこそ彼の若すぎる死をバイク乗りたちは悼んだ。

『TOO FAST TO LIVE,TOO YOUNG TO DIE』
生き急ぎ、若くして死ぬ

 呪文のようにこの追悼の言葉は継がれていき、イギリスのロッカーズへ、そしてパンクスへと渡る。
 なんかもう、このnoteの常連となりつつあるヴィヴィアン・ウエストウッドマルコム・マクラーレンはパンクの仕掛人であるが、その前はロッカーズとテッズを70年代に維持しようとしていた。そして、『Let It ROCK』というテッズのアイテムを売る店から、『TOO FAST TO LIVE,TOO YOUNG TO DIE』という名のロッカーズのアイテムを売る店へ改装していったのである。
(その後、なんやかんやあってパンクの服屋さんを開きました)


日本にもこの言葉は伝わり、原宿の伝説の服屋『CREAM SODA』(現在はミラクル・ウーマンやらピンクドラゴンやらになっているみたい)のロゴにも入っているし
(この服はねぇ、めっちゃくちゃロッカーズでテッズでカッコイイ)


氣志團もそんな名前の曲を出してる。


ハイロウズの『Too Late,Too Die』はこの言葉を茶化したものじゃないかと思う。


さぁ、ならばこの言葉は、まさに正統派ロックにこそ似合うもの。
そう、ロッカーズみたいなさ、ライダースジャケットが似合う男たちに似合う言葉。
例えば武装戦線とか横浜銀蠅とかYAZAWAとか……。


で、『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』も勿論、開始5分でロックが歌われる。歌うのはこの……


あ、赤鬼だ~~~~!!(長瀬智也)

っていうか、曲調もファッションも全部が全部……HR/HM(ハードロック・ヘヴィメタル)やないけっ!!


HR/HMハードロック・ヘヴィメタルとはロックの変化形である。

ギター速弾きとかライトハンド奏法とかそんな、あれですよ。それで、パンクよりもより激しく汚らしく、装飾された服を着た、あれです。
(話すと長いからそのうち記事書きます。たぶん)

え~~『TOO FAST TO LIVE,TOO YOUNG TO DIE』の合言葉、関係なくない……ない、なくなくない……


か、カッコいい~!!やっばーーーい!!
もう、最高!!『地獄図(ヘルズ)』最高~~!マザーファッキャアーー!!


と、一瞬で映画の中へ落ちていきました。
開始5分で始まる地獄の鬼のHR/HMなライブステージ。歌われる歌詞はこう。

俺の右手はジミヘンの右腕
俺の左手はカート・コバーンの左腕
下半身はマイケル・ジャクソン
声は声は忌野清志郎!!

もうね、ロックのいいとこ取り……
いやいやまって、マイケルはポップスターじゃねぇか!!ロックじゃないよ。っていうかマイケルと忌野清志郎は若くして死んでないよ!

いいじゃん。カッコいいんだから。
細かいロックの振り分けとかジャンルとか定義とか、どおってことないのさ!!


もうね、そんな感じ。このはじまりの歌詞こそがすべてを物語ってるし、映画そのものを物語ってる。そう、つぎはぎのめちゃくちゃなミュージカル・ロックコメディーなのさ!
もうカッコ良すぎて地獄に落ちちゃう。
日本の誇るべきギタリストもどしどしチョイ役として出演。もう、こんな愉快で痛快で天国に中指立てるような映画が、日本で作られたことに感謝しちゃう。
今まで割と孤独にロックで音楽以外の創作活動していたから……映画という形で目撃できて本当によかった。



『獄卒によるハードロックバンド』の次は宮藤官九郎、『吸血鬼によるヴィジュアル系バンド』をやるんですよ。

劇団新感線『ヴァン!バン!バーン!!』

もう見るしかないでしょ。チケットは確保済みです。




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