見出し画像

幸せなアナログレコードとの再会(聴きました編5) 『モーツァルト:「踊れ、喜べ、幸いなる魂よ」「神よ憐れみたまえ」「ミサ・プレヴィス」』

一度は売却して「ゼロ枚」になったアナログレコード。でも、また欲しくなって取り急ぎ30枚ほど中古で購入。聴くと楽しかったりほろ苦かったり。レコードの一枚一枚は、青春の一コマ一コマだったんですね。新しい発見もあるでしょうか。そんな再会のお話、よかったらどうぞ。

アーティスト

 ロトラハウス・ハンスマン(ソプラノ)
 オリヴィエ・アラン(オルガン)ほか 
 テオドール・グシュルバウアー指揮/ウィーン・バロックアンサンブル

私の「宗教曲の聴き方」

 モーツァルトの宗教曲の大半は厳かさの中にも親しみやすさと、何よりも美しさが際立っています。あえて言えばオペラのアリアと変わりません。
 愛の音楽家、モーツァルト。そのまなざしが神に向かうか人間に向かうかの違いです。キリスト教徒でもない私ですので「モーツァルトの書いたとても美しい音楽」という聴き方でいつも楽しんでいます。

「エクスルターテ・イウビラーテ」《踊れ、喜べ、幸いなる魂よ》

 1773年1月16日 ミラノでの作曲、モーツァルト16歳の作品。
 このレコードの動画が見当たりませんので、森麻季さんの独唱でお聴きください。

 素晴らしい歌唱です。

「主の御憐れみを」

 これもよくレコード化されている美しい曲です。1775年の1月から2月にかけてミュンヘンで作曲されました。モーツァルト19歳。

 ご紹介するのは、ちょっと変わった歌唱なしのインストルメンタル版です。アルト(A)のパートをピアノが独奏しています。

 不思議と、ポールモーリアやリチャード・クレイダーマンなどの音楽を連想してしまいます。

 こちら正統の演奏で。アメリカのルイビル大学のリサイタル動画です。盛り上がりましたね。


「ミサ・プレヴィス 二長調」

 モーツァルトが1774年8月8日18歳のときにザルツブルクで書きました。これは正統の演奏でお聴きください。

 美しい!

 モーツァルトは合理主義のコロレード大司教から「ミサ曲は短くまとめよ」とか言われていたそうです。

アーティスト情報

ロートラウト・ハンスマン(ソプラノ)
 下のバッハなどバロック曲の録音が多く、たくさんのレコードに参加しています。

オリヴィエ・アラン(オルガン)
 フランスの音楽一家に生まれたオルガニスト。マリー・クレール・アランはオリヴィエの妹です。

テオドール・グシュルバウアー(指揮)
 1939年のウィーン生まれ。このレコードの当時は若手指揮者として嘱望されて宗教音楽を中心にたくさんの録音が出ていましたが、その後はあまり名前が出てこないようです。
 下記のアヴェ・ヴェルム・コルプスや戴冠ミサ曲などを愛聴してきましたが、実力のわりに評価が低すぎるのではないかという気がします。

ウィーン・バロックアンサンブル
 検索しましたが、ごくわずかしか情報がありませんでした。

録 音

 70年代の録音で、レコード技術も高度に発達した時期であったことがうかがえる明澄さで申し分ありません。合唱やオーケストラのトゥッティでも美しい響きを再現しています。同じシリーズのERATO REL-3177『アヴェ・ヴェルム・コルプス』他はACCディスク大賞に輝く優秀録音の名盤ですものね。

 こちらもグシュルバウアーの指揮、ウィーンバロックアンサンブル。ハンスマンがソプラノを歌い、オリヴィエ・アランの妹のマリークレール・アランがオルガンです。

美しいレコードジャケット 

 グシュルバウアーは特にモーツァルトを得意としているようで、宗教曲に限らず交響曲などの録音を残していて、私は好んで聴いてきました。このレコードも彼の名前に導かれて手に入れました。

 ジャケットには美しい宗教画が充てられています(見出し写真)。出典を調べたところ、フラ・アンジェリコの『最後の審判』とわかりました。絵の左下の「天国」中央寄りの部分が使われています。

レコード番号

 ERATO ESR-2234
 発売元 RVC株式会社

録音年月/場所

 1970年代?/不明

演奏時間

 第1面

 モテット「エクスルターテ・イウビラーテ」《踊れ、喜べ、幸いなる魂よ》KV165 15’05”

 オッフェルトリウム・デ‣テンポーレ「ミゼリュルディアス・ドミニ」《主の御憐れみを》ニ短調KV222 7’20”

 第2面 《ミサ・プレヴィス》ニ長調KV194 20’00”

この記事が参加している募集

思い出の曲

最後までお読みいただきありがとうございました。記事が気に入っていただけましたら、「スキ」を押してくだされば幸いです。