社員30名のスタートアップが週イチで通常業務を禁止する理由
こんにちは!ファンと共に時代を進める、Web3スタートアップのGaudiyでコーポレートサクセス(HR/PR)を担当している安部(@abe_motivator)です。
スタートアップは、常にリソースが枯渇しています。そのような状況下でも、ミッションの実現に向かって非連続的な成長をしていくために、どの企業も頭を悩ませているかと思います。
その解決策のひとつとして、Gaudiyでは毎週水曜を「通常業務をしない日」と規定する、その名も「EMPOWER-DAY(エンパワーデイ)」という新しい制度を今年の4月から取り入れました。
導入から約2ヶ月が経ち、一定の成果と課題も見えてきたので、このnoteでは本制度の全容と実態をご紹介してみたいと思います。
人事の方はもちろん、スタートアップやベンチャー企業で働くすべての方々に参考になれば嬉しく思いますので、よければご一読ください!
"アウトプット過多" の日々からいかに脱却するか
EMPOWER-DAYの議論が始まったのは、今年の3月頃。
代表の石川から「週の中日を休みにするのよくない?」というアイデアベースの提案をいただき(笑)、国内外の事例を調べ始めました。
その中で、週休3日制の導入企業に対する海外の調査では「84%がワークライフバランスが向上した」「94%が週4日勤務を残したい」「採用応募が30%増えた」といった結果が出ていたり、国内でも600株式会社が週休3日制で開発の生産性を高めていたりと、ポジティブな先行事例があったことから本格的な検討を開始しました。
そして色々と調べていくうちに、週休3日制にも報酬、労働時間などの違いによって、いくつかのパターンがあることがわかってきました。
海外では「C:労働日数/時間削減・報酬維持型」がほとんどで、コアとなる思想は労働の生産性と柔軟性を高めることにあります。
一方、国内の導入事例では、報酬も応じて減額になったり(B)、業務総量が変わらないために他の曜日に皺寄せがいったり(A)など、労働削減・給与維持での週休3日制はまだまだ少ないのが現状です。また、一部の大企業が導入している背景は「ワークライフバランスの向上」がほとんどでした(調査が甘かったらすみません……)
ここで当初の目的に立ち返ると、僕らはまだ30人規模のスタートアップ。
あらゆる制度は、あくまで「ミッション実現」のためであり、前提として「事業成長」があります。
そのためには、新しい概念や技術などを常に学び・試して・改善していくことが必要不可欠ですが、日々の業務に忙殺されてなかなかインプットや中長期の思考をするための時間が取れていないことが、当時の課題でした。
そこでGaudiyでは、半ば強制的に中長期のための「探索」をする時間をつくるという目的のもと、週の中日(水曜)に通常業務をしない「EMPOWER-DAY」を試験導入することに決めました。
中長期的な "探索" をおこなう「EMPOWER-DAY」
EMPOWER-DAYは「個々人をエンパワメントする日」であって、完全な休みではありません。その概要は以下になります。
週休3日制ではなく、上記のルールにした理由としては、目的にかなう時間の使い方を会社から明示したかったからです。
というのも、自律的なメンバーが多いとはいえ、丸一日をフリータイムとして個人に委ねられては有用に使うのがなかなか難しいと思っています。
なので、前提としての事業成長と、個々人のエンパワメントを実現するための制度であることを伝え、半日は「自由」、残りの半日は「業務」として中長期のための時間を取ってもらうやり方にしました。(当然、給与は変わりません。)
また、EMPOWER-DAYに推奨される「中長期のための業務」と、原則禁止される「通常業務」についての区分を明確にしました。
具体的には、普段なかなか時間を取りづらい戦略・発散系のディスカッションや、緊急度は高くないけれど重要なイシューに対する非公式プロジェクトの発足・推進などが推奨されています。また、非公式プロジェクトの推進に必要な個人のインプットやチームでの勉強会もOKです。
通常業務の日が1日減った分、月火・木金に集中するサイクルをつくり、生産性を高めていくことでアウトプットを減らさないように努力しています。(ただここは課題があるので後述します……!)
EMPOWER-DAYから生まれた取り組み
ここでは、より具体的なイメージを持っていただくために、EMPOWER-DAYから生まれた新しい取り組みについて3つほどご紹介します。
1. ブロックチェーン関連の勉強会
エンジニア有志でブロックチェーン周りの勉強会を開催。今後のプロダクト開発で必要になりそうな技術はもちろん、移り変わりの早いトレンドをキャッチアップして、将来的に生かしていくことを目的としています。
今までもSlackでの情報共有などはされていましたが、それぞれリサーチしたことを同期的にシェアする場ができたことで、新しい知見を継続的に得られるようになったそうです。
2. 経済学・メカニズムデザイン勉強会
非公式プロジェクトとして有志で発足。Gaudiyがめざす「ファン経済圏」をつくっていくために、ユーザーがハマる仕掛けをアカデミックにデザインすることや、良い行動をするほど得する持続可能なエコノミクス設計を実現することなどを目的に活動しています。
BizDev、Producer、エンジニアなどが参加しており、チームの枠を越えて、将来を見据えたテーマを議論できる有意義な時間になっているそうです。今後は座学だけでなく、Gaudiy内での実験まで活動を広げていく予定。
3. パターン・ランゲージの推進
非公式プロジェクトとして有志で発足。日々の業務におされて止まりがちだったパターン・ランゲージの活動が、EMPOWER-DAYにより復活しました。組織の中長期的なカルチャー醸成を見据えて、促進すべき行動や抑制すべき行動を促すパターン・ランゲージづくりに取り組んでいます。
他にも、Gaudiyの「ゆるキャラ」をつくる非公式プロジェクト推進や、中長期を見据えた採用ブランディングの議論、グローバル化に向けた英語学習や気になるサービスの調査など、さまざまな取り組みが自発的に行われています。
運用開始して2ヶ月、社員が感じる成果と課題
このように、新しい動きが生まれているEMPOWER-DAYですが、もちろん課題もあります。
運用後2ヶ月の時点で振り返りアンケートを取ったので、ポジティブ・ネガティブ両面のリアルな声を公開します(一部抜粋)
「メリハリがついた」「今まで時間を割きづらかった課題に取り組めるようになった」などのメリットが感じられている一方で、「週4になった業務dayの生産性をどう高めていくか」などが主な課題として挙がっていました。
単純に計算すると稼働時間が80%になるので、今後も継続するには、月火木金の時間の使い方を改革レベルで変えていく必要があると考えています。
まだスタートライン。実験を繰り返して改善していく。
さいごにお伝えしたいのは、EMPOWER-DAYは、まだスタートラインに立ったばかりです。あくまで "v1" なので、ここからみんなでブラッシュアップしていきたいと思っています。
その目的は「中長期的な探索ができる時間をつくり、事業成長につなげること」なので、もしやってみて成果につながらないのであれば、制度自体の存続を見直すこともあるかもしれません。
ですが現状は、まだまだ改善すべき課題はあれど、メリットを感じている部分も多くあります。僕自身、水曜の午前中に家族と過ごす時間が取れたり、忙しそうで遠慮しがちだった他職種とのコラボレーションがしやすくなったりと、ポジティブな変化をたくさん感じています。
Gaudiyのクレドのひとつに「超守-破離」というものがありますが、日々の業務に追われて「超守(=徹底的にリサーチすること)」の時間が十分に取れなかったり、土日に補っている人もいたりして自分自身としても課題感のある部分だったので、今回の制度をローンチできてよかったです。
そしてGaudiyだけでなく、個々人がエンパワメントされて、事業成長にもつながるような新しい働き方が「世の中のStandard」になれば嬉しく思います。
GaudiyのEMPOWER-DAYを過ごしてみたい方や、New Standardな人事制度づくりに興味のある方は、ぜひMeetyでもTwitter(@abe_motivator)でもご連絡ください!!
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