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#20 雪隠と留学 [第3部 スペイン編] ep.VIII「つるつる」

郊外の山へハイキングに行った。

 「山」と呼ぶには少し違和感があった。日本人にとってはあまり馴染みのないタイプの山だ。色は全体的に乾いていて、木々も淡い緑で水分を感じない。何よりも土がないのが驚きだ。

土がないのだ。

足元に見えるのは落ち葉と砂利、そして岩肌だけだ。場所によっては滑って転びそうになるくらい大きくてなめらかな岩の上を歩いて行った。

ゴール地点には川があったが、例によって岩に囲まれた岩の上を滑っていく。人体には有害な成分が含まれていて触るのはいいが絶対に飲むなと言われた。そんな川、日本では見たことない。工業地帯の下流というわけでもないのに。

ドイツ人のエヴァも同じことを言っていて、マドリードの天気は良いが、この山には自然を感じられない。エヴァに教えてもらったお店で買ったブレッツェルはバターを塗って食べるととてもおいしかった。

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マドリードのスーパーではなぜか牛乳を常温で売っている。どこのスーパーに行ってもそうだった。札幌で売っている牛乳はブランドごとに味は多少違うが、どれも必ず冷蔵されて売られている。この差は何なんだろう。

殺菌方法に違いがあるのか、単に思考回路停止状態及び思考権利拒否なのかはわからない。とりあえずマドリードで牛乳を買って帰ったらすぐさま冷蔵庫に入れないといけない。味は正直言ってどのブランドもいまいちだった。なんとなく紙パックの匂いが移っている気がした。

札幌で売られている牛乳が加工され過ぎで、マドリードで売ってる牛乳がより自然なものなのか、単純に札幌で売られている牛乳がおいしくてマドリードで売られている牛乳がおいしくないだけなのか、ただただ口に合わないだけなのかはわからない。

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でもパンは美味い。

次回予告『雪隠と留学 [第3部 スペイン編] ep.IX「古都トレド」

現在、海外の大学院に通っています。是非、よろしくお願いします。