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グラグラのバイタリティ。

どんなにやる気に満ち溢れていても、一つ歯車が狂うと、いっぺんにネガティブ谷の底に落ちて、途方に暮れてしまうときもあるーーー

先週、まもなく2歳の長女がノロウイルスと思われる症状に見舞われた。

加えて、常に登園拒否気味の次男は、それなら自分もと嬉しそうに休み、嘔吐しまくる長女の近くでお腹すいたと1時間おきに訴える手のかかる4歳児。

彼らと平日の丸3日間を一緒に過ごして、すっかり疲れてしまったうえに、3日目には、うっかり油断して私も発症してしまった。毎日夫の帰宅も遅く、とにかくしんどい3日間だった。

そんな状況で、家で様子を見るのが精いっぱいだったし、週末には皆すっかり元気になったので、病院へも行かなかった。

日曜日の夜は、家族でココスに行って晩御飯を食べ、さぁ、明日から一週間始まるね、頑張ろうね、と言いながら子どもたちと眠りについた。

月曜日。家族全員が行くべき場所へ行き、私は延期してもらっていたPTAの集まりに参加したあと、同じく待ってもらっていた広告のいくつかを作って納品し、夕方慌ただしく、長女のお迎えに行った。

このときまでは、私は明るい気持ちでいた。

お迎えの時、長女のクラスの担任の先生から、「娘ちゃん、今日軟便だったの。元気ではあったんだけど、やっぱり病院に行って、先生からもう登園しても大丈夫という診断もらってきてほしい」と言われた。

とっさに心に引っ掛かりを感じて、すぐに返事をすることができず、自分でもわかるほど表情が硬くなってしまった。

その様子に気づいてから、先生は、「娘ちゃんのママはあまり病院に行きたくない主義なのかな?とは思うんだけど、他の子への感染もありうるし、そこからまた娘ちゃんも体調を崩すことだってありうる。娘ちゃんを守ることにもつながるから」と畳みかける。

確かに私は、多少の風邪なら寝れば治ると思っていて、病院にも薬にもなるべく頼りたくない主義ではある。なんちゃって自然派。でも病院が嫌で頑なになっているわけでもない…なんだろう、この気持ちは。

どうやら先生には私が「わが子を病院に連れて行きたくないという理由で周りにも迷惑をかけうる親」と言うふうに映っているのかと察した。それは誤解だ、と言いたいけど、あながち誤解でもないような。

ただ、今回はすでに元気になっていて、食事も普通にできるのに、軟便だというだけで、この時期にわざわざウイルスだらけの病院に登園許可を求めるためだけに行くことに抵抗を感じた。

子を通わせる以上、保育園の意向に沿わなくてはいけないことは頭ではわかっている。もちろん先生たちが悪いわけでもない…

「病院に行かないと、登園はできないということですか」とやっと口を開くと「あくまでお願いであり、強制ではないが、できたら行ってくれたらありがたい」という返答だった。

我が子が登園して先生たちに迷惑に思われるほど辛いことはない。病院には行くしかないか。

帰宅してから、今日は病院はもう間に合わない、行くとしたら明日の朝か・・・とりあえず何度か行ったことのある近場の小児科に連絡して、事情と翌朝診てほしい旨を伝えた。

帰宅した夫にも話した。夫は私のような自然派の考えはないが、園の対応はちょっと過剰なような気もするね、と言った。共感してもらえて少し救われる。

この時、私の頭の中ではこんなことが渦巻いていた。

  • 先週3日も休んだのに…

  • しんどい3日間だった…

  • 在宅ワーカーだからいくらでも休めると思われている…?

  • PTAの集まりや、仕事のミーティングも延期したのに…

  • 子どもがいて働くって、在宅でも楽じゃないな…

  • 今まで仕事たくさん休んできて、逃したこともいっぱいあるのに…

翌朝4:30頃、授乳で起こされ、前夜から持ち越しのモヤモヤで目が冴えてしまった。もしかしたら今日病院に行って、登園できないと言われたらまた休むことになるかもしれない。

そう思ったら居てもたってもいられず、5時からYouTube広告の台本を書き、動画撮影をして7時に長女の泣き声でタイムアップ。

それから小学校へ行く長男を見送り、次男を園に送った後に長女と病院へ行き、登園許可をもらって、また園に戻る。そして、昨日話した先生とはまた別の担任の先生が

「行ってきてくれたんやね。お母さんありがとうね。これからも娘ちゃんファーストで行こうね」

内容は優しいのに、口調の強さに涙腺が決壊した。

娘ファースト?私、娘をないがしろにしてるの?
確かに働きたいのは私の勝手だけど、そのために娘を二の次にしてるってこと…?

人前で泣くのは気まずいし恥ずかしいのに、止められなかった。
娘も不安そうに私を見上げる。見たことのない娘の表情だった。

とりあえず子どもたちの活動もあるし、娘を託して園を後にした。離れたがらなかったので、余計に後ろ髪惹かれながら。一緒に帰ろうかと本当は娘に言いたかった。でも預けるしかなかった。

帰宅してからも、何がそんなにつらいのかわからないが声を出して泣いた。
1時間くらい泣いた。

自分のやりたいことのために保育園を頼っている事実。
でもこんな気持ちじゃもう保育園に娘を預けたくない。
預けずに働く方法はないだろうか。
でも私のやりたい業務は静かに集中できる環境じゃないと厳しい。
やりたいことをしばらく我慢すべきなのか…

少し落ち着いてから、その日締め切りの仕事を終わらせ、ソファで休憩しているうちに眠ってしまっていた。

ぼんやりした頭で自分の考えを整理した。

私、病院のことにとらわれてるみたいだったけど、そうじゃないな。
もっと働きたいのに働けない環境、足りない時間。
仕事で、後から入ってきた人が私がまだ教わっていない広告運用の仕事を教わり始めていることを知って焦る気持ち。
それでも出来る限り子どもに寄り添う母親でいたい思い。そんな葛藤にきっと疲れていたな。

夕方、気まずい気持ちで園に迎えに行くと、先生たちが腫れ物に触るように優しい。

私は悩みを正直に話した。

そして、先生は、コミュニケーションが足りてなかったかな、これからもっと話そう。と言ってくれた。

母親しながら働くこと。
お金を稼ぐためだけと割り切れていたらまた違うのかもしれないが、私は夢を持ってしまった。
食事もいらない、休日も無視してがむしゃらにやりたい、というときもあるけど、そうはいかない。
独身の時の、あの自分のためだけに時間を使える自由さは、今は当然全くない。その不自由さを嘆きつつ、可愛い我が子たちを抱きしめる幸福感。その矛盾。

私は今の私を活かすしかないんだ。このジレンマさえも、仕事に活かすしか。

『アセルチコリンさんの作った広告は、他の人のよりCPA(顧客獲得単価)がいいので、このクライアントさんのも作ってもらえますか?』
社長からのそんな連絡だけで、一気にやる気が戻ってくる。

グラグラで、単純な、私のバイタリティ。
いつかはもう少し強くなれるのかな。



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