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スポンジ生地を上手につくる。その“コツとヒミツ”

こんにちは(^-^)

ご覧いただきありがとうございます☆


はじめに

今日はお菓子づくりを楽しんでいる方、これから始めたいという方に向けて基本となるスポンジケーキのつくり方について考えてみたいと思います。

スポンジ生地が上手につくれない!美味しく焼きたい!
もっと本質的なところまで理解したい!

そんな方の参考になれば幸いです。

今は、レシピや作り方など調べればいくらでも手にできる時代。

ですので、ここではもう一歩踏み込んだ深いお話までできればと思います。

「お菓子づくりは科学だ」とよく言われますが、私もまさにその通りだと思っている1人で、素材それぞれの成分や配合が、どの温度でどのように合わさるとどんな変化が起きるかなど、お菓子づくりは科学の分野と密接な関係があり、それによって味や食感も大きく変わったりします。

同じ材料や分量でもつくり方ひとつで出来上がりに大きく差が出るなんてこともしばしば…。
そこがお菓子づくりのとても面白いところでもありますね。

今日はそんな科学的な話にも片足を突っ込みながらお話ができればと思いますので、興味のある方はぜひ最後までお付き合いください☆

スポンジ生地の材料とその役割

それでは早速はじめていきましょう。

詳しいレシピ等は書籍やウェブなどでいろいろ調べれば出てくると思いますので、ここでは割愛させていただきます。

ここでは、スポンジケーキをつくるうえで全てのレシピに共通するポイントをお話ししていきますので、みなさんがこれまでにつくったことのあるレシピやお気に入りのレシピ等をお手元に読み進めてもらえると嬉しいです。

またここでは卵を卵黄と卵白に分けずに、全卵を泡立ててつくる“共立て法”に沿ってお話していきますのでよろしくお願いします。

ご存知の方も多いかと思いますが、スポンジケーキは一般的に“卵(全卵)”・“砂糖”・“小麦粉”・“バター(油脂)”からできています。

まずはそのひとつひとつの材料の特徴と、スポンジケーキづくりにおける役割をみていきましょう。

まずは“卵”です。

卵はスポンジケーキの“ふわふわ”をつくるうえで欠かせない、スポンジ生地の気泡づくりに重要な役割を果たしています。

卵は撹拌することで泡立ち、そこでできた気泡をオーブンで焼き固めることであのふわふわした食感を生み出すのですが、この泡立て方ひとつで出来上がりがボソボソしたり固くなったりもします。それではせっかく手作りしても報われませんよね。

後で説明する工程でそのポイントを詳しくみていきましょう。


次は“砂糖”です。

砂糖はさとうきびや甜菜(砂糖大根)を原料とした甘味料で、文字通りスポンジケーキに甘味を加えてくれるものです。
スイーツには欠かせませんよね。

ケーキづくりには一般的にグラニュー糖を使用しますが、これはファインリカーと呼ばれる純度の高い糖液を結晶化させたもので、すっきりとした甘味が特徴です。

またサラサラとした粒状で他の素材と混ざりやすい特徴もあるため、製菓で主に用いられている砂糖として有名です。

スポンジケーキをつくるうえにおいては、甘味を加えることの他に、熱の伝わり方を柔らかくする働きや卵を泡立ててできた気泡を潰れにくく安定させるという重要な役割があります。

これも後の工程で詳しくみていきましょう。


次は“小麦粉”です。

小麦粉は小麦の中にある胚乳と呼ばれる部分を挽き、製粉した白い粒子です。

小麦粉はその約80%がでんぷん質、6~15%ほどがたんぱく質でできていますが、そのたんぱく質量の違いに応じて多い順に強力粉・中力粉・薄力粉に大別されます。

製菓で主に用いられるのは薄力粉ですね。

たんぱく質の少ない薄力粉は粘りが出にくくきめが細かいため、他の材料とも混ざりやすくふんわりさっくりと軽い口当たりに焼き上がります。

スポンジケーキでもこの薄力粉を使用するのが一般的です。

小麦粉はオーブンで焼いて膨らんだ生地が潰れないように支える柱のような役割をしており、ふわっとした食感を焼成後も維持するのにとても重要です。

小麦粉を入れずに、もしくは極端に少ない量でスポンジ生地を焼くと、焼いている途中はキレイに膨らみ一見何の問題もないようにみえますが、オーブンから取り出すと一気にしぼんでぺしゃんこになってしまいます。

このことからも小麦粉は膨らんだ生地を支える役割としてとても重要なことが分かります。


最後の材料は“バター”です。

バターは牛さんの生乳を原料に、生乳の中に含まれる乳脂肪分を凝縮させたもので、出来上がったバターに含まれる乳脂肪分の割合はおよそ80%です。

季節による変化はあるものの、生乳に含まれる乳脂肪分は約4%ですので、イメージとしてバターをつくるためには単純計算で生乳を約20倍に凝縮してあげる必要があるということです。

バター100gを作るのに2Lぐらいの生乳が必要だということですね。驚きです(*_*)

バターなどのいわゆる“油脂”には、小麦粉のたんぱく質が水分と繋がったときにできるグルテンと呼ばれる編み目状のびよんびよんとした構造を壊す働きがあり、スポンジ生地づくりにおいては、バターを加えることでこのグルテンを適度に壊してあげて(バキバキの肩凝りをマッサージでほぐしてあげるようなイメージ?)固すぎずやわらかい食感に焼き上げることができます。

また油脂には「消泡性」といって、できた気泡を潰してしまうという特徴もあるのですが、これもうまく利用することでスポンジ生地の気泡量を適度に調整し、ふわふわしすぎない(しすぎるとパサつく)しっとりとした焼き上がりを目指すことができます。

つくりかたとコツ・ポイント

と、ここまで材料の説明だけでややこしい話をいくつもしてきましたが、たった4つの材料でお菓子づくりの基本ともいえるスポンジケーキをつくるにも、見えないところではこのように複雑な事柄がいくつも絡み合っているんだということをご理解いただけたでしょうか?

これらの材料それぞれの特徴を踏まえた上で、ここからは実際の作り方に沿ってそのポイントを深く掘りさげていきましょう。

(※ここで…
これから実際の作り方に沿ってポイントをお話していきますが、これが全てではないということを予めご理解いただいたうえで読み進めてもらえると嬉しいです。
お菓子づくりには「正解」や「絶対」はなく、また「美味しい」の基準も人それぞれです。
ここでの話が皆さんそれぞれに合った「美味しい」のヒントになれば幸いです。)


では、ここからは実際の作り方を追いながらひとつひとつポイントとなる工程をみていきましょう☆

お手元にお気に入りのレシピがある方は一緒に照らし合わせながら読み進めてみてください。


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では、はじめていきましょう。

① まずは卵(全卵)をボウルに割り入れ、泡立て器などでよく溶きほぐします。ここで卵をよく溶いておくのは、次に加えるグラニュー糖をスムーズに混ぜるためです。

卵をほとんど溶かないままグラニュー糖を加えると、砂糖は約90%の水分を含む卵白と先に結合し卵黄が取り残されたような状態になります。するとどれだけ混ぜても卵黄の黄色い粒々が残ってしまい、焼き上げたときにもその黄色い粒々がそのまま残ってしまいます。食感にも影響しますので、まずはじめに卵を丁寧に溶きほぐすことを意識しましょう。
目安はとろっとした部分のない、さらさらと流れ落ちるような状態になるまでと覚えておきましょう。

② ①で溶きほぐした卵にグラニュー糖を加えよく擦り混ぜます。
グラニュー糖のザラザラがなくなるぐらいまでですね。
ここでしっかりと砂糖を卵に溶かしこんでおくことで、次に卵を温めるときに卵への熱の伝わり方が柔らかくなります。
砂糖がクッションのような役割をしてくれるため、熱を加えても卵が凝固しにくくなるので作業が容易になります。
砂糖にはそういう働きもあるんですね。


③ そしてハンドミキサー等で泡立てていくのですが、ここで泡立てのポイントです。
よくいろいろな作り方を見ていると「湯煎して温めながら泡立てる」という表記をみかけます。
表現の違いや温める温度などに多少の違いはありますが、概ね卵を泡立てる際には、そのままではなく温めてからのほうが良いという内容になっているかと思います。
その理由は卵が泡立ちやすくなるからというものですが、ではそれはなぜなのでしょうか?

ずばりそれは、

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