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インターネットでの初体験。

けんかなど滅多に起こらない、とても平和な小学校でぼくは6年間を過ごした。その小学校ではクラス替えが2年ごとに行われる。

3年生になる時のクラス替えで、ぼくはKという男の子と同じクラスになった。今日はその彼とのお話を少し。

23歳現在のKは美容師としては異例のスピードで去年の末に独立した。「自分のお店」をオープンしたのだ。凄いことである。小さい頃から「将来は有名な美容師になる」と言っていた。目標に向かって最速の道で駆け抜けていっているのだ。

この前、ぼくもお店に行ったが、当然だけど、手際も良くて、相変わらずの話し上手で、同級生とは思えないような立ち振る舞いをしていた。

「人って変わるもんだなー」

とぼくは思った。
小学生のKからしたら想像もつかない大人になったのだ。

小学3年生の彼の特技は「女性の裸体」を書くことであった。それもリアルな。

それを知ったのは3年生になってすぐのこと。
休み時間になると、前に座るKはずっとプリントの裏に何かを書いていた。

1週間が経ったころ、僕は背中をツンツンして、聞いた。
「なにしてるの?」

「じゃーん!」
彼は勢いよく、ぼくの机にプリントを広げた。そこには大人の「女性の裸体」が描かれていた。「度肝を抜かれた」とはこういうときに使うのだろう。

そこから、彼は一気に男子の中で人気者になった。

その時の僕は、まだ「性」の方には目覚めてなかったが、Kと学校終わりに遊ぶ程の仲になるまで、多くの時間は掛からなかった。

ある日、Kくんを含む男4人でDSの通信ゲームを僕の家でしていた。

お母さんは買い物に出かけていて、家には僕ら以外誰も居なかったので、自分の部屋ではなく、その日はリビングで遊んでいた。

ゲームがひと段落した時、Kが言った。
「ねえねえ、あのパソコンってインターネット使えるの?」

「うん、使えるよ」
とぼくは答えた。

少しばかりワクワクしたのを覚えている。
特技が「女性の裸体」を書くことであるKが色んなことを調べれる「インターネット」でやる事は小学3年生でも容易に想像できる。

「履歴消せるよね??」
「消せる消せる!!家でいつも消してるから!」とKは自信満々で言った。

僕ら3人は、彼の軽快なネットサーフィンと次々と出てくる見たことない大人な画像に釘づけになっていた。

「うわ、すっげ!」
「学校では制限かかってるけど、家だと見れるんだよね!」
「K、お前すごいなー」
「本当に履歴消せるんだよねー?」

こんな調子で僕らは目の前の画面に夢中であった。

「ただいまー」
パソコンの真横のドアが開いた。
本来、玄関のドアが開いたのを気づくはずが、大人な画像に夢中になっていたぼくらはリビングのドアが開くまで、母の足音に気づけなかったのだ。

ページを閉じようとしたが、こんな小さくなってるタブ見たことないぞってぐらいに何十個ものほどのタブが開かれていて、対処しようとした時には、もう既に遅かった。

「また、そんなの見てー! 有料のところ行ったらダメだからねー!」

と母は言った。
「ごめんなさい」と僕らは謝まった。

Kの性への興味も、そういったサイトが色んなページを遷移させてくるのも、今でも全く変わらない。(お店に行った時、お客さんが帰ってお店に僕とKだけになると、Kによる下ネタのオンパレードが始まったことは言うまでもない。)

これが僕の「#はじめてのインターネット」である。もし、言葉の認識を間違えていたら、申し訳ない気持ちでいっぱいである。

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