ほんの一部スイカ【#毎週ショートショートnote】
ハッ、今気を失っていた様な
気付くと妻がお腹に超音波をあてている所だった。
そうだ、今日は一緒に産婦人科に来たんだった。
「で、どうですか」妻が聞く。
性別でも聞くのだろうか、ぼんやり考えていると医者が答えた。
「多分スイカでしょうね」
「スッスイカ?」聞き間違いかと声が出てしまった。
「頭のほんの一部がスイカなので問題ないでしょう」
「スイカかあ」妻はまんざらでもない様子だ。
診察室を出ると興奮して妻が話し始めた。
「やったースイカだってきっと人気者ね。最近ぶどうが多いじゃない、だから違うのがいいなって思って、でね」
話を遮り尋ねた。「スイカって何?」
「もーまた意識飛んじゃったの?ほら私は」
妻が胸元を見せると、そこには赤いイチゴがあった。
「嫌いな人も多いけど私はあなたのこれ好きよ」そう言って私の鼻をチョンと触った。
思い出した。
どうしても慣れず、熟してくると意識が飛び記憶が曖昧になるんだった。
私の鼻の一部はドリアンだった。
「くっさ」
(411文字)
ドリアンさんごめんなさい。ドリアン好きさんごめんなさい。
見たことも、かいだことも、食べたこともありません。完全にイメージです。
ちなみに最後の「くっさ」は、笑いながら言うイメージです。
娘がなぜか「くっさ」がツボで、いつも大笑いするもんで、そんな楽しいイメージです。
どう言ってもいい訳ですね。いい落ちが見つかりませんでした。
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