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製造業Vertical SaaSは、加工会社にどのように受け取られているか

こんにちは、キャディの安部です。在籍3年経ちまして、直近半年はSaaSプロダクトにプロダクトマネジャーとして携わっています。

会社として100名ごろのタイミングで入社して、今度はそのひとつのSaaS事業部が100名くらいのタイミングを迎えました。あの頃と変わらず、色々なことを自分たちで作っていくフェーズを楽しむ機会に今も恵まれています。

そんな弊社はこの度、シリーズCの資金調達を実施いたしました。

その中で、携わる『CADDi DRAWER』の年間成長率が10倍を超えていることを触れていますがその傍らで、少し前にそのサービスにて「加工会社プラン」を本格展開していくことを発表しました。

私は以前より加工会社の皆さまに主担当としてヒアリングを重ねてきました。直近では商談に参加しながら、中期的にどのような方向に向かっていくべきなのか検討しています。本記事では、その経験の中で「加工会社の皆さまにどのように受け取っていただけているか」書きたいと思います。

ちなみに話の対象となる『CADDi DRAWER』とは、独自の画像解析技術によって図面をキーワードや形状で検索・利活用できるようにするサービスです。図面に記載されている寸法・記号・テキスト等の情報を自動で読み取ったり、部品形状の類似性を評価したりすることで、今日に至るまで取り扱ってきた膨大な図面の中から今回参照すべき図面を誰でも引き出せるようになります。

それら具体的な機能はどのようなコンセプトに立脚しているのか、我々の考え方はCPO白井のnoteに詳しいです。

2022年6月の販売開始以来、産業機械メーカーなどへの導入を進めてきましたが、それらメーカーから依頼を受けて部品製造する立場にいる加工会社の皆さまにも価値提供できることを以前より確認してきました。

そのサービスが本格展開前後において、どのように受け取ってもらえているか。まずは本格展開する前に、展示会経由で引き合いをいただいた加工会社の社長で初回面談でいただいた言葉からご紹介していきます。


「キャディのミッションに共感するから、キャディとの商談が終わるまでは、ほかの商談はすべて止めますよ」

目の前の案件をこなすことに追われてしまい組織として知見を積み上げられていないこと。結果的にベテランにノウハウが集中していて「属人化」が進む一方であること。

これらは、ほとんどの加工会社の経営者が抱えている悩みであり、採用難やベテランの高齢化がすすむなかで事業の存続にも関わる重大課題です。

掲題の一言をお伝えしてくれた代表が経営される会社も例外ではありませんでした。図面を管理するツールは他にも数多あるなかで、「画像解析技術」をフックに手間をかけずに誰でも取り出せるよう図面を活用することに主眼を置いていること。それをベースにユーザー企業のポテンシャルを最大限発揮し、解放していけるようにすること。

一見似ているサービスはあるが、『CADDi DRAWER』のコンセプトとそれが我々がミッションに掲げる「ものづくり産業のポテンシャル解放」につながっていることに強く共感してくださりました。「どのようなツールを導入するか」という社長の問いがいつの間にか「どうすればキャディと一緒にやっていけるか」に変わっていた胸が熱くなるシーンでした。

『CADDi DRAWER』はクラウドサービスです。どんどん機能進化させていきます。ですので導入検討の際には、我々はどこに向かっていくのか・何を解決しようとしているのかにご理解と共感していただくことは非常に重要だと考えています。

先日も、溶接記号を自動認識可能になると共に、最大寸法を推定して絞り込みに使える機能をリリースしています

「実は弊社には1億円相当の資産が眠っている。それを眠らせたままにしますか? それとも活用しますか?」

これは顧客企業の責任者が、『CADDi DRAWER』導入を上申する際に役員にお話された言葉です。水面下でインタビューを重ねていた時期から、とても積極的にコミュニケーションしてくださった方です。

「創業してからこれまで見積もってきた図面総数」に見積時間をかければおおよそどれくらいのコストを図面を読み取るコストをかけてきたかが試算できます。

これまでは、図面は「決まりだから保管している」意識が否定できなかったが、『CADDi DRAWER』というレンズを通すことで、眠っていた図面に「1億円相当の資産」という意味合いが付与されました。同時におのずと「1億円相当の資産」活用を戦略化することが約束された瞬間でした。

見え方が変われば、扱い方が変わってくる。目の前の案件を進めることに追われてしまい、知見が積み上がりにくくなってしまっている。そんな事業運営を変える重要な兆しです。そういった価値を信じていただける事業責任者や経営者の方と一緒に進めさせてもらっています。

「図面を探すことが楽になった。結果的に図面を探すことが増えた」

ミッションやサービスコンセプトに共感していただき強く推進してくれる責任者が多いですが、現場を変えていくには負荷最小のままサクセスを体験していただくことが肝要です。

『CADDi DRAWER』を導入するとすぐ実感いただけるのが「図面を探す時間が一瞬になる」という分かりやすい体験です。

図面を探すのは従来どういう行為か。加工会社における様々な工程で、図面の探索を行います。たとえばお客さまより新たに届いた見積図面に似ている図面を探すことがあります。過去に似ている部品を見積・製造していたのなら、当時の見積ロジックや加工手順・プログラムはノウハウの塊です。

但し、その過去部品を探し出すには顧客ごとに管理されているファイルを書庫から引っ張り出してきたり、ベテランに「似たような部品は過去に無かったか」お伺いをたて、なんとなくのヒントをもとにそれっぽいキーワードで共有フォルダを検索してみたりする必要があります。

終日探し続けるエピソードも複数社から聞いています。そんな手間や煩わしさを考えると「過去の参考図面を探す前に、さっさと目の前の図面をゼロから処理してしまう」ことは往々にしてあるとも。たしかに目先の作業に閉じた場合は、合理的な判断と言えます。

しかし少し長めの時間軸で見ると、過去取引と整合性がとれていないアウトプットをお客様に出してしまったり、おなじようなミスで利益を損ねてしまいかねません。それらは大半の加工会社が経験している顛末です。

『CADDi DRAWER』独自の画像解析による様々な検索機能を用いれば、参照に値する過去図面を一瞬で探し出すことができます。

探す労力が極小化したことで「参照できる図面がないかまず検索して確認する」という習慣がユーザー企業のなかで生まれ始めています。過去の参考図面を誰でも引き出せる経験は、いま進行中の案件もいつか誰かの参考になることを前提として取り扱っていく意識の変化を生み出します。

「どんどん改善してくれるとわかっているから、もし使いづらくても使い続けますよ」

1-2年前、まだSaaS事業が立ち上がる前のことです。キャディの祖業であるMANUFACTURING事業にて、加工会社に使ってもらうプラットフォームのプロダクトマネジャーをしていた際に加工会社の見積担当者に言っていただいた言葉です。

当時、「ものづくり産業のポテンシャルを解放する」というミッションに共感いただき、同じ方向を向けていることをとても嬉しくなったことを覚えています。

この言葉を(いま携わっている『CADDi DRAWER』もまさに同じ環境だな)と時折思い出すことがあります。弊社従業員はもちろん、ユーザーの皆さんもミッションを体現していくためにそれが有効なアプローチであると確信してくださっている状態です。

実名でインタビューに応じてくださっているプランネットエンジニアリング社もまさに、共に成長していく存在としておなじ未来に期待いただいています。

「キャディは現場の意見を取り入れていく会社だと思った。5年先、10年先見た時に、今はこれで十分だけども、その先を考えないといけません。今まで弊社でも色々なシステムは入れていましたが、自分たちが伸びていくにつれて、1、2年で限界が来てしまう。CADDi DRAWERは、ユーザーの要望を取り入れてこれからも進化していくと感じました。機能、性能だけでなく、そこも導入に踏み切った点です。」

https://caddi-inc.com/drawer/case/plannetengineering/


最後に

キャディでは今回の資金調達を皮切りに、更なる事業拡大を目指していきます。DRAWER事業の拡大のためのエンジニア人材の採用など、積極的に進めています。ご興味をもっていただける方がいましたら、詳細は下記リンクをご参照ください。





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