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「自身を客観視する力」や「社会に対する洞察力」。過激化のプロセスや解決策を考える中で、培うことができました。【アクセプト・メンバーの声:服部 可奈(はっとり かな)】

私たちアクセプト・インターナショナル(以下、アクセプト)の一員として活動するメンバーの声を届ける本コーナー。第4回目となる今回は、海外事業局 インドネシア事業部の服部 可奈(はっとり かな)さんにお話を伺いました。

服部さん|プロフィール

海外事業局 インドネシア事業部に所属。アクセプトには、2020年10月からインターンとして参画。主に、オンライン過激化の防止を目的としたインドネシアとの共同プロジェクト「CIORプロジェクト」にて、リサーチ業務を担当する。現在、
東京外国語大学 国際社会学部 東南アジア地域専攻 4年。


インドネシア事業部にて

ー業務内容を教えていただけますか?

グローバルテロリズムにおける一つの要所となっているインドネシアでは、テロを計画して収監されたものの、適切なケアがされずに過激な思想を持ったまま釈放される人が多くいます。アクセプトのインドネシア事業部は、彼らが社会に復帰した時に再び過激な思想や行動に移らないよう、対話や講義、社会との接点構築を通じた各種サポートを実施しています。

加えて、インドネシア事業部では現在、オンライン過激化の防止を目的としたインドネシアとの共同プロジェクト「CIORプロジェクト」に取り組んでいます。その中で私は主にリサーチ業務を担当しています。日本の過激化の事例を踏まえ、要因は何なのか、どのような過程を経てのめり込んでいくのかなどの調査に加え、最終的に成果物として出す動画の作成や拡散の過程におけるリサーチも行っています。

アクセプトでの活動

ーまず、アクセプトに加入したきっかけを教えていただけますか?

国際協力や社会課題、特に貧困・格差の問題に関心を持ったのは、高校の国際科で海外の社会問題について学んだ事が元々のきっかけです。

大学ではインドネシア語を中心に学び、より専門知識や現地での経験を培うために、3年次(2020年の8月)からインドネシアに留学する予定でした。しかし、コロナ禍で結局渡航ができなくなってしまいました。

当初のプランが変わってしまった状況で、できることは何か。自問自答した中で、「大学で学んでいるインドネシア語を活かして国際協力に携わりたい+社会課題の解決のプロセスを知りたい」という想いが強くなりました。国際協力や自身の方向性と一致する団体をリサーチした結果アクセプトを知り、応募して今に至ります。

ー確かに、2020年は多くの学生にとって、当初のプランを変えざるを得ない大変な時期でしたね。困難な状況に負けず、関心の軸でできることに取り組む姿勢、素晴らしいです!そうした中で始めたアクセプトの活動。得られたものはありますか?

2020年は部活動も充分にできず、友人に会うのも気が引ける日々でした。そうした中でも、アクセプトで社会人プロボノやインターン生の方々とオンラインで交流し、意見を交換し合うコミュニティができたのは、喜びの一つです。自身の頭で考えられる範囲というのは、経験値やバックグラウンドによるので、それぞれの視点も吸収できたと思います。

アクセプトの活動では、自身は渡航できていないものの、オンラインで何度かインドネシアの方々とやりとりをする機会がありました。現地の過激化の事例や過激化してしまった人が社会復帰するために求められることなど実情を知り、現地サイドと協働して解決に向けて活動するという実感が得られることは、やりがいだと思います。

また、私の元々の関心は社会課題の中でも特に、貧困や格差の問題にあります。アクセプトに参画した当初は、テロや紛争に関する知識はほぼありませんでした。しかし活動する中で、社会課題は複合的につながっている事に気づきました。例えば、「貧困に陥る→報酬が得られるという理由で、テロ組織に勧誘されて加入→脱退後もどのように更生していくか(経済的に自立していくか)」という問題の流れにおいて、テロ・紛争、貧困など含めた複数の課題が絡み合っていることが分かります。

インドネシア事業部でのミーティングの様子(上段の一番左:服部さん)

思考⇄実務

ー学業や、現在の関心分野について教えていただけますか?

最近は、社会課題を生み出す社会構造に、高い関心を持っています。効率や生産性だけを優先するのではなく、「ポスト資本主義」・「脱成長」といった、人とのつながりや多様性を大事にできる社会をつくる上での枠組みを学んでいる最中です。抽象度の高い事柄について思考を張り巡らすのも楽しいです。

大学では、東南アジアの地域研究ゼミに所属しています。上述した「ポスト資本主義」に通ずる、ゴトン・ロヨン(相互扶助)を自身の研究テーマとして学んでいます。ゴトン・ロヨンとは、共同財産を皆で管理していこうという論理で、インドネシアに根付く地域文化です。家の修繕のお手伝いや災害時のコミュニティ内での助け合いなど、個人の利益ではなく皆との幸せを共につくっていく考え方・行動に、未来へのヒントがあるように思えます。

大学のサークルで、インドネシアの孤児院に訪れた際に

教育は、社会課題を解決する上での根幹

ー社会課題への関心やアクセプトの活動をふまえて、今後の進路について伺っても良いでしょうか?

大学を卒業後は、教育業界での仕事に携わる予定です。現場レベルの実態を把握しつつ、実務と思考の行き来をすることで、教育の社会課題を解決すべく活動していきます。机上の空論で終わらずに、実務にアイディアや解決策をどれほど落とし込んでいけるかが楽しみです。

ー なるほど。社会課題の中でも、特に教育分野を選んだ理由はありますか?

例えば、アクセプトの活動分野であるテロ・紛争問題で言うと、「いかに自身を客観視できるか・社会の仕組みについて理解を持てるか」が、過激な思想や行動に至るかどうかの分かれ道だと考えています。そうした点でも、「客観視できる力」を教育で培う事ができれば、長期的な視野から悲劇を生み出さずに済むのではないかと。まさに教育は、社会課題を解決する上での根幹だと思います。

子どもたちが既存の考え方に捉われずに、新しいものを生み出していく。そうした動きが社会全体で進んでいけば、包括的な社会課題の解決につながると信じています。

アクセプトでのインターンを検討している方へ

最後に、アクセプトでのインターンを検討している方に向けて、ひとことお願いします!

アクセプトは、より良い社会をつくっていこうと、熱い想いを持って活動するメンバーが多くいる稀有な団体だと思います。「何か少しでも貢献したい・役に立ちたい」という気持ちがあれば、そこまでハードルを高く持たずに、まずは説明会やイベントに参加してみるのはいかがでしょうか?想いを共にしている方であれば、参画後も充実感を得ることができるはずです!

ー特に、海外事業局に関心のある方へ

また、アクセプトは、テロ・紛争でいわゆる加害者となった人々を対象とするため、活動への一般的な理解や共感を得る事が難しいです。しかし、過激な思想や行動に至るプロセスを分析したり、そうした人々が武器を置いて社会で生き直す為の解決策をロジカルに考える中で、「自身を客観視する力」や「社会に対する洞察力」を獲得できるなど、得られるものは大きいと思います。


アクセプト・インターナショナルでは、テロや紛争の解決を目指して活動するメンバーが常時60名ほど在籍しています。「メンバー」と一言でいっても、学生インターンから社会人プロボノ、職員まで肩書きや業務内容は多岐にわたります。各々の経歴やスキルを最大限に活かしつつ、日々業務にあたっています。
心に秘めた何かをお持ちの方も、熱意に溢れた方も、私たちと共に「前例を創る」挑戦をしませんか?あなたのご参加を心よりお待ちしております!

➡️メンバーとして、活動に参加する(2022年8月現在、インドネシア事業部のポスト掲載は実施していませんが、募集は行っていますので随時ご相談ください:info@accept-int.org)









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