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トラベルテディ・プロジェクト 〜ぬいぐるみ留学生が世界へ飛ぶ〜 その4:留学生が到着するまで

今回は留学生の出発と到着するまでの間に行う活動について書きます。相手の留学生が来日する前に行っている活動を失念しておりました😅(前回予告の留学生来日は次回になります)。

「プロジェクトの概要」「相手の見つけ方」「留学の準備」についてはこちらにまとめています。

留学生を送る

お互いに教員同士で発送日を連絡します。EMSや宅配業者の国際サービスを使うと、大体1週間あれば相手の学校へ到着します。途中でいなくなってしまっては大変なので、トラッキング番号がついたシステムで、今どこにいるのかを確認できるようにするのがお勧めです。

「今空港だね」「飛行機に乗ったね」「相手の国に到着したよ!」とリアルに情報を共有できると、子どもたちも安心しますし、クラスメイトが国外へ出かけているんだ、という実感が湧いてきます。

2021年6月現在、国際便の本数は減っているようですが、貨物便は通常に近い形で運行されているようです。ただし相手の国や地域によっては規制がある場合もありますので、郵便局や配送業者に事前に確認をした方が安心です。

国際交流をする時に一番忘れてはならないことが、「思い通りにうまくいかないことはたくさんある」ということです。たくさん事前に打ち合わせをしていたとしても、到着に差が出たり、うまく届かないというケースも(残念ですが)ないとは言えません。

今までにアフリカへ送った場合、関税がかかってしまって現地の先生が空港まで取りに行かなくてはならない、という事態も起きました。そういうトラブルも起きないとは言えませんが、それも全て含めて国際交流の貴重な学びだと捉えています(今までにあったトラブル集は、最後にまとめてみます…)。

ですから、事前にできる準備は万全にしておくこと、相手とのやり取りもできるだけ密に行っておくと、余計なトラブルに巻き込まれなくて済みます。

到着するまでの活動

出発した後、クラスメイトだったぬいぐるみがいないだけで、なんとなく教室にぽっかり穴が空いたような状態になります。なんとなく寂しい。そこで、到着するまでは、留学先の国や地域について学習する時間にしています。

出発してから到着するまでどのくらいかかるのか、というのは正直はっきりとわかりません。その間何もしないで待つのではなく、相手に対して理解を深めておくと気を紛らわせることができます。

ところで、小学生は社会科で世界地図を習いません。日本の場合、身近なところから徐々に範囲を広げていき日本列島を学んで小学校段階は終わります。しかし、国際交流をすると日本地図だけでは足りません。相手がどの地域のどの国に住んでいるのか、子どもたちは知りたいと思っています。

ME ON THE  MAPで地図を学習

そこで「ME ON THE MAP」という絵本を使ったテーマ学習を外国語の時間に行っています。このME ON THE MAPは自分の部屋から家、街、州、国、大陸と地球というように世界地図までつながり、その後再び自分の部屋に戻っていきます。

この絵本は私が読み聞かせをすることもありますが、YouTubeにたくさん音読動画が上がっているので、それを活用しています。家でもみることができるし、子どものタイミングでいつでも繰り返し、見直すことができます。英文も同じパターンが繰り返し出てくるので、アレンジする際に単語のどこを入れ替えたら良いのか、気がつきやすいと感じています。

ストーリーに従って、トラベルテディを主人公に「教室の地図」「学校の地図」を子どもたちと一緒に英語を使って描きます。自分の部屋や家の地図を書いてもいいのですが、私の学校では小学3年生で行っているので、子どもたちはまだ自由に英語の辞書を使いこなせません。

使用する単語にばらつきがあると「英語でどう書くの?」と教員に対して質問大会になってしまい、教員がパンクします。そこで、全員で同じ単語を確認しながら進められるように、普段過ごしている教室と学校を英語の地図にしていきました。高学年で辞書を自由に使える年齢でしたら、自分の部屋や家を地図にしてもおもしろいと思います。

教室にある様々なものを英語で確認し、自分たちで描いた地図にどんどん英語を書き込んでいきます。自分が書いた絵に単語をつけていく「ラベリング」は小学生の子どもも大好きです。

次に社会科の時間に作った町の地図、地図帳を使って県の地図、日本地図を確認します。ローマ字を復習しながら、英語で日本の地名を書くときのルール(大文字で始まる)を学びます

七大陸を英語で学習

いよいよ世界地図、ここで七大陸を学びます。小学生には難しいと思われるかもしれませんが、国名で細かく地理を確認するよりも、丸っと大陸を使って世界の位置を確認できた方が、小学生にはわかりやすいと感じています。実際に国名を聞いて場所がピンとくることはほとんどありませんが、「南アメリカ」「ヨーロッパ」だとわかれば、「あ〜、大体あの辺ね」と理解できる。この「程度」が大切だなぁ、と思っています。

また、自分たちのクラスメイトが世界地図のどこに行くのか、興味津々な状態だとすんなり導入できます。ただ地名を繰り返すのではなく、下のような動画でリズムにのって何度も聞いているうちに、自然に口ずさむ子どもたちも出てきます。

七大陸の練習で、特に子どもたちが好きなのはこちら。サビ以外の部分は速くて難しいのですが、サビのNorth America, South America, Africa, Europe and Asia, Australia, Antarcticaを子どもたちはよく一緒に言っています。

歌の中でさりげなく 地球の構成:land 陸地と water 水、さらに waterを2つに分類して sea と ocean の違いについて、赤道 equator も言っているので、地球について学習を発展させることも可能です。

*注意:この歌詞で南極大陸はAntarticaと表示されていますが、誤植です。正しくはAntarctica。

学習をフリップブックにまとめる

こうして学んだことをFoldables(フォルダブルズ)Flipbook(フリップブック)にまとめます。このフォルダブルズとは、情報を平面ではなく立体的、また多面体にまとめるテンプレートのことで、海外ではよく利用されています。

まずは自分たちのトラベルテディが主人公ですから、世界地図からフォーカスするContinent(大陸)はAsia アジア、そしてCountry(国)はJapan、Cityは学校がある都道府県と市町村です。

資料1:Flipbook

フリップブックはこのようにページがズレて段々に並んでいます。覚えている方は昔よく家にあった「電話帳」のような仕組み(懐かしい!)です。各項目をめくると、その部分の地図が出てくる仕組みです。

資料1:Flipbook2

フリップブックにはME ON THE MAPでたくさん聞いた英文を自分たちの地域にアレンジして書き写したり、住んでいる場所を英語で書いておきます。

こうしてフリップブックを作っておくと、来日した留学生を主人公にして、子どもたち自身で英語のレポートを作成できるようになります。世界のアジアにある日本の、どの地域に留学したんだよ、と相手へのレポートを英語で作成する際に、そのまま活用できる仕組みです。

興味があることをちょうど良いタイミングで英語で導入し、学んだ英語を今度は子どもたちだけで本物の相手に使ってみる。こんな流れを作ることができるのが、国際交流活動の醍醐味でもあります。

フリップブックの作り方はこちらの動画がわかりやすいです。

ちょっと工夫をするだけで、記録を残すのが楽しくなり、かつ後から見やすくなります。せっかく記録したのに、後で全く見直さない、どこに書いたかがわからないというのではもったいないです。こういう記録の仕方をたくさん練習できるのも、小学校ならではだと思います。ちなみに巧緻性の良いトレーニングにもなります。

次は、いよいよ留学生の来日からお世話について書きます。

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