【患者のための漢方薬入門②】漢方薬を薬局やドラッグストアで購入する場合
「患者のための漢方薬入門①」では、漢方薬膳マイスターである筆者が、漢方薬がどんな薬かをざっくりと説明しました。
今回は、「実際に漢方薬を利用してみたい」という方のために、漢方薬を薬局やドラッグストアで買う方法について、患者の立場から説明して行きます。
漢方薬は、西洋薬と同じように薬局やドラッグストアで購入が可能です。ここでは、漢方を薬局で購入するメリットやデメリットについて解説。さらに、「漢方薬局」といって、漢方薬を専門に扱う薬局についても紹介します。
漢方薬を薬局やドラッグストアで購入するメリット・デメリット
漢方薬には市販されているものあるので、薬局やドラッグストアなどで購入できます。
今の所、ほとんどの漢方薬は「第2類医薬品」といって、風邪薬や胃腸薬などと同じ分類に入るので、自分で選びそのままレジで購入することが可能です。
他の医薬品と同じく、薬の選び方に迷ったときなどは、薬剤師さんに相談することもできます。薬剤師さんはいわゆる漢方の専門家ではありませんが、漢方薬については一通り患者さんにとって必要な知識を持っています。飲み方や選び方について、わからないことがあれば相談しましょう。
薬剤師さん向けには、「漢方薬・生薬認定薬剤師制度」という漢方薬について一定の研修、試験を通過した方を認定する制度もあります。この資格を持っている薬剤師さんに相談できれば、さらに安心ですね。
薬局やドラッグストアで買うメリットは、何と言っても手軽さです。風邪薬として知られている「葛根湯」などは、わざわざ病院に行かなくても手軽に入手できるので、利用している方も多いのではないでしょうか。
薬局やドラッグストアなどで手軽に買える漢方としては、風邪(引き始め、胃腸風邪、しつこく残る咳、痰がからむ咳など、風邪の状態によって数種類の漢方があります)、花粉症などの鼻炎、便秘、更年期障害、二日酔いなどの薬です。イメージとしては、「病院を受診するほとではないが、市販薬で改善でいればいいな」というときに利用する感じです。
漢方薬を薬局やドラッグストアで買う場合のデメリットもあります。
第一に、薬局やドラッグストアで売っているのは、あくまで一般医薬品としての漢方薬なので、取り扱いがある漢方の種類も限られています。
また、すでに病院で治療を受けている疾患や、重篤な症状などには服用が推奨されていません。
他の市販薬と同じように、一定期間飲んでも症状が改善しない場合は、すみやかに服用を控え、薬剤師さんに相談するか、病院を受診することが必要にとなります。
漢方薬局とはどんなところ?
薬局の中には、「漢方薬局」といって、漢方薬を専門に取り扱っている薬局もあります。
漢方薬局といえば、街の片隅にあって、「子宝相談」「精力増強」といったのぼりが上がっていて、店のショーウインドウには、生薬の瓶詰めなどが並んでいる…という、ちょっと怪しいイメージがありませんか?
実際、私も最初は足を踏み入れるのに少し勇気が入りました。もちろん、今では普通に入ることができますが、漢方薬局については、ある程度事前に予備知識があったほうが良いかと思うので、漢方薬局とはどんなところかを紹介したいと思います。
漢方に精通した薬剤師さんがいる
「漢方薬局」を掲げている薬局は、基本的に薬剤師さんの中でも国際中医師の資格をもった薬剤師さんなど、漢方に精通した薬剤師さんがいます(医師が在籍しているところもあります)。漢方の専門家がいるかどうかは薬局のHPでもわかりますし、以下のページなどを参考にするといいでしょう。
漢方薬局の最大のメリットは、漢方の専門知識のある薬剤師さんに薬を選んでもらえること。多くの場合、時間をかけて問診・カウンセリングなどを行い、薬を選んでもらえます。
漢方薬局の利用の流れ
ここでは、実際に漢方薬局を利用する際の流れを紹介します。東京、大阪と20軒近くの漢方薬局を利用したことがありますが、どこも大体流れは同じです。(もちろん、すべての漢方薬局に当てはまるわけではありません)
1.予約
漢方薬局の最大の特徴は、「相談(もしくはカウンセリング)」といって、漢方薬を選ぶために、患者さんの症状や体調などをじっくり聴く時間をとってくれることです。
そのため、初めて訪れる場合は、事前に電話をして相談できる時間を予約しするのがベター。。
もちろん、予約無しで行ってもかまいませんが、他の方が相談されている場合、待ち時間が生じることがあります。
2.相談(カウンセリング)
漢方薬局の相談(カウンセリング)では、現在困っている症状、体質、食生活などの生活習慣などを細かく聞いて、適した漢方薬を選んでくれます。薬局では、患者さんのカルテを作ってくれるので、薬の服用履歴なども含めて、その都度適した漢方薬を選んでくれます。
できればこのときに、薬代など、金銭的な希望も相談しておくと良いでしょう。
3.処方&会計
カウンセリングが終わると、薬を選んでもらえます。この時、漢方薬局によっては、漢方薬を瓶や箱単位で勧めてくる場合が多いですが、希望すれば「10日分」などと、一日単位で処方してくれます。(こちらが言わないと、まとめて買わされる場合があるので注意が必要です。)
薬が合わないという可能性もあるので、できれば最初は7日から10日分くらいを出してもらうのが理想です。
漢方薬局でもらう漢方薬は、医療用ではありませんが、煎じるタイプの生薬などは、粉薬よりは高価なので、一日あたり数百円がかかることもあります。
煎じ薬と粉薬、どちらが良いかと言う問題ですが、もちろん効き目の面からは煎じ薬がおすすめです。
ただし、煎じ薬はなんといっても時間をかけて煎じる(煮出す)必要があり手間がかかります。また、煎じるとわかりますが、家中にものすごい漢方薬の匂いが充満します。
さらに、煎じ薬は配合されている生薬の種類によってはかなり苦いものがあるのも事実。「良薬口に苦し」とはいいますが、お子さんなどにはハードルが高いかもしれません。
続けて飲むことが大切なので、面倒だという方や味や匂いが苦手という方は、粉薬になっている漢方薬を利用することをおすすめします。
漢方薬局はどんな人におすすめ?
漢方薬局の最大の特徴は、相談にじっくりと時間を掛けてもらえる点です。また、薬が効いているかの確認や、薬の変更の相談にも柔軟に対応できるので、便秘、疲れ、不妊相談、体質改善など、慢性的な症状を改善したい方におすすめです。
特に、不妊を始め、月経前症候群、更年期障害といった婦人科系には漢方がとても相性が良いです。「病院に行くほどでも…」という方は一度漢方薬局に相談してみるといいでしょう。
また、「ドラッグストアなどの漢方薬を飲んでみたが、イマイチ効き目が無かった」「そもそもどの薬を選んだら良いのかわからない」という方も、自分にあった薬を知るという意味で漢方薬局を利用してみるのもアリかと思います。
あちこち漢方薬局を回って感じたことですが(あくまで個人の感想です)、漢方薬局の薬剤師さんは個性的な方が多いです。
「病院で処方される漢方はデタラメだ」とかかなり強いポリシーを持っている場合や、こちらの予算を考えずに漢方薬だけでなくいろいろな健康食品などを勧めてくる方もいます。
そのあたりは、当たり外れとしか言いようがないのですが、合わない場合はきっぱりと断わる勇気も必要ですね。
私は病院でもらっている漢方がなくなったけど、病院に行く暇がない、というときなどに「◯日分△△という漢方薬をください」という形で、完全ご指名制で利用しています。「病院で一度処方してもらって飲んだことがある」という風に言えば、快く処方してくれますよ。
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