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インドの映画館で『天気の子』を観たときの体験談

映画の思い出やエピソードを教えてください!というお題企画があったので、インド赴任中に一度だけ行った映画館での体験について書きます。

当時の同僚でインド人通訳のMさんが「近くの映画館で『天気の子』を上映しているから一緒に観に行きましょう」と誘ってくれました。Mさんの奥様もインド人ですが、彼女も日本企業で通訳をしていて、夫婦そろって日本語が堪能です。

映画館までMさん夫妻の車に乗せてもらったところ、二人は日本語で口論を始めました。かと思えば、Mさんがカーステレオで三木道山の「Lifetime Respect」を大音量で流しながら「一生一緒にいてくれや~♪」と熱唱するという、リアルインド映画のような劇場を目の前で繰り広げていました。

映画館はショッピングモールの中にあり、内装も日本の映画館とほとんど同じでしたが、いくつか驚いたことがありました。

1.映画料金が安い
とにかく料金が安くてびっくりしました。はっきりとした金額は覚えていないのですが、確か日本円で500円~800円くらいだったと思います。日本では2000円近いので、3分の1~4分の1くらいの料金です。

それでも映画館に来るのはかなり富裕層に限られるのではないかと思います。インド人の一般的な職種の給与は日本に比べるとまだまだ低く、オフィス勤務でも年収100万ルピー(1ルピー1.6円として約160万円)あればそこそこもらっているというレベルです。映画料金が安いといっても、普通の人にとってはかなり高額で、気軽に行ける料金ではないでしょう。

2.飲み物やスナックが高い
安い映画料金に比べて、飲食の料金が高い!記憶が曖昧ですが、日本の映画館で購入するコーラやポップコーンの値段の倍くらいだったと思います。それでもインド人の皆さんはケチらずに購入していました。映画館に来たら飲み物やスナックを買うのがマナーという感覚なのかもしれません。

3.上映前に国歌斉唱する
映画が始まる前には観客が総立ちになり、国家を斉唱していました。一応、私も立ち上がって適当に歌いました。

日本では上映前に結婚式場のCMとか、映画泥棒とか、公開予定の映画の予告などが流れますが、インドの映画館で観た禁煙キャンペーンのCMが強烈に恐ろしくて、映画本編より記憶に残っているくらいです。タバコのせいで肺がんになったという男性のやつれた顔と、真っ黒に汚染された肺の映像(※)がとにかく怖くてトラウマものでした。

※YouTubeのリンクをここに貼ろうかと思いましたが、やっぱり怖いのでやめました。ご興味がある方は、YouTubeで”India stop smoking campaign”などと検索すれば似たような動画が出てきます。

4.2時間の映画なのにインターバルがある
「天気の子」の上映時間は2時間弱ですが、前半と後半にぶった切られていて、15分くらいの休憩が入りました。インド映画は標準で3時間なのでトイレ休憩が必要なのはわかるけど、2時間の映画に休憩は要らないよなーと思いました。でも、休憩を入れた方が飲み物やスナックを買う人が増えて映画館が儲かるのかもしれません。逆に、日本でインド映画「RRR」を観たときは、インターバルなしで3時間トイレに行けず、映画終了後にはお手洗いに長蛇の列ができていました。

5.下ネタっぽいところはぼやかされている
映画は日本語の音声に英語の字幕がついていました。主人公の男女(陽菜と帆高)の「どこ見てんのよっ!」「どこも見てねえよっ!」というシーンの字幕は、こんな英訳で意味わかるのか?と思うような微妙な表現になっていましたが、観客には日本語がわかるインド人が多いのか、わからなくてもなんとなく空気を読んでいるのか、笑いが起こっていました。

以上、薄れつつある記憶をたどりながら当時の所感を綴ってみました。

映画が終わって出口に向かっていると、小学校低学年くらいの息子さんを連れたお父さんに「日本人ですか?」と英語で話しかけられました。息子さんが日本のアニメの大ファンで、その日は息子さんにせがまれて映画館に来たそうです。

「天気の子」は、日本人の私が観てもどこかモヤモヤ感が残るラストでしたが、インド人の皆さんにはどう映ったのでしょうか。ちなみに、一緒に行ったインド人通訳Mさんの感想は、「意味がわからない!」でした。

#映画にまつわる思い出

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