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アウトリーチ、はじめました。

今月から、そだちの樹のアウトリーチがはじまった。

まずは警固公園でスタート。若者たちに声をかけ、他愛のない会話を少しだけ交わして、相談カードを渡す。相談は聞かない。深入りしない。引き留めることもない。ただ出会って、別れるだけ。その細い、見えないくらいの関係が、いつかピンと緊張することを祈って。

アウトリーチとは

2015年にはじめた相談窓口「ここライン」も、見えにくい若者世代の相談ニーズに接近することを狙いのひとつとしている。今年度は新規相談件数が300件、相談対応件数が3,000件をそれぞれ超える勢い。2.5人の体制で対応できる件数は優に超えている。

それでも、電話とメールで相談を「待つ」タイプの窓口であることに違いはない。自分からSOSを発信できない人、身近な大人や親しい友だちにすらSOSを伝えられない人、そしてSOSを発信していい状況にあることすら認識できていない人と接点を持つことはできない仕組みだった。

アウトリーチは、そうした当事者の「発信」を越えて、相談ニーズに迫る土台を提供してくれる可能性を持っている。

相談でも、支援でもない。

アウトリーチ自体は「相談」ではない。ましてや「支援」でもない。当事者の生活圏に飛び込んで、ただ関係をつなぐ活動にすぎない(ここでいうアウトリーチは、訪問支援や相談同行とは目的も、かかわりのあり方もまったく異なる。)。でも、その関係の中から、隠れた相談ニーズが浮かび上がってくることがある。あるいは、そんな薄いかかわりでさえ、若者をとりまく環境に一定のインパクトを与えることがある。相談も支援もないのに、若者を傷つきから回復させる可能性を秘めている。

そんな可能性は、数年前から感じていた。でも先行事例が乏しく、ノウハウの蓄積が十分にされていないこともあって、足踏みしていた。

今回、実施に至ったのは、国のモデル事業を福岡県が実施すると言ってくれて、予算が付いたこと、名古屋や東京で実践している人たちとの出会いがあったことが大きい。ようやく準備が整ったということで、トライしてみることになった。

まだ始まったばかりで、いまは心配ごとで頭がいっぱい。ひとつひとつ、育てていこう。

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