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アクセプトでの活動を通して、本当に「やりたいこと」を見つけることができました。【アクセプト・メンバーの声:安藤 岳(あんどう がく)】

私たちアクセプト・インターナショナル(以下、アクセプト)の一員として活動するメンバーの声を届ける本コーナー。第6回目となる今回は、更生保護支援部の安藤岳(あんどう がく)さんにお話を伺いました。


■安藤さん|プロフィール

2019年11月に、学生インターンとしてケニア事業部に参画。2021年7月からは更生保護支援部に異動し、国内の非行少年を対象とした業務に従事。現在は筑波大学国際総合学類、国際政治理論ゼミ所属の学部4年生。


ハードアプローチに限界を感じたことが参画のきっかけ

ー参画の経緯について教えてください

軍事力を用いた強制的な平和創出・平和維持といった、いわゆるハードアプローチに限界を感じたことがきっかけです。

ミリタリー(軍隊)がもともと好きで、「現代の紛争・テロ問題」を扱っているYouTube動画や記事を好んでよく読んでいました。その中で語られている正義じゃないけど、「テロリストに虐げられる人々を、軍事力を用いて救う」というストーリーが純粋にかっこいいと思っていました。

しかし、アフガニスタンで国境なき医師団(MSF)が拠点としていた病院を米軍が誤爆した事件についての記事(2015年)にたまたまたどり着き、軍事力を用いたハードアプローチについて一歩引いた目で見るようになりました。

ハードアプローチだけでは、必ずしも平和創出にはつながらずに、結局のところ、憎悪の連鎖は続いてしまうのではないかと感じたことから、ソフトアプローチにも目を向けるようになりました。

ー最終的にアクセプトに入ってアクションを起こされていると思いますが、そこに至るまでの理由はなんだったんですか?

大学進学後も紛争や平和構築に関心を持ち続けていた中で、それらの分野でソフト面からアプローチしている団体での実務経験を求めていました。

インターネットで「NGO」や「平和構築」といったキーワードを検索すると、日本においてそのような取り組みをしている団体が、アクセプトを含めて、二、三件くらいヒットしました。

他の団体が広報・事務作業を担うポストを募集していた中で、当時は学生主体でプロジェクトを創出・推進していたアクセプトのケニア事業部のポストが、現地の課題解決に直接的に携わりたいと考えていた僕には、魅力的に映りました。

その後、インターン・プロボノ説明会に参加。当時、ケニア事業部にて活動していた学生メンバーの活動に対する熱い想いに惹きつけられ、インターンとして参画することを決めました。

これまでのアクセプトでの業務について

ーアクセプトでの業務内容を教えてください!
 
アクセプト加入当初に所属したケニア事業部では、ケニアの若者ギャングの更生・社会復帰支援に携わりました。具体的には、携帯修理とライフスキルのトレーニングです。経済的に困窮する若者の収入創出を目的として、スマホに関わる技術を高めるとともに、生活を成り立たせていくためのスキルを提供するプロジェクトを約2年間担当し、現地にも渡航しました。

スキルトレーニングを修了した参加者と安藤さん

現在は更生保護支援部に入り、国内における非行少年の社会復帰支援や、社会に向けた啓発活動、犯罪予防のための活動などを行っています。具体的には以下の業務などです。
・新宿歌舞伎町などでの声かけ活動
・新規事業開発のためのリサーチ
・啓発活動(更生保護オンラインゼミ)の運営
・支援対象者とのコミュニケーションの補助

業務における苦労や困難

ー若者の更生支援と言えど、かなり幅広く活動をされてきたのですね。今まで、大変だったことや困難はありましたか?
 
ケニア滞在中、生活自体は苦ではなかったですが、貧困地域の暮らしを毎日のように目の当たりにすることが精神的に辛かったです。滞在時はコロナが流行り出した時期で人種差別を受けることもありました。ロックダウン以降は長期滞在が難しくなり、現地でのプログラム運営も困難になりました。また、現地協力者とのコミュニケーションにおいては、言語と文化の壁を超え遠隔で事業を管理することにかなり苦戦しました。

更生保護支援部で大変なのは、「声かけ活動」における若者との信頼構築です。「声かけ活動」というのは、非行少年が多く集う場所にメンバーが赴き、声かけやニーズ調査をする活動です。彼らが自ら相談に来ることは少ないので、私たちがアプローチし、信頼関係を築いた上で様々な支援策を講じます。

しかし、過去に大人からの搾取を受けてきた若者は特に他人に対する警戒心が強いため、私たちが声かけする時にためらいの気持ちがあると拒否されてしまいます。短期間で厚い信頼を獲得するためには、恐怖心を取り除き、感じよくフランクに話しかけなければいけません。

ただ、人が流動的な歌舞伎町では、過去に声をかけた若者が突然姿を見せなくなるケースもありますし、信頼関係を築いたとしても相談に直接繋がるとも限りません。若者が自分自身の困りごとに気づかず、支援をしても「時すでに遅し」な状態になることもあります。


声かけ活動で配布する物品と相談受付のためのカードを封入する安藤さん(右)


ーそれらの難局をどのように乗り越えられてきたのでしょうか?何か工夫されたことはありますか?

 
書籍で学んだ問題解決や論理的思考を、日々の業務で実践することを意識していました。活動で発生した問題に対してすぐに打ち手を考えるのではなく、詳細な問題の分析を行うことで最も重要な要因を見つけ、その要因への対応策を講じるというステップを踏んでいました。

例えばケニア事業部では、スキルトレーニング後に実際にスマホ修理に取り組む若者が少ないという問題がありました。その時には、技術力に自信がない・ビジネスの始め方が分からない、などの原因を考え、職員とも連携しながら適切な対処法に繋げることができました。
 

アクセプトでの経験を通して、自分のやりたいことを抽象化できた

ー安藤さんご自身で学ばれたことが、日々の業務に生かされていたのですね。この経験を通して何か安藤さんの中で変わったことはありますか?

ソフトスキルに対する目覚めと習得があったのは大きな学びでした。業務を進める中で、問題をどう捉え、解決をどのように進めるか、思考の枠組みを問う姿勢ってすごく大事なんだと感じていました。
また、アクセプトでの経験を通して、自分のやりたいことを抽象化できたと思います。元々は「テロ・紛争問題に携わって実務経験を積みたい」という理由で加入しましたが、活動を続ける中で、自分のやりたいことの根本は必ずしもテロ・紛争問題ではなく、「人生をやり直したい」と社会復帰を志向する人々の手助けをすることだと気づきました。

卒業後は、ビジネススキルの開発に携わる人材育成系の企業に就職しますが、活動を通して抽象化された「やりたいこと」が、自分の進路選択に大いに役立ったと思います。

また、アクセプト卒業後も非行少年の社会復帰に携わり続けたいです。アクセプトでは若者の更生保護を担う職員の補助という関わり方でしたが、社会人になってからは、保護司という非常勤国家公務員に就いて、保護観察処分を受けた少年の相談や支援を、仕事と同時進行で行いたいです。

ー会社自体の仕事もある中で更生保護に注力するモチベーションの根底には何があるんですか?

「誰かがやらないと一生そのままで」といった問題意識はもちろんですけど、僕自身が母子家庭で、多くの方々の援助を受けてここまで育ってきたという実感を持っていることが影響していると思います。自分もしてもらったようなことを、機会に恵まれなかった立場の人たちにもしてあげたいという想いがあり、彼らを支える活動に何かしらの形で関わっていきたいです。


読者へのメッセージ

ー最後に、アクセプトの活動に関心のある方へ、一言お願いします!

学生・社会人問わず、「とりあえず入ってやってみる」ことを勧めたいです。もちろん日々の業務や課題に責任を持って取り組むという前提条件はありますが、折角のチャンスを逃すぐらいであれば、一旦入って、自分のやりたいことを考え直すといいと思います。私は実際にアクセプトでの経験が卒業後に進むキャリアを見つける機会になりましたし、それがインターンやプロボノの魅力だと感じています。身の回りや世界の社会課題に関心がある人は特に、挑戦してみてください。

そして、学生だからこそできる挑戦があることも伝えたいです。私は2020年の春に1カ月間ケニアに滞在しましたが、これは学生ならではの経験だと思っています。もう一つ言えば今取り組んでいる「声かけ活動」も、時間に縛られない学生の身分だからこそできた経験だったと思います。


アクセプト・インターナショナルでは、テロや紛争の解決を目指して活動するメンバーが常時60名ほど在籍しています。「メンバー」と一言でいっても、学生インターンから社会人プロボノ、職員まで肩書きや業務内容は多岐にわたります。各々の経歴やスキルを最大限に活かしつつ、日々業務にあたっています。
 
心に秘めた何かをお持ちの方も、熱意に溢れた方も、私たちと共に「前例を創る」挑戦をしませんか?あなたのご参加を心よりお待ちしております!💪
 
➡️メンバーとして、活動に参加する
 
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