見出し画像

曽祖父が農業を営んでいた場所(大正9年)

曽祖父・保次郎は米国カリフォルニア州のストックトン(Stockton)やオーウッド(Orwood)に住み農業を営んでいましたが、それは具体的にどこで、何を栽培していたのか。以前紹介した英文契約書から読み解いてみます。

まず1920年(大正9年)10月12日に、保次郎(the party of the first part)とHeritaさん、Sakiさん、Yoshidaさん、Kamibayashiさん(the parties of the second part)との間で締結された契約書を見てみます。

That the said party of the first part, subject to the terms, conditions and covenants hereinafter contained, and to be kept, observed and performed by the said parties of the second part, does hereby lease and let-farm unto the said parties of the second part, that certain tract of land situate, lying and being in the County of Contra Costa, State of California, commonlly known as Fay Island, containing one hundred acres, more or less, for the term of one (I) year, from 30th day of October, A. D. 1920 and ending 30th day of October A. D. 1921, with fellowing terms and conditions to wit:

英語力に自信がないので誤訳だったらゴメンなさいですが、「カリフォルニア州コントラコスタ郡にある、一般的にフェイ島として知られている土地」のことが出てきます。100エーカー前後あるその土地を、the first part(保次郎)がthe second partの人たちに1年間リースするという内容のようです。

Fay Island……農地なのに、なんで島!? と思いましたが、Googleで地図を見たら川で囲まれた土地になっていました。なるほど、これは島と呼べるかも。

もうちょっと引いてみると、ストックトンとオーウッド、フェイ島の位置関係が分かります。赤い印が付いている場所がフェイ島です。

しかし土地を貸すといっても、カリフォルニア州では1913年の「外国人土地法」で日本人の土地所有は禁止されていたので、この土地は保次郎のものではなかったはずです。続けて読んでいくと、

That the said first party has heretofore entered and executed of a lease for the possession of said land with N. Fay & Son, of Rio Vista, County of Solano, California, which said lease is hereby reference incorporated herein.

とあるので、保次郎はカリフォルニア州ソラノ郡リオ・ビスタのN. Fay & Sonから土地を借りていたことが分かります。それを人に貸していたようですが、もしかしてフェイ島の名前の由来はこのFayさんなのでしょうか……?

Google地図をさらに引いてみると、サンフランシスコやリオ・ビスタの場所も分かりました。

さらに契約書を読み進めていくと、

・この土地に植えられ収穫される農作物全体の20%を賃貸料とすること
・その農作物はじゃがいも
・農作物全体の80%はthe second partに所有権があること
・農作物を入れる袋と紐は双方自分たちで用意すること
・the second partは自分たちの費用で種や馬や道具や労働力を用意し、良好な方法で作物を栽培すること
・the first partは常に雑草の繁殖を防ぎ、必要なときはいつでも灌漑すること

などが書かれていました。

これはつまり小作制度ということなのでしょう。保次郎は(自身も農作物を栽培したのかもしれませんが)人に農地を貸して生産させた作物を受け取り、それを売ることで収入を得ていたことが伺えます。土地を買うことはできなくても、土地の占有権を得て人に貸すことは可能だったようです。

次は1922年の契約書を見てみたいと思いますが、長くなったのでまた次回。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?