行動経済学とマーケティング

マーティングを考える際に様々な検証を行い論理的に仮説を立てて実行しても、なかなかうまくいかない場合のが多くありませんか?

商品やサービスが多様化し、ひと昔とはちがってなかなか一筋縄ではいかなくなったマーケティング戦略。これからさき生活者に商品を買ってもらう場合、今までのやり方では少々不安を思った方もいるのではないでしょうか。これから生き残っていくためには「人間の心理や感情」の側面に沿ったマーケティング戦略が必要になってくると思われます。

そもそも私たちが知っている一般的なマーケティングとは何か解説していきます。

コトラーのマーケティング戦略

私たちが知っている通称マーケティング戦略とはフィリップ・コトラーの戦略的マーケティングプロセスを指すことが多いです。コトラーは小難しいマーケティング学をわかりやすく噛み砕きフレームワークをつくりました。その結果「マーケティングといえばこれ」という、わかりやすい共通認識になりました。

しかしコトラーのマーケティング戦略には一つ注意しなければならないことがあります。「人間は合理的であることが大前提」でつくられたフレームワークだからです。思い返してみてください。私たち人間は、何か物を買うときに、果たして毎回合理的な判断を行っているのでしょうか?1つの物に対し、いつも同じニーズがありますか?そもそも私たちが今まで購入したものは、すべて本当に欲しかったから買ったものなのでしょうか?

人間は本来常に合理的ではありません。心で考える感情の生き物です。生活者の洞察をゼロから掘っても真に売れる商品ができるとは限りません。また仮にそれが実現できたとしても、それだけで買ってくれるなんてことはないのです。そんな中で取り入れるべき有力な要素が行動経済学です。行動経済学とは人間の心理や感情的側面の現実に沿って分析を行う経済学です。

人間の気持ちに沿って考える行動経済学

行動経済学が未だ一般的になってない理由としては、コトラーのマーケティング戦略のようなわかりやすいフレームワークがなく、取り入れるには少し難しいからです。しかし行動経済学を切り札のように1つ1つを知識として持っておき、必要に応じてマーケティング戦略に取り入れることができれば、より大きな効果を出すことができます。

今回は数ある行動経済学の中から有名なものとまとめて紹介していきたいと思います。

①比較対象によって、判断が変わる

人は選択する際、比較対象があり基準がわかった方が、購入に繋がりやすい場合があります。

有名な例でいうと、家庭用品のウィリアムズ・ソノマ社が自動パン焼き機を発売したときです。発売当初はあまり売れませんでした。その後、先行よりも50%以上以上高価なデラックス版製品を新たに発売すると、なぜか最初に発売したパン焼き器が飛ぶように売れ始めました。理由は後発のパン焼き器のおかげで最初のパン焼き器が割安にみえたからです。

私も物を買う時は必ず比較して購入を決定します。以前古着服を購入する際、同じ商品で12,000円と2,800円のものがあったのですが、迷わず2,800円の物を購入しました。比較対象があったおかげでお得に感じたからです。


②わからないものは「何の仲間か?」が重要

みなさんも「あの芸能人も着用している商品です!」といった宣伝アプローチ見たことがあると思います。最近だったら石原さとみさんがドラマで着用したダニエルウェリントンという時計も流行りましたよね。

有名な例では、真珠王のアサエル氏が「黒真珠」を人々に売り込むために、高級雑誌にダイヤモンド、ルビー等と黒真珠を並べた全面広告を掲載しました。その結果「黒真珠は宝石と同じように価値が高い」という手がかりができたため、人々は「黒真珠」を買い求めるようになりました。

ディズニーの「ダッフィー」というテディベアが人気な理由も同じことが言えると思います。ディズニー公式のテディベアだから人気なのです。(ただのテディベアであればあそこまで爆発的に売れてなかったでしょう)


③角度を変えると、印象も変わる

全く同じことを謳うにも、言い方次第で受ける印象はだいぶ変わります。おそらくあなたも日々上司に何かを伝えるときは自分が選んだ言葉のあたえる印象を気にしながら話されている方も多いのではないでしょうか?以下に例をあげてみます。

A.この手術は死亡率10%です。

B.この手術は生存率90%です。

上記のAとB、どちらのが生存確率が高い印象を受けましたか?

またA.「100円引き」か、B.「15%OFF」、どちらの方がお得に聞こえますか?

両方とも確率は変わりませんが「死亡」という損失を回避する心理が働き、Aを提示した時よりBを提示した時の方が選んでもらいやすくなります。つまり言い方次第で受ける印象が変わるのです


④すでに投資しているから、後に引けない

昔、コンコルドという飛行機が存在したことはご存知でしょうか?

見た目も奇抜で怪鳥と呼ばれてたコンコルド飛行機。音の2倍の速さで飛ぶ超音速旅客機と呼ばれ、ニューヨークからロンドンまでたった3.5時間でフライトすることができた飛行機でした。しかし開発中から市場ニーズの変化や維持費の高さなどにより、完成しても赤字は免れないことがわかっていたのですが、開発への投資がとめられず商業的にも大失敗してしまいました。そして後に、大事故をおこしたことをきっかけに全機退役となります。

「投資して後に引けなくなる」といえば、パチンコ・スロットや課金ゲームも同じ現象だと思いませんか?合理的判断であれば、投資をやめた方がいいような人間を見かけます。なので私がスロットで遊ぶ時は、1万をすった時点で一旦やめるとルールを設けています。なぜならばそれ以上投資した場合、やめるタイミングの判断が鈍るからです。


まとめ

「行動経済学」はフレームワークがないため取り入れるにはケースバイケースで難しいですが、うまく使えば絶大な効果を発揮できるといわれています。マーケティング戦略上の目的をベースに、そこに適応できる理論を使うというアプローチが現実的です。

上記にあげた例は一部ですが、興味のある方はぜひ取り入れて見てはいかがでしょうか?

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