見出し画像

続 『古くて素敵なクラシック・レコードたち』 私的Youtubeリンク

1) シェーンベルク 三つのピアノ曲 作品11

・グールドのピアノズムは人の心を構造的に揺さぶる、あるいは惑わせる
・ひとつの物体を解体、再構築するようなコンビネーションの面白さがある

2上) シューマン ピアノ協奏曲イ短調 作品54

・リバッティがカラヤン指揮のフィルハーモニアと共演した伝説的レコード
・一本筋の通った律動を通したまま、自由自在に音色が変化する
・月並みなところがひとつとして見当たらない

2下) シューマン ピアノ協奏曲イ短調 作品54

・力任せにせず、端正な深いタッチがアンダの持ち味
・そういうところがこの協奏曲に向いているかもしれない
・人目を惹く派手さはないが、一旦気に入れば、長くじっくり愛聴できる

3) ドヴォルザーク ピアノ五重奏曲 イ長調 作品81

・演奏者によって曲の印象が驚くほど変わるのがこの曲の特徴
・冒頭から美しくたおやかな音を出して、はっとさせる
・土着性はなく、純粋な音楽性を追求し、見事に達成している

4) ペルゴレージ 「スターバト・マーテル」

・昔から好きで、仕事をしながら聞いている
・なんといっても2人の名歌手の歌唱が聴き所。絡みに聴き惚れる
・ナポリ音楽院の録音は残響も適度に抑えられている

5上) モーツァルト クラリネット五重奏曲 イ長調 K.581

・マイヤーのクラリネットは芯が通っているが、決して太くはない
・その分繊細だが、軟弱に流れることはない
・最終楽章における5人の音楽の流れは絶妙

5下) モーツァルト クラリネット五重奏曲 イ長調 K.581

・アメリカの若い世代の演奏家が集まった組織「タシ」
・ユニットのまとまりがよく、するする流れる素敵なモーツァルト
・ストルツマンの演奏はどこまでもスムーズ

6上) ショパン スケルツォ第3番 嬰ハ短調 作品39

・リヒテルの実況盤は目を見開かされるような演奏
・一音一音が尖っていて心持ちがほとばしり出る。クリスタルガラスのよう
・音楽とは結局、志ではないか

6下) ショパン スケルツォ第3番 嬰ハ短調 作品39

・59年録音のステレオ盤も、モノラル盤に劣らず凄い
・四隅を押さえつけて、曲を弾き切っている。コントロールされている
・上下降のパッセージの野放図な美しさは魔術師的に完璧

7) チャイコフスキー 交響曲第4番 へ短調 作品36

・この時モントゥーは85歳だったが実に力強い
・間の取り方、表情の付け方、細部の始末、すべてが説得力をもち自然
・正道をいき、大柄という表現がまさに相応しい演奏

8) シューベルト 弦楽四重奏曲第14番「死と乙女」二短調 D810

・1928年、録音は古いが音質は決して悪くない
・4人の楽音がひとるに融け合うような優美な演奏に聞き惚れる
・ディジタル時代のスマートな演奏をきくと、このカペーが聴きたくなる

9上) ベートーヴェン ピアノ協奏曲第3番 ハ短調 作品37

・3番の2楽章を聴くと、なぜか広い草原を思い浮かべてしまう
・ハスキルは60代半ばだが、演奏家としてほとんど絶頂
・まるで鉈を振り下ろすような強靭なタッチ。一方、2楽章は静かに美しい

9下) ベートーヴェン ピアノ協奏曲第3番 ハ短調 作品37

・1959年グールド盤は当時定評あったバックハウスのステレオ盤と全然違う
・オーケストラとピアノがほとんど喧嘩腰で始める
・ただしエゴではなく、あくまで音楽観の落差による。素敵なすれ違いぶり

10) ベルリオーズ 「イタリアのハロルド」作品16

・コリン・デイヴィスはてきぱき前に進むが、音作りが全体的に劇的
・メニューイン盤は音楽の進め方に微妙なずれが生じているように感じる
・今井信子と組んだ時は特にうるさいと思わない

11) ハイドン 弦楽四重奏曲「五度」二短調 作品76の2

・ヤナーチェクSQは柔らかくふくよかな音
・隣国のハンガリーSQと対照的
・時代を感じさせない温かみが流れている

12) プーランク 「スターバト・マーテル」FP.148

・全体として「準古典」的な落ち着きを見せている
・ドラマ性は維持されているが、前のめりな印象は薄れている
・ヘンドリックスの歌唱が素晴らしい

13) モーツァルト ヴァイオリン協奏曲第3番 卜長調 K.216

・グリューミオはコリン・ディヴィスと組んだ盤の評価が高い
・モノラル時代も素晴らしい。ナチュラルなのびやかさで美しさを奏でる
・「美しすぎて何が悪い」と言い切る人ならば、この盤は宝物になるだろう

14) モーツァルト ヴァイオリン協奏曲第5番 イ長調 K.219

・グリューミオとコリン、ロンドン響の顔合わせは成功していると言い難い
・音楽の運びがてきぱきし過ぎて、グリューミオの美質が活きていない
・グリューミオの美質は気品ある落ち着きだが、「らしくない」

15) メンデルスゾーン 「真夏の夜の夢」作品61

・モントゥーがウィーン・フィルを指揮してウィーンで録音
・素敵。余計な力を入れず、手なりで流しながら、要所要所を抑える
・ウィーン・フィルも自分たちの優雅な楽音を愉しんでいるみたい

16) ドメニコ・スカルラッティ ピアノ・ソナタ集(現代ピアノ編)

・ホロヴィッツ、音の句読点をどこまでもはっきりさせてエキセントリック
・ホロヴィッツ独自の音楽に昇華。指先が鍵盤に突き刺さるような特別な音
・グールドの弾く「イタリア協奏曲」に似ている

17) ドメニコ・スカルラッティ ピアノ・ソナタ集(ハープシコードなど編)

・キューバのギタリスト、ブローウェイはギター用の編曲を演奏
・素晴らしい。普通のハープシコード奏者より遥かに正統的で説得力がある
・現代の匂いを鮮やかに感じさせる生きの良さがある

18) シベリウス 交響曲第2番 二長調 作品43

・1枚だけ選ぶなら、バーンスタイン/NYフィルを選ぶかも
・引き締まった音楽の佇まいは、聞くものの姿勢をまっすぐ正す
・若き日の溌剌とした音楽世界を評価したい

19) ヒンデミット 交響曲「画家マティス」

・作曲家が自作を演奏して説得力を持つ珍しい例
・差し迫った空気のようなものが感じられる
・1934年の録音に比べると、1955年の再演は今ひとつピンとこない。

20上) ドヴォルザーク チェロ協奏曲 ロ短調 作品104

・リヒャルトの「ドン・キホーテ」もそうだがフルニエとセルは相性がいい
・格調ある、どこまでもひたすら上質な演奏
・フルニエの自由な歌を、緻密なオーケストラ・ワークが支えている

20下) ドヴォルザーク チェロ協奏曲 ロ短調 作品104

・ロストロボーヴィッチは最初の一音から惹きつける
・魂の奥からこぼれ出てくるような人間的な音
・小澤との共演盤。あまりに隙がなく「完成しすぎている」

21) ベートーヴェン ピアノ・ソナタ第11番 変ロ短調 作品22「大ソナタ」

・ゼルキンの演奏する11番ソナタは本当に素晴らしい。別格
・このピアニストの美質を知るには最適かも
・真面目さゆえに、シンプルなソナタが壮大に思えて、手に汗握る

※記事記載の1970年盤と同一録音かどうかは不明

22) フォーレ ヴァイオリン・ソナタ第1番 イ長調 作品13

・フランチェスカッティとカサドゥシュは相変わらず文句なく素晴らしい
・録音が古いのがいささか惜しまれるが、ヴァイオリンの音色は美しい
・本場の食材を使って、地元の一流料理人がこしらえたディナーのよう


この記事が参加している募集

読書感想文

サポートされた者たちから受け継いだものはさらに『先』に進めなくてはならない!!