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森鷗外の『青年』ってどんな小説?鷗外ってどんな人?

 森鷗外の『青年』ってどんな内容の小説なのでしょうか。

 新潮文庫版の『青年』のカバー裏に紹介文が載っています。

作家を志して上京した青年小泉純一は、有名な作家を訪ねたり、医科大学生大村に啓発されたりして日々を過ごす一方、劇場で知り合った謎の目をもつ坂井未亡人とも交渉を重ねる。

「謎の目をもつ」って興味がそそられますね。

しかし、夫人を追ってきた箱根で、夫人が美しい肉体の塊に過ぎないと感じた時純一は、今こそ何か書けそうな気がしてくるのだつた。

「今こそ何か書けそう」ってnoteの参考になるかな?

……青春の事件を通して、一人の青年の内面の成長過程を追求した長編。

『青年』のエッセンスを簡潔に表現しており、興味を惹かれる紹介文です。

 以前の記事で登場人物の紹介をしました。

 夏目漱石と並び称される明治から大正にかけて活躍した文豪、森鷗外。

 夏目漱石が、新聞連載の長編を中心に制作したのに対して、短編を中心とした小説や西欧文学の翻訳、史伝や評論など多彩な作品を制作しました。

 鷗外は、陸軍の軍医総監まで上り詰めた一方で、その勤務の合間を縫って作品をコンスタントに制作しました。

 陸軍の上官や同僚からは作家だと言われ、作家仲間からは軍人と見られ、中傷誹謗を多く受けたようです。

 本人は、けじめを厳しく自分に課していたので我慢ならなかったとも語っています。

 また、根回しや世渡りのあれこれなど眼中になく、正論で相手を徹底論破するエピソードが多く残っています。敵が多かったとも。

 でも、家庭では子煩悩なエピソードもたくさん残っています。

 漱石が親分肌で後輩の面倒見が良かったことが知られています。

 鷗外も留学で鍛えた、西洋仕込みの社交をものします。彼を師としたう多彩な文人や芸術家が多く集まりました。

『青年』の一場面で、登場人物たちの口を借りて、毛利鷗村という文士のことを皮肉っぽい爺さん扱いする場面があります。

 鷗村のモデルこそ鷗外自身です。なんともひねくれた、よく言えば自分のことをわかっていたといえるかもしれませんね。


※リカさんの画像をお借りしました。


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