上げるのはモチベーションではなく○○
経営者として「社員には自発的に仕事に取組んで欲しい」と願うことは当然だと思います。そして、この自発的に仕事に取組んでもらうために「モチベーションが重要!」と考えるのは、よくあることです。
確かに、やる気がある時とやる気がない時のパフォーマンスの差は歴然であり、人の行動がモチベーションに左右されることは、私も十分に理解しています。しかし、このモチベーションの重要性を認めた上で、あえて言います。
経営者として、社員のモチベーションを上げようと考えてはいけません。
なぜか?
なぜなら、上がったモチベーションは必ず下がるからです。
つまり、自発的に仕事に取組んでもらう手段としてモチベーションに頼っている間は、「モチベーションが上がらないから仕事がはかどらない」という、社員の言い訳を認めることになります。
人は変化に対応し、慣れていきます。
導入当初は、社員の行動量を上げることに寄与していた施策も、しだいに効果が薄れてきます。その結果、会社が社員の行動量を上げる施策を考え続けなければいけません。言葉を選ばずに表現すると、経営者が社員のご機嫌を取っているようでは、本末転倒です。
上げたモチベーションは必ず下がる!
だからこそ、モチベーションに頼ってはいけないのです。
では、社員が自発的に仕事に取組んでもらうためには、経営者として何をしなければいけないのか?
それが、当たり前の基準を上げることです。
つまり、社員には、やるべきことを淡々とやってもらう必要があるのです。時々、「いや、ウチの会社では、常にモチベーションを高く維持している社員がいる」と仰られる方がいます。
しかしそれは、その社員の方のモチベーションが高いのではなく、他の社員と比べてやる気が溢れている状態が、その優秀な社員の標準状態であり、会社が求めている当たり前の基準なのです。
社員のモチベーションを上げようとするのは、間違った考え方です。
上げるのは基準です。
繰り返します。
経営者は社員のモチベーションを上げるのではなく、会社の当たり前の基準を上げることが重要です。
モチベーションとは「行動動機」です。行動動機は「あるか・ないか」です。「行動動機を上げる」という言葉は不自然です。