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創造力のある人材になるための勉強会を企画した

両利きの経営

企業が持続するには、既存事業を深めることと、新しい事業を開拓することの両者を同時に推進する「両利きの経営」を実践する必要があります。日本の企業はある程度の規模になると既存事業を深めることに偏る罠に陥いります。新しい事業を開拓し続けるにはどうすればいいのでしょうか。私たちが運営するVUCA Laboコミュニティでは毎月勉強会を開催しております。次回はこの課題を解決する手段となる「創造社会における学び」をテーマにしました。3種類のCで変化してきた

時代は3種類のCで変化した

次回のゲストは慶應義塾大学 総合政策学部教授の井庭崇先生です。先生は、ここ100年の社会が3つ段階のCで変化としてきたと捉えている。最初の100年前ごろのCは消費社会(Consumption Society)です。続いては情報社会(Comunication Society)です。そして数年前から始まってるのが創造社会(Creation Society)です。詳細はこちらを参照下さい。
井庭先生の著書「クリエイティブ・ラーニング」では、主に構成主義における「学び」の論理から「創造」の論理にいたるまでのスキルを歴史的な流れで習得することができ、実践やインタビューを通した確証もあります。7月29日は「創造社会における学び」というテーマで井庭先生と勉強会を行うので興味がある方は是非ご参加下さい。

創造とは何で、誰にできるのか

創造社会では、両利きの経営の中でも新しい事業を開拓できる力がより必要となる。このために企業は、潜在的な価値のある企業を買収したり、オープンイノベーションなどの外部の力を利用して新規事業を開拓しているが、そもそも内部で底上げしなれけば既存事業に関わり続ける規模も変わらず、変化がおきづらいままの体質である。はたして、創造する力は誰にでも身につけることができるのだろうか?「クリエイティブ・ラーニング」の中では、創造とは、つくっているものが「あるべきかたち」になっていくことであると説明されていた。この「あるべきかたち」とは、客観的な創造であり、主体は取り除かれている”無我の創造”である必要があるようだ。結論から言うと、誰でもできる可能性があり、逆に特訓しても確実にできるとは限らないといえそうだ。

創造にはアブダクションが有効

創造には「アブダクション」という推論も有効な手段である。発見の生成・連鎖はシステム内の倫理によって繋がっていくと考えられて、そこで有効なのが推論法である。推論法は全部で3種類ある。このうち「帰納法(きのうほう)」や「演繹法(えんえきほう)」は事象または複数の事象から結論を導き出すのに対して、「アブダクション」は、結論が先にあり、その結論を理解するために仮定から新たな結論を導き出すという方法です。これをニュートンのリンゴで例えると、一つのリンゴが落ちるのを見て帰納するとすれば、全てのリンゴが木から落ちたり、上から下にものが落ちるという結論になる。しかし、リンゴと地面が引き合う万有引力に達するには発展した仮定が必要となる。これがアブダクションで、これは人間であるからゆえに創造ができる可能性があるものなのです。アブダクションについては米盛裕二氏の著書「アブダクション―仮説と発見の論理 」も参考になりました。

創造したモノを、ビジネスの企画とするために必要なコト

また仮に創造ができたとしても、それだけではビジネスは成功しません。井庭先生の数ある著書の中の「プロジェクト・デザイン・パターン」では、事業の企画にはデザイン性(かっこいい)事業性(儲かる)社会性(意義のある)の3つが必要だと述べられていました。これは共著者のUDS株式会社代表取締役会長 梶原氏が説明しています。UDS株式会社はこれまでキッザニアなどのクリエイティブな企画を数多く手がけてきた優良企業です。「プロジェクト・デザイン・パターン」ではUDS株式会社からリサーチした企画におけるパターンが数多く紹介されているので、このパターンを知るだけでも事業化への近道に繋がりそうです。
※8月のVUCA Laboは、UDS株式会社の元代表取締役 中川敬文さん(現在は株式会社ツクルバの代表)がゲストで出演する予定です。

創造したものを相手に伝える方法

企画が整った後は、新しい事業の伝え方も大切です。最近だとストーリーテリングやナラティブなどが注目されてます。井庭先生は、ここでも創造的プレゼンテーションをパターンとして整理し、著書「プレゼンテーションパターン」やカードなどを手がけました。
私は、このプレゼンテーションパターンの中にある「ことば探し」(想像力をかき立て、人を突き動かすことばがある)パターンがとても役に立っています。まだ誰にもわからない創造を、相手に伝えるにはメタファー(比喩)を探して伝えるがお薦めです。さらに、まだ誰にもわからない創造の暗黙知の構造を分析して、世の中に実在する構造のもと類似したものを探し出して、その構造パターンを表現にして伝えた(アナロジー)ことで起案が承認されたことがあります。このパターンを身につけていなかったらそのプロジェクトは立ち上がってなかったはずので、感謝の念に堪えません。

コロナ禍の中で注目されていくコト

コロナ禍の中で、社会はますます変わりつつあります。疫病と共生しながら社会で貢献していく意識が強まりました。いままで事業の中には回復しないものもたくさんあります。組織より個の力や命を重視する動きが高まっています。また、世界の動きが大きく変わったことで気候などにも影響がでそうです。SDGsや環境・資源問題もこれに合わせて重要視されるでしょう。日本でもベーシックインカムまで視野に入れる必要があるかもしれません。3つの特性のうちの事業性社会性では、利他主義や、分散しながらも自律的に協働する構造(例:ブロックチェーンのDAO)などにも注目すべきです。

ブロックチェーンは共通基盤の一部になっていく

利他主義や自律的分散の仕掛けを実現するにはブロックチェーンの技術が非常に役立ちます。社会基盤として透明性のある情報が管理できたり、これまでとは比較にならない低コストの取引を可能とします。この仕組みにより、社会にはファクト(真実)だけが残りやすくなったり、少額での決済が実現できるのです。例えば、ちょっとしたお店や宿でおもてなしを受けても、それは気持ちだけのコトでどこも残りませんでしたが、些細なお礼の気持ちを価値とお返しできれば、お互いの幸福度が増したり、振り返ることでリピートしやすくなるかもしれません。創造社会では、こういったことをたくさん創造し、それを誰もが簡単にスピーディに実現させ、かつ、アジャイルに改良し続けれるチームや組織が生き残れるようになるのではないでしょうか。

一緒に、創造社会における学びをしよう

私は、これまで新規事業のシステムやサービスを20個以上手がけてきました。その中にはほとんど人が使っているサービスもいくつかあります。ですが、創造的でデザイン性・事業性・社会性のすべてが揃ったモノはひとつもありません。なので今は創造的で3つの特性がすべて揃ったモノを実現するのが私の夢です。7月29日の夜は井庭先生をゲストに招いて勉強会を開催します。夢を実現するために、まだ自分が知らないことや気づいていないことをたくさん聞き出そうと思います。この勉強会は参加型を目指しているので、是非、みなさんも参加してたくさん質問していただけると嬉しいです。



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