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エマの走り書き


海外生活で決めたことについて

 私は海外生活をしている。イギリスの大学に正規留学して、異文化の中で生活を始めて2年目に突入した。
 この前映画館に Beetlejuice Beetlejuice を一人で観に行って、決めたことがある。それは、一週間に一度は外で映画を観よう、ということ。うちの大学には2つほどの映画サークルが二つある。毎週月曜日と火曜日、時たま木曜日に映画観賞会を催すので、生徒は無料で見られるのである。見たい映画を企画していたらそちらへ、違っていたら映画館にお金を払って観に行こうと思った。

 正直、海外にいると日本にいた時のような生活ができるわけではない。少し恥ずかしい話だが、私は日本で夏を過ごしている間、不摂生な生活をしていた。朝遅くに起きて、スタバに行く。夕方近くなるとバイトが始まるので、バイト先に行く。5時間近く働いて、夜遅くに家に帰る。そして良くないとわかっていながらも、布団に携帯を持ち込んで動画を見て、眠りにつくのだ。その間、何かを成し遂げたわけでも、新しい発想を得たわけでもない。時たまそういう変哲も何もない生活に嫌気がさして、映画を見に行ったり、バイトがない日は積極的に母と夕飯を食べるようにしていた。
 しかし、再び海外に戻ってきてふと思ったのだ。私はこの4ヶ月何をした?私は町に買い出しに行く道中、母に電話をかけながら不覚ながらも泣いてしまった。何もしなかったよ、と泣く声を聞きながら母は電話の奥で笑っていた。バカにする様な笑いではなく、私の成長を垣間見ることができたと、娘の成長を喜んでいた。
 日本での夏は本当に楽しかった。高校の友人たちとプチ同窓会をしたり、出雲に旅行したり、伊勢に行ったり、ディズニーシーの新エリアにも入った。美味しいご飯もたくさん食べた。基本、バイトと家とスタバの往復だったとはいえ、かなりいろんなところに出かけたと思う。
 だけど、友人に会って思ったのだ。あぁ来年はこうは行かないんだなと。私はまだだが、先輩や元同級生は就活だ、どこに内定が決まった、決まらない、などの話をしていた。私と同じように海外に出たうちの一人は、大学卒業後は日本に帰国すると語っていた。きっと来年は集まってもこんなふうに賑やかに話して、高校生に戻った気分は味わえないんだな、私は帰宅してから毎度のようにそう思っていた。きっと今年の夏が私にとって半分子どもでいられる最後の夏だったのだ。今年の夏は今まで経験した夏の中で一番寂しい終わり方をした。

 いつまでも子どもは子どものままではいられない。さつきとメイがトトロに会えなくなる感覚に似ている。私のトトロは思い出の中の生き物になったのだ。



 今回はいつもと少し違った雰囲気の記事です。気の向くままに書いてみました。

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