先進国で中間層が衰退する本当の理由

近年、先進国において、中間層が衰退し、格差が拡大している。様々な意見があるが、その原因について考察する。

はじめに、分厚い中間層が発生した要因について考察する。分厚い中間層の発生は、昭和期における国内の重工業化が原因である。国内の労働者に高額の賃金を払い、ホワイトカラーやブルーカラーが、自国で生産された製品を購入する。企業はこの強い内需に支えられている。これが、分厚い中間層が存在している状態である。

一方、現在は、グローバル化、デジタル化、オートメーション化が進んでいる。これによって、高度人材の需要が高まる一方、それ以外の労働者の需要は減少傾向である。さらに、ホワイトカラーは、かなりの割合が会社に来なくても仕事ができるということがコロナ禍で明らかとなった。インドやナイジェリア等の海外の安いホワイトカラーに仕事を発注するという形をとっても、問題ないということである。ブルーカラーも、オートメーション化、グローバル化で需要は縮小している。さらに、近年、人工知能の発展や3Dプリンターの開発により、高度人材以外の活躍の場はさらに狭められることになることは確実である。

今後もその流れは加速することは確実であり、先進国の労働市場は、高度人材以外は縮小傾向が続くとみられる。一方で、高度人材は世界的に不足すると思われ、各国や各企業で激しい争奪戦が行われるであろう。

これが、中間層の衰退する原因であり、これからも衰退は止まらないと考えられる。政治家が、中間層の復活を掲げているが、実現する気は無いし、具体的な策は現在のところ存在しない。ただの選挙におけるパフォーマンスか、高額所得者から税金を毟り取るいちゃもんの類である。


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