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ベトナム|超天然生活 少数民族モン族の旧正月にご招待いただいた話

こんにちは、アベハルです。8月も後半に差し掛かり、Ngay hoi van hoaの準備が各地ではじまり、モクチャウはそわそわシーズンに突入です。
ベトナムの建国記念日(国慶節 ( ベトナム語 :Ngày Quốc Khánh))である9月2日に合わせて行われるこのイベントでは、モクチャウに住んでいる12の少数民族が集まると言われていて、8/31~9/4を文化観光週間と称してモクチャウの各観光地が盛り上がります。(↓イベント紹介記事)

さて、このお祭りで最もフィーチャーされるのがモン族。ちょっとだけモン族のことを知ってから参加すればお祭りの楽しさ倍増間違いなし!ということで、今回は今年の冬にモン族の旧正月にご招待いただいたときのお話をします。

Moc Chauのモン族は赤とピンクの鮮やかな民族衣装
同じモン族でも地域によって来ている服の色や模様が違うので
これもベトナム観光の醍醐味かもしれないですね

ベトナムが新暦と旧暦を使っていることは、多くの方がご存じのことかと思います。旧正月(テト)が1番分かりやすい例ですね。
モン族はさらに自分たちの暦をもっていて、ベトナムの旧正月とは別に独自のお正月を祝うそうです。そのモン族の旧正月の大晦日から三が日(的な期間)にご招待してもらったときのお話をします。(正確にはご招待いただいて、お手伝い&旧正月体験をさせてもらった話)

まずは、ちょっとワクワクする豆知識から!(わたしのへっぽこベトナム語リスニングによるものなので、間違いがあったら温かく訂正いただけると幸いです)日本でも縁起を担ぐように、モン族の旧正月でも、ゲン担ぎや新年を迎える際の決まり事があるそうです。

”大晦日に雨が降ると新年は雨に恵まれる”

-モン族は基本的に山の上で農業をしています。農業が生活の基盤である人たちにとって、やはり雨は天からの恵み。今年は大晦日に雨が降ったから来年は安泰だねと喜んでいました。
ジンクス通り、今年は雨が多いです。地元の人たちも今年は雨が多くて夏が短いと言っています。
大晦日の日の午後

”新年には新しい服を”

- 日本でも新年に合わせて「気持ち新たに」とお洋服や小物を新調される方もいらっしゃるのではないでしょうか。ベトナムや中国の旧正月で新しい服を着る習わしがあるようですが、モン族文化では、新年に合わせてお母さんは子どもために新しい服を作ってあげます。すてき。

代々受け継がれた刺繍や家ごとに模様が違うお洋服、1年の中で1番キラキラしたお洋服を着て子どもたちは遊びに行きます。新年になったら新しい服を着るのを楽しみにしている子どもたちのワクワク&そわそわ感がとても可愛らしくて、こちらも思わず笑顔がこぼれてしまいます。    
ピカピカの洋服を着て、お年玉を持ってお菓子を買いに行く子どもたち

大晦日には体を清めて新年を迎える

-日本でも一緒ですね。モン族では特に足と手をきれいにするそうです。すべての仕事が終わったら体をきれいにすることで、次の年は幸せいっぱいで迎えられると言われているんだそう。

大晦日の夜は家族全員が集まってごはんをいただく

-モン族は結婚するとそれぞれ家を持ち、両親の元を離れるという文化があります。そして末っ子が両親の面倒を見るために一緒に暮らす/両親のすぐ近くに暮らすようで、わたしがお邪魔したのは末っ子さん宅。この日はご両親も一緒に大晦日のごはんを食べました。家族ごはんの風景。
大晦日の夜ご飯 家族の一員として大晦日のごはんにご招待してもらいました

今年(2024年)は、新暦で1月10日が大晦日、1月11日が元日でした。ここからは、大晦日の前日からお邪魔して、新年を迎える準備、新年を迎えて親戚同士のご挨拶やお客様をお迎えするお手伝いをさせていただいた数日間のプチ体験記です。

モン族の旧正月では大晦日にごはんの準備をして、家中の掃除をします。新年には豚を1匹まるまるいただくので、そのために朝から豚さんを解体します。
そしてご先祖様を祀っている場所をきれいにして、新年の幸福と家族の健康を祈ります。(モン族もアニミズム信仰で、万物に神様が宿っているという自然信仰の民族。ご先祖様を祀る棚(祖霊舎)か、神棚か不明。わたしのために簡単に分かるように父と母が見守っていると言ってくれた可能性もあり?)

右側がお母さんのお墓で、左がお父さんのお墓だよと教えてもらった

元旦の朝にはお粥を食べるのが習わし。そしてお昼ごろになると親戚やお世話になった人たちが新年のご挨拶に来ます。

元旦~2日はお世話になった人や、親戚のご挨拶まわり。ご挨拶に行ったりお客様をお迎えしたり大忙し(村なのでバイクでちょちょちょの距離に親族は住んでて、日本みたいな帰省よりは小規模だけどご挨拶に伺うお家は沢山!)3日目は家族だけで新年をお祝いする。4日目~5日目は伝統的な遊びをしたり、お出かけをする。のがお正月の過ごし方なんだそう。

元日の第一陣のお客さんたち お昼頃には全部で6つある
この区画が全部埋まるくらいの来客

この中でも大晦日にご先祖様に祈りを捧げる時間が1番感動したので、ご紹介しますね。日本でも神棚掃除をしたり、神棚の紙を張り替えて新年を迎えるように、モン族でも1年間お世話になった場所や神棚の紙を貼り替えます。家の(恐らく入口的な場所など)各所にお線香を差します。(日本のしめ縄飾り的な感じ?)ここまでが準備です。

星の下にある赤い紙は新年に合わせて貼り替えたもの
扉の右下にある棒がお線香みたいなもの

そして一家の長が、モン族の言葉で、新年の家族の幸せと健康や豊穣を祈ります。この間、手には鶏が!そして、この儀式のために使う謎の石を床に投げて何やら向きを見ています。

左手に鶏とお線香、そして右側に謎の石

そして奥さんも同じように鶏を抱え、モン語で何かを唱えながら特別な石を投げます。

左手には鶏。この鶏はお父さんが持っていたのと別の鶏。
「ちょっと持ってて」と言われ生まれて初めて鶏の足を持つわたし。
鶏の足って温かくてびっくり。生きてるから当たり前かもしれないけれど
人生で一番「わあ命だ」って実感した瞬間かもしれない。
特別な子だと察し、逃がしたらダメだ!と
手が白くなるくらい必死に鶏の足を持つわたしとまだまだ力強い鶏

これが終わると、お祈りの間に抱えていた鶏を殺します。(お供え物的な感じ?)鶏は元日からの食事として提供されます。(本当はその過程も写真載せたいけれどやめておきますね)

1匹でバナナの葉を1枚使う特別待遇
特別な感じがしてくる

この鶏の1番大切なのは、足!なんとこの鶏の足で一家の運勢を占うんだそうです。新年のご挨拶に来た親族の人たちはしきりに、「今年はどうだった?」と鶏の足に興味津々!

ここでも銀のボウルに入って特別待遇な鶏の足

足の指の折れ曲がり具合やら角度やら、何やら見る場所がたくさんあって、1年をどのように過ごせばいいかを教えてくれるんだそう。これは男性にしか受け継がれないので、女性たちは鶏の足を見ても何も分からないとのこと。

親族のみなさんがご挨拶に来た時の一コマ
手前の男性陣が今年の運勢はどうだ、お正月はこう過ごすのがいい
と、なにやらお話しているところなんだとか

3日~4日には、村の学校や広場に子どもから大人まで集まり、伝統的な遊びやバレーボール。サッカーなどを楽しみます。(旧正月前によくFacebookで流れてくるモン族の旧正月の一コマ。こんな感じです。)

そして最終日には、家族だけのゆっくりとしたごはんと、お別れ会を兼ねたカラオケ大会を開いてもらいました。ほっこり家族時間もおすそ分けしてもらい、ハッピーなわたし。そしてベトナムの定番お正月ソングをモン族の村で学びました。(日本で流行の歌に耳馴染みがあったのって、ショッピングモールとか商店街とかのおかげだったんだと、なぜか急に悟るわたし笑)おかげで通常のテトでは定番お正月ソングもばっちり予習してから参戦できました。

カラオケ大会① 
カラオケ大会② 前回歌えなかった歌のリベンジ中なんだそう
旧正月期間に聞かない日はなかった「Tet Tet Tet Den Roi」

最後までご覧いただきありがとうございます。モン族の文化(旧正月Ver)を少しだけご紹介させていただきました。ちょっとでもワクワクとか、少数民族文化って何だか楽しい!が伝わったら嬉しいです。アベハル

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