第一話~数の概念と数値化の危険性~
はじまり
小学校にあがりたての双子の姉弟、はるかとはるきは、エレベータを待っていた。一階に降りて外に遊びにいくためだ。エレベータホールの壁には現在エレベータの箱がある階が表示されている。
定員超え
ついにエレベータの箱が到着し、扉が開く。箱の中には、小学校低学年の子どもが6人乗っていた。はるかとはるきが乗り込もうとすると、箱に乗っていた子どもたちが叫んだ。
子どもたち:このエレベータの定員は、6人だよ。満員だから乗れないよ。
確かにエレベータの定員は6人と書いてあったが、箱の中のスペースには余裕があった。はるかとはるきが静止を振り切り乗り込むと、箱の中にいた子ども達は二人を押し出し、閉めるボタンを押下したため、結局二人は乗り込むことができなかった。
仕方なく、はるかとはるきは次のエレベータを待つことにした。一度一階に降りたエレベータははるかとはるきのいる階を通り越し、上へ上へと昇って行った。誰かが一階で乗り込んだのか、それとも、上の階の人がエレベータを呼んだのか、それは待ってみないとわからなかった。
積載超え
エレベータの箱がはるかとはるきのいる階に到着し、扉があくと、今度はお相撲さんが3人乗っていた。はるかとはるきは目を疑った。なぜ、マンションにふんどしを巻いたお相撲さんがいるのか。せめて浴衣くらい着ていて欲しかった。
はるかとはるきがエレベータに乗り込もうとすると、お相撲さん達は奥に詰めてくれて、二人が乗れるスペースを確保してくれた。しかし、二人が乗り込むとエレベータから警告音がなった。定員オーバーである。確か、このエレベータの定員は6人。お相撲さん三人と、子ども二人だから定員を超えることはないはずであったが、はるかとはるきは諦めてエレベータから降りることにした。
はるかとはるきは、諦めて一度マンションの自宅に帰った。二度もエレベータに乗れなかったこともあるが、何よりふんどしを巻いたお相撲さんがマンション内をうろうろしていることにショックを受けたためだ。何かがおかしい。
数の概念と数値化の危険性
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