見出し画像

AI翻訳と外国語学習 〜実際にAI翻訳を使ってみる実験 経過報告〜

自分の夏休みの課題の一つとして、「複言語が飛び交う現場で、AI翻訳をとことん使ってみる」活動を実施中です。

これまでは英語以外の一言語、せいぜい二言語で書かれたものをAI翻訳で内容を理解するということしかやったことがありませんでした。

それが18言語のチームで協働作業を行うとなると、AI翻訳がないと無理だなぁ、と。スピード勝負の時には意味が多少おかしくても日本語でなんとか意味を理解し活動についていくしかないのと、それでも正確なことを伝えなくてはいけない時には日本語と英語の両方で意味を確認する作業をかなりなスピードで行わなければなりません。

そして。相手がそもそも英語ができる人たちばかりではない、ということを日々痛感しております。きっかけはこちら。

色々な言語が入り乱れる掲示板

このゲームはそれぞれのプレイヤーが選んだ言語に合わせて、自動的に翻訳される仕組みです。つまり、私は日本語でログインしているので、翻訳機能は自動的に日本語に訳します。

自動翻訳していない状況での掲示板はこんな感じです。いくつの言語が使われているか、わかりますか?

画像2

この時はドイツ語、中国語、アラビア語、フランス語、英語の方々で、ログインした時の挨拶の模様です。中国語の人は絵文字を使うことが多いです。

画像1

こちらはルーマニア語、英語、ベトナム語、デンマーク語、ドイツ語の方々と一緒に、実際に我々が行った作業についての感想を話していた時の一コマです。

現在、私のチームには、英語、ドイツ語、タイ語、アラビア語、韓国語、ベトナム語、簡体字(中国)、フランス語、デンマーク語、スペイン語、イタリア語、ポルトガル語、トルコ語、ルーマニア語、ロシア語、インドネシア語、オランダ語、そして日本語(私)の言語が掲示板で飛び交っております。

ゲームのA I翻訳機能

これだけの言語をゲームの設定では自動的に日本語に訳してくれるのですが、"Hi guys!" が「やぁお前ら」と訳される感じです。元々の言語のニュアンスがうまく伝わらない。

また、多言語の会話の場合、日本語訳だけを読んでいても前後がつながらず、意味がほとんどわかりません。特にアラビア語、タイ語、ベトナム語、インドネシア語、ロシア語から日本語への翻訳が、肯定ー否定が逆になっていたり、全く関係ない名詞が出てきたり、なんのことを言っているのかよく分からないことも多いです。

同じことが私(日本語)の場合にも起こっていて、私が日本語で打ち込むと、相手は何のことを言っているのか分からないようです(ただ、中国の人はよく理解してくれました)。日本語から他の言語への翻訳も相当おかしいものになっているのだなぁと感じました。

アラビア語、中国語、韓国語で参加しているメンバーは、おそらく私と同じように翻訳機能がうまくいかず、いつも意味を取り違えたり理解できずに「??」と思うことが多いと感じました。

一方で、ヨーロッパ圏内の言語は、それぞれ翻訳はそこまでずれていない印象です。また、インドネシア語、ベトナム語、タイ語の人たちはタイムラグなしに会話に参加し意味も通じていますので、そこまで翻訳のズレがないのかもしれません。

このゲームの翻訳機能にだけ頼っていると、みんなで力を合わせて共同作業、それも時間をぴったり合わせてミスを犯せない活動になると、打ち合わせだけでもかなり大変になってきます。

そこで現在は、掲示板の自動翻訳機能を解除して、オリジナルの言語そのものを別のAI翻訳を使って意味を理解し、私はその相手のオリジナルの言語、または英語で返信している状況です。

使用しているAI翻訳

今はDeepLとGoogle翻訳の2つを使用しています。メインはDeepLで行いたいのですが、DeepLで対応していない言語の時はGoogle翻訳を使います。

また、ルーマニア語やデンマーク語、ロシア語もDeepLよりはGoogle翻訳の方が意味がわかりやすいことがあります。

ですからDeepLは英語、ドイツ語、フランス語、中国語を訳す時に、Google翻訳はアラビア語、ベトナム語、インドネシア語、タイ語、、韓国語を訳す時に、デンマーク語、イタリア語、ルーマニア語、ロシア語は両方を使用しています。

普段は意味を翻訳で理解したらそのまま英語で返信していますが、上にも書いた通り、言語によっては私が書いた英語をそのまま相手が正しく理解してくれているとも限りません。

そこで、特に内容を間違えずに正確に相手に伝えたい時には、英語と相手の言語の2つを併記します。
①相手のコメントをDeepL/Google翻訳にコピーして翻訳し
②意味を理解したらまずは日本語で文を書き
③それをDeepLで英語に直し→この英語を掲示板にまず投稿する
④DeepLの英語訳をコピーして
⑤DeepL/Google翻訳で「相手のオリジナルの言語」に再度翻訳し
⑥その訳を反転させて、再び日本語と英語の両方で意味を確かめて→掲示板に投稿

これを素早く行なって掲示板の会話が進んでいきます。

英語はスラングの嵐

英語の投稿がわかりやすいかというと決してそうではありません。それは、チャットで使用されるスラング(Internet slang)の連発だからです。

AI翻訳では(まだ現在は)訳されないため、スラングが混じった会話の翻訳は意味がわからなくなります。ということは、これらのスラングはその用法を覚えたほうが早い、というよりも覚えるしかない。よく使われるのは、次の通りです。

Ty / ta 「ありがとう」を伝えるとき
Gn / gnite 「おやすみ」
WB 「おかえり」ゲームログインしてきたメンバーに使う
lol 日本では (笑)や w に相当
ATM 「今していること」の報告で多用
brb 「退席中」
Ditto 「賛成」を示すとき
DW 失敗した相手を励ますとき
Err 自分が間違えちゃったとき
GTG 準備が終わったとき
Gratz 「おめでとう」を伝えるとき
grr 「くっそー」とか、上手くいかない時
ic 「了解」を伝えるとき
idk 「分からないよー」と伝えるとき
IRL ゲームではなく「リアル」について話すとき
m8 仲間
np 「問題ない」とか「大丈夫」を伝えるとき
ppl peopleの略
soz 「ごめん」を伝えるとき
w8 「待って」を伝えるとき

*これらのスラングは、検索すればたくさん出てきますが、私はあくまで実際に使用されている「現場でのニュアンス」で意味を理解しております。

私が参加している掲示板は比較的紳士的な人が多いのか、ほとんど悪いワードは出ません。このスラングについては、事前に何の知識もない状態で出会ってしまった場合、その言葉が良い(Good Words)のか、それとも使ってはいけない悪い言葉(Bad Words)なのか、その判断ができないのは危険だな、と思いました。

でも、おそらくこのようなスラングは学校では習わないだろうし、習ったとしても覚えられるわけがないし、実際に接していきながら身につけていくものなのだろうとも思いました。ですから、わからない時にすぐに大人に確認できる環境を持つことが大事だな、とも感じました。

******

以上、経過報告でした。またしばらく活動を進めてみながら、次回は結果(結論?)をまとめたいなぁ、と思います。

おまけ

今開催されているオリンピックも多言語への対応を始めましたね。「おもてなしガイド」というアプリをインストールして対応エリアで起動すると、施設内のアナウンスを多言語で文字配信する「多言語放送システム」を利用できます。

2021年8月3日現在、対応しているのは首都圏のオリンピック会場関連施設で、対応言語は日本語・英語・中国語(繁体字・簡体字)・韓国語・スペイン語・フランス語。首都圏の主要な鉄道駅でも利用可能でした。

これは言語の問題だけではなく、視覚や聴覚が不自由な方々にとっても便利なサービスになるのではないかなぁ、とも思いました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?