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(幼児~低学年)【境界知能・発達障害・やる気のない子】どの子も伸びる自由な学習のヒント

お子さんの中には、覚えたり、考えたりすることが大好きな子がいます。
そのようなお子さんは、自ずと将棋やチェスなど遊びの中でも思考力を使うものを好んだり、電車やポケモンのキャラクター、世界の国旗などを覚えていったりします。
また、そのようなお子さん達の中でも、問題集を与えると喜んでどんどん解いていく子もいれば、自分の好きなことや関心のあることには意欲的でも、問題集の系列的な学習は気が向かない子とがいます。

他にも、幼少期から机上の学習をやり過ぎて嫌になってしまっているお子さんや、境界知能で学習が苦手なことから問題集を解きたがらないお子さん、もともと覚えたり考えたりすることが好きでないお子さんなどさまざまな子がいらっしゃいます。

「勉強」というと問題集を進めるイメージがあると思いますが、生活の中にはたくさんの「学びのもと」があります。
問題集を進めることばかりに重きを置くと、学習のトラウマになっているお子さんや系列的な学習が苦手なお子さんにとっては苦痛になってしまうことがあります。

問題集はどちらかというと、「学習の習得」が主な目的になり、勉強色が丸出しになります。

一方、生活内からの学びであれば、勉強色がなく、知る必要性や楽しさが不随します。
自然な会話の中で、お子さんの気持ちを尊重しながら考えたり知識を増やしたりすることができます。

知ること・わかることを楽しみに変えるためには、実生活に基づいたものを「子どもが知りたいもの」を「知りたい時に」が近道です。

具体的な方法の例

今回は2人の生徒さんの実例をご紹介したいと思います。

系列的な勉強が苦手なTくん

もともと系列的な勉強が苦手。かつ、問題集をやり過ぎて勉強嫌いになってしまった小学校3年生のTくん。
問題集に嫌悪感を示し、開こうとしません。
3年生のうちの学習はまだまだ簡単ですが、4年生に上がると徐々に難しくなります。
けれども焦りは禁物。
まずは勉強嫌いを克服するためにも、Tくんのメンタルに向き合う必要があります。
私は、Tくんの「問題集をやりたくない」という気持ちを尊重し、問題集を使わないことにしました。

Tくんは乗り物が大好き。
一緒に乗り物図鑑を見ながら楽しく話しを進めます。初めは、どれに乗ったことがあるとか、どれに乗りたいとかの話でしたが、速さの話になり、自動車や飛行機の速さにつての話になり・・・
自動車が時速80kmで走ると1秒ではどれくらい進むのか。
調べてみようか?というと瞳がキラキラするTくん。
一緒に計算して求めます。
そのようにして、歩く速さや、自転車での速さ、飛行機の速さ、ロケットの速さなどどんどん応用して求めていきます。
次に、秒速5m・秒速30cmはどれくらいの速さかな?と自らいくつかノートに書きだし、実際にその速さを体感してみました。

そうしているうちに、4年生で習う速さをすっかり習得してしまいました。
他にも、カルピスを飲んだことをきっかけに、カルピスの希釈の話をしたところ、百分率(%)に関心を持ち、20%の濃さにするには水をどの程度加えればいいのか、について一緒にカルピスを作りながら5年生で習う濃度の計算の仕方もマスターしました。
%(パーセント)に続いて1割などの歩合もマスターし、お買い物ごっこをしながら、半額=50%引き、消費税込みの値段や、3割引き3割増しなどの値段の出し方もできるようになっていきました。

そうしていくうちに、どんどんできることが増え、そこで1年ぶりに問題集をやらせたところ、スイスイできることが嬉しくて、ようやく4年生の半ばで問題集を自分から解けるようになっていきました。

そのように、問題集を進めていくうちにつまずく場合は、子どもの興味のあることから広げていく学習法をお勧めします。

野球が好きなお子さんは野球選手の投げる球の速さや打率等から計算できるようにするのもいいですね。

お菓子作りの好きなお子さんは、材料を測ることから広げられます。
「今日は2倍(1.5倍・0.5倍)の量で作ってみようか。」など、年齢やレベルに合わせて。考えさせ方も、分からない時は一緒に考え方を進め、できるようになり立ての時は、比較的易しい問題を出し、できたら一緒に喜ぶ。
自信がついて挑戦気分の時にはちょっぴり難しい問題を出し、解けようものなら飛び上がって喜ぶ。

そんな体験から考える楽しさが育っていきます。
特に勉強が苦手なお子さんにとったら、学年を超えてできることがあれば自信がつきます。

注意点は、「子どもが興味を示さなければ無理に進めないこと」です。
子どもの「やりたい」に100%寄り添いながら進めることが功を奏します。

数が好きなAくん

次に、月に2回通われる4歳のAくんのお話。Aくんは数が大好き。
お母さまのご希望もあってAくんとは、系列的な問題集を進めていくのではなく、「Aくんの気の向くままに自由にAくんのしたいことを楽しんで進める!」そんなスタンスで授業を進めています。

毎回机上にはたくさんの知育玩具や図鑑を用意しておくのですが、Aくんの目に留まったもの。やりたい!と思ったものから手を付け、毎回遊びながらも、ものすごく深い学習をしています。

先日は話の流れでスカイツリーの話が出ると
Aくん「エレベーター速いんだよね!」
私「そう。1秒間に10mくらいの速さかな。それを秒速10mっていうんだよ」
と話すと興味を示したので、速さについての話をしました。
Aくんの身長がちょうど1mほどだったので、秒速3mの速さは、1秒でAくん3人分の長さを進む速さ。ということで、秒速/3m・1m・30㎝の速さを一緒に測って体感してみました。

私「1時間に進む速さを時速っていうんだよ」
Aくん「お父さんが運転する車、高速道路で時速105kmだった!」
私「1時間に105km進むんだね。1km=1000mのことなんだよ」
というと単位にとても興味を示したので、単位の話になりました。
1mが100cmである話になると、今度は長さに興味を持ち、
Aくん「この前プールで水深1.3mだったよ」
から、1.3m=130cmという話になり、Aくんの膝くらいまでは約30cmだから0.3m・・・小数の話に移っていきました。

世の中には、長さや重さ、量、速さや割合など、いろいろな表し方がありますが、
それらを問題集の中だけで完結してしまうのは、ワクワク知る楽しさを味わう面においてはもったいないと私は思います。

できる範囲でいいので、生活の中で使って子どもとワクワクを共有してみてください。

例えば写真にあるように、お菓子は全部で何個あるかな?

年齢によっては数えるだけでもいいですし、違いを比べてみたり、
いろいろな式で求めてみよう!
2+2+3+3
2×2+3×2
(2+3)×2
など、一緒に考えても楽しいです。
買い物に行ったときに
「牛乳1本買おう。これは1ℓで重さは約1kg」
などと話してあげるのもいいと思います。
できないと困る、これを教え込まねば・・・と思っているとうまくいきません。
とにかく、親(指導者)が楽しそうにやると食いつきもよくなります 笑
話しかけて反応がいまいちであれば、肯定的に諦めて楽しいものを探したり、「子どもが関心を持った時」がチャンス。

できることから試してみてくださいね。

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