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停滞が嫌い

あと半月もすれば2年住んだこの街を引っ越すのだが、住めば都というのはよく言ったものだなと思う。
初めはあんなに馴染めず、道行く大学生を睨んでいたほどだったのに、今じゃだいたいどこに何があるか把握しているし、何時に道が混むかも、どの道が危ないかも、どのコンビニの店員が愛想が良いかも知っている。
最寄駅からどこまで行けるのかも調べずにだいたいわかるし、最初はちんぷんかんぷんだった京成線、京葉線、総武線、総武線快速、千葉都市モノレールなんかもバッチリだ。
別に覚えようと躍起になって覚えた訳ではなく、いつの間にかこのように覚えていて、もうなんのストレスもなく行動できるというのが凄いことだなと思う。
そう思うと同時に、潮時かなとも、なんとなく思った。
そろそろ違う街に行く時が来たかもしれないと思った。
言語化しづらいが、「ただ慣れている」「友達がいる」という理由だけで「この街が一番住みやすい」とは言いたくないのである。
なんていうか、安心して、安定して、安寧して、真綿に包まれてフワフワしているような生活をしていると、どんどん腐って膿んでいくような心持ちになる。
宮城から沖縄に行き、沖縄から千葉に来た。
一年おきにバイトを変えて、色々なことを嫌いになり、好きになってきた。
どうやら、私は「停滞」が嫌いらしい。
都内の電車に乗って過ぎ行く住宅街と高いビル群、汚い路地裏を見ていると、その停滞感から一時的に逃れることができる。
だから私は電車に乗るのが好きだ。だから私は東京が好きだ。

そろそろ次の街へ行く準備をしなければならない。

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