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西成でのボランティア

7月26日、大阪でホームレスに対して炊き出しを行っている"NPO法人 志絆会"の活動のお手伝いをして来た。

志絆会は大阪の釜ヶ崎で約20年前から、月末の日曜日の月に1回ホームレスへのカレーの炊き出しを行っている。

しかし、現在は昨今のコロナ禍のため、感染予防対策でカレーの炊き出しは行わず、お菓子やジュースなどを歩きながら配布していて、今回は私もその活動に参加させて頂いた。

まず、駅を降りて衝撃的だったのが、1人の男性が、高架橋の下で地べたに寝っ転がって本を読んでいたことだ。
梅田から20分ほどしか電車に乗っていないのに、真横にアベノハルカスが聳え立っているのに。

しかし、それはただの助長でしかなかった。
下の写真を見ていただきたい。

一見ただのゴミ山に見えるだろう。
しかし、近づいて見ると何人ものホームレスの方々がこのゴミの中で横になりながら、本や新聞を読んでいたり、寝たりしている。
奥に見えるバスもただ停車しているだけではない。
中には何人もの人が生活をしている。
(横にあるビルは1年前まで炊き出しを行っていた場所で、ホームレスの方たちの住処でもあったようだが、耐震性の不安から建て替えのために閉鎖されている。バスはその建て替え工事の反対運動のためでもあるようだ。)

この写真はほんの一部であって、他の場所にもたくさん同じような家があり、数えきれない人たちがが生活している。

衝撃だった。

これが同じ大阪なのか、日本なのかと目を疑った。
正直、ホームレスの問題は日本にはあまりないと思っていたし、外国の問題だとも思っていたからだ。

志絆会の副理事の西川さんにお話を聞くと、
ホームレスになった方は、元自衛隊だったり、大阪万博のために出稼ぎに来たが終わってから仕事がなくなって帰れなくなったりと様々であるらしい。
もともと西成は日雇い労働者の街として栄えていたが、仕事が減り続けホームレスの街へと姿を変えていったようだ。

住民票がないから、生活保護も貰えず、コロナでの補助金も貰えない。
ヘッダーに載せた写真はホームレスの方、約200人に無償で貸し出しているフィルターなのだが、今ここに住民票を登録し、10万円を給付できるようにしているようだ。
しかし、家族に失踪届や死亡届を出され、戸籍上存在しない人となった方には給付金は配られない。

活動する前は、どんな人たちなのだろうという興味と共に恐怖もあった。「うるせぇ!だまってろ!」と言われてしまうのではないかと思った。

「お菓子、ジュースどうですかー?」

道端の家に向かって声を上げた。

そろそろ〜と何名かの人が出て来る。

「ありがとう〜!」「悪いね。」「ご苦労様です。ありがとうございます。」

ほとんどの人がニッコリ笑って丁寧に受け取る。
誰1人怒りを表したり、もっとくれとせがんだりしてこなかった。

予想と反した反応で、どの人もいい人だった。

読者のみなさんがホームレスのことをどう思っているのかはわからないが、少なくとも私は今回の活動を通して、彼らと私たちは何も違わないと思った。

一度は街で空き缶を集めているおっちゃんを見たことがあるだろう。そのとき、彼らを見てどう思っただろうか。
私はこの活動に参加する前は、少し煙たがってしまっていたのは事実である。
その考えも今は一掃された。

今は働ける場所もたくさんあり、酒やタバコ、パチンコなどに金を使っているにも関わらず、保護される対象とされるのはおかしい。自己責任である。

という意見があることは知っているし、理解できないこともない。

じゃあ、あなたはただ生きるためだけの生活を続けられるのだろうか。
彼らには楽しむという選択肢は与えられないのだろうか。

人はそれぞれである。
働ける環境があると言っても簡単に働けるわけではない。それは、身体的な問題であったり、精神的な問題であったり、環境的な問題であったりする。
また、働いていても年齢などが原因で制限があり、家を借りて暮らすのに十分な収入が得られないこともある。
その人、その人の環境や状況は簡単に理解できるようなものではない。

しかし、私たちに出来ることは、まず知ろうとすること知るために努力することではないのだろうか。

ホームレスという言葉を聞けば、テレビや本、ネット記事などで知った経験から想像することは簡単である。
しかし、それはあくまでも想像であり、知っているようで知らないことだらけなのだ。
やはり実際に目にしないとわからない。

私も最初の一歩は重かった。
でも、自分の目で見ないとわからないまま終わってしまうと思い今回参加し、そして実際に経験することはこんなにも大事なのだと改めて実感した。

格差の問題は、同じ日本に住む者として、誰一人として考えなくていい問題ではない。
より明るい社会を作るために、表には出てこないこの問題をまずは知って欲しい。
その上で1人でも多くの人が行動に移してくれることを心から願う。

志絆会のリンク👆

インタビュー記事に実際のホームレスの方のお話や支援者のお話が掲載されているので是非読んで欲しい。

コロナ禍で炊き出しのボランティアは募っていないが、寄付での支援は可能。


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