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【中学受験】志望校選びは慎重に

新学期が始まって1か月が過ぎました。
中学受験に向けて「まだ先だけど考えてみようかな?」と情報収集をしている方、6年生になり「いよいよ受験勉強が本格化!」という方、「志望校が決めきれない・・・」と考え中の方、いろいろかと思います。
受験に関しては、ひとそれぞれ様々な悩みがありますね。しかし、どんな方にもお伝えしたいことがひとつあります。
それは、「大切なのは入学したあと」ということです。
私は33年間中学受験の指導をしてきましたが、ここは非常に重要な点だと考えています。受験勉強の真っ只中にいると見落としがちですが、「合格=ゴール」ではないのです。

入学後を想像してみよう

例えば、挑戦校に進学すると、受験生活以上に大変になることがあります。私立は公立に比べて難易度が高く、進度が速く、課題も多く出ます。ようやく受験が終わって一息ついたと思ったらまたハードな勉強が待ち受けており、勉強以外にかける時間が持ちにくくなることがあります。
実力相応校であっても勉強がきつくなる可能性があるので挑戦校であればなおさらです。
安全校の場合は勉強面で余裕ができ、部活や趣味、家族、お友達と過ごす時間も比較的自由に取れます。
このことを念頭に置き、お子さんの性格と併せて志望校をじっくりと考える必要があります。

また、私立は面倒見がいいので親にとってはありがたいのですが、成績によっては夕方まで補講があり、子どもにとって負担になることがあります。
実際には課題や提出物の多さについていけなくなる子もいます。
熱心な学校であるほど、子どもは苦しみストレスを感じてしまう可能性があります。それでは楽しい学校生活とはいえません。
学校名や学校の方針が素晴らしくても、わが子が合うとは限らないのです。

さらに、昔は付属だとそのまま上(大学)に上がるケースも多かったのですが、今では多くの付属校でも大学受験を推し勧めています。お子さん自身の希望で受験をする場合はいいのですが、やっと中学受験を終え「高校受験がない」とホッとしたのもつかの間、大学受験に向けたカリキュラムが施され負担に感じてしまうお子さんもいます。

良い学校とは何か?

上記を踏まえ、私が思う良い学校とは、お子さんに合った学校=「お子さんが楽しく充実した学生生活を送れる学校」です。わが子に合っていて楽しく通える学校こそ良い学校であり、子どもが伸びる学校です。
当たり前、と感じるかもしれませんが当事者になってみるとつい見落としてしまいがちです。
大学進学率が良い学校、学習進度が速い学校・・・。
どうしてもスペックに目が行ってしまいがちですが、すべての子どもに合っているとは限りません。中にはゆっくりじっくり理解をしていく子もいるのです。挑戦校だけでなく、余裕を持って入った学校にも魅力はたくさんあります。
世間の目より、子どもの特性や能力に合っているかを優先すべきです。
そこで、学校説明会に参加した折には、入学後の課題・テストの量もチェックする必要があります。
志望校選びは、慎重かつ子どもファーストでいきましょう。

中学受験の本当の価値

私自身の中学受験を思い出すと、合格を知った時、なんとも言えない達成感がありました。頑張った自分を心からほめたいと思いました。大きな山を登り切り、山頂から美しい景色を見ているような、目に映る世界すべてがキラキラしている感覚。とても良く覚えています。
この時私が得たものは、目標に向かう気持ちの作り方、達成感、充実感、そして自信でした。
この気持ちを生徒さんにもぜひつかんでほしい。辛いだけではない受験経験をしてほしいです。

今まで多くの受験生と過ごしてきました。過去には、体力的にも精神的に緊迫して臨み、「辛く大変だった。ようやく終わった!」という子もいれば、楽しく心軽やかに過ごし、「大変だったけど、楽しかった。受験生活が終わって何だか寂しい」という子もいます。両者の違いは入学後を左右します。
辛い思いをした子どもは『伸びきったゴム』のような状態になってしまう可能性が高いのです。そのうえ、思い描いていた中学校生活とは違っていた場合には、心に葛藤を抱えたり、辛くてイライラしたり元気がなくなったりしてしまいます。これではせっかく頑張ったのにもったいないです。
自身の指導を振り返ると、若い頃は指導経験が乏しく、今思うと反省しきりです。
勉強させる・合格させることに集中し、生徒さんの気持ちを汲み取ったり尊重したりするまでは十分に気が回りませんでした。
それらの苦い経験を踏まえ、今となっては受験生には、大変ながらも楽しく心軽やかに過ごしてほしいと思っています。

性格、能力、適性に合わせた学習環境が子どもを伸ばします。
子どもをよく観察し、気持ちを尊重した入試スタイルを、
そして、後悔のない志望校選びを。
合格=ゴールではなくスタートです

お子さんの勉強後や塾帰りの表情は疲れていても爽やかですか?
先生を信頼していますか?
達成感や充実感を持って取り組んでいますか?
受験の道のりは長いので時にいろいろな側面があるかもしれませんが、自分の目標に向かって前向きに取り組めていれば必ず良い方向に向かうでしょう。


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