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覗き込むと見えてくる世界 -岩崎奏波[めぐるものたち]@OIL by 美術手帖ギャラリー 渋谷PARCO

岩崎奏波「めぐるものたち」@OIL by 美術手帖ギャラリー(-12/25)。


1枚1枚で物語が語れそうな

 なにかの絵本の挿絵の展覧会、と聞いても違和感がない。一連の油彩は、あたかもストーリー順に並んでいるように見えるし、あるいは、それぞれが物語を持っているようにも見える。


(前略)岩崎はこれまで、家や植物など日常的なモチーフと、ユーモラスに姿を変えた架空の動物がフラットに存在する、物語性を帯びた絵画を発表してきました。しかし単に生き物を描くのではなく、岩崎の絵画に登場するそれらのモチーフは、絵画を描くという行為における思考や感情を表す存在であり、絵画空間と現実をつなぐ媒体でもあります。

本展では、岩崎が今秋約1ヶ月間スペインに1ヶ月滞在し、帰国後描いたものを中心に発表いたします。日本との物理的な距離や、時差や時間の変遷などに思いをめぐらせることが多かったと話すように、時空や現実を超越するような作品群となります。岩崎の新境地となる本展を、是非ご覧ください。

岩崎奏波個展「めぐるものたち」 開催概要より


アーティスト・ステートメント
物理的、時間的、心理的な距離による違和感が、私の絵に影響を与えています。例えばそれは、絵の具を塗り重ねるほどに空間が遠ざかったり、粘土を引っ掻いて掘り込むほどに形が浮き上がるのを感じるとき。例えば、薄い壁一枚の向こう側がとても遠くに感じたり、はるか昔に作られたものに手のひらで触れるとき。絵の中に描いたものは、近くと遠く、過去と未来、内と外をかき混ぜてつなげながら、絵の中をめぐっています。

同上

思わず覗き込む、小さな立体の世界

 静かな油彩画の途中途中に、小さなオブジェが展示されていた。


 思わぬところにも。

 その1つひとつは、足を止めてじーっと観ていると、実に微に入り際に渡って、丁寧に模様が刻み込まれていることがわかる。

 作業台のようなこんな机にも、オブジェたちは並んでいて、

 思わず覗き込んでじっと見入ってしまう、そんな愉しさがあった。

 そしてふっと我に返り、そうだった、ここは渋谷PARCOだったのだと気が付く、そんな数分の旅の時間。


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