見出し画像

タイムボックス ★★★☆

アイスランドのファンタジー児童向け小説です。

著者は、アンドリ・S・マグナソンさん。以前書いた「青い惑星のはなし」という絵本と同じ作家です。(この作品もアイスランド文学賞を受賞しています。)

この方、環境保護の活動家でもあり、日本語に翻訳されるまで流通している本の作家でもあるなんて、多才です。。ちなみに2016年の大統領選に出馬されてるそうです。(当選はなりませんでしたが、、)

本の舞台は、現代か少し近未来か、一人一台「タイムボックス」という箱を所有している時代です。

「タイムボックス」という箱は、中に入ると時間が止まり、入っている間は自分の時間は進まないという仕掛けで、雨の日や寒い冬の間などを避け、自分が好きな瞬間だけを過ごすことが出来るという魔法の箱です。

ある日経済危機に苦しみ、国中の人々が一斉に「経済危機が終わるまで」という指示で箱の中に入ってしまいます。そんな中、主人公シグルンの箱がなぜか勝手に開いてしまい、両親の箱を開けるためにタイムボックスの謎に迫っていきます。

ここからは遥か昔の王国の話。ある強欲な王様が領土を広げすぎたあまり、「時間の呪い」をかけられます。しばらくして王様に娘(オビディアナ姫)が生まれ、溺愛する娘をいつまでも綺麗なままで留めたいと考えた王様は、その方法を見つけたものには褒美を与えるとお触れを出します。そこで小人たちが作ってきたのがタイムボックスでした。

オブディアナ姫は初め雨の日だけを箱の中で過ごしていましたが、そのうち箱の外に出られる機会は徐々に減っていき、誕生日や楽しいパーティーがあるときだけになります。そのせいでオブディアナ姫は特別な存在になっていき、しまいには国民が崇める女神のような存在になってしまいます。

父である王様と一緒に楽しく過ごしたいだけのオブディアナ姫は、何気ない日常を過ごせないことに苦しみを抱えていきます。

そしてある事件がキッカケで、オブディアナ姫は長い間箱に閉じ込められることになり・・・それが現代へと繋がっていくというお話です。

途中で語られる昔話は、ファンタジー要素が強く、ロードオブザリングのような、妖精や小人が出てくる世界観で想像力を膨らませて楽しむことができます。

しかし、そのファンタジーがまさか現代にも影響しているという点で、空想のものとして楽しんでいたはずが、実は現実におこった歴史なんだと思うと、ファンタジーの見え方が少し変わって見えてきます。

過去と未来が融合され、時間とは何かを考えさせられる作品になっており、児童向けですが大人も楽しる内容です。オススメです(^∈^)

実写映画化して欲しいな♪

王様役は、イングヴァール・エッゲルト・シグルズソンで決まり★

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?