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ギャラリー,イベントで出逢った作品

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偶然の出逢いも含めた、ギャラリーやイベントで出逢った作品たちを紹介した記事をまとめたマガジンです。
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#蔦屋書店

内面の闇,そして希望 -大河原愛[静けさの内に留まる羊は,いかにして温もりを手に入れたか II]

 某日、銀座。  大河原愛展「静けさの内に留まる羊は、いかにして温もりを手に入れたか II」(-6/20)@銀座 蔦屋書店 アートスクエア  ベールに包まれた女神像のようなモノクロ作品を中心に、左右に作品が展示されている。そのようすは、祭壇を思い起こさせる。 儚さと強い意思と  顔の一部を隠された女性たちからは、儚さや憂いのようなものが漂ってくるようだった。それとは対照的に動物たちの輪郭ははっきりと描かれ、その賢そうな眼差しからは、静かで強い意思のようなものが伝わって

二次元上の三次元表現 -アレックス・ダッジ個展@銀座 蔦屋書店

 アレックス・ダッジ個展@銀座 蔦屋書店、5/15まで。Maki Fine ArtsのほうのPart1は見逃してしまったので、Part2のほうを。 奇妙な立体感に、嵌る  ポップアートの展示か~、などと、軽く通り過ぎようとし、  えっ? と思ったとき、もう作品世界にくぎ付けになっている。  作品は1枚のボードに描かれている。  それなのに、この立体感は?  画面のなかで、世界は楽しそうに崩壊していく。  そうかと思えば、  今度は画面に、階段が現れる。 手を

群衆,遠吠え -Yu Seto「HOWL」@銀座 蔦屋書店(-2/16)

 遠吠えするオオカミ。  親とおぼしき1頭と、  おそらくは子供たち?  Yu Seto「HOWL」@銀座 蔦屋書店(-2/16)彫刻家・瀬戸優の新作4点。  その等身大の野生動物の姿はリアルで、テラコッタで創造されたものだとわかりながらも、あたたかな血が通い、息づかいが聞こえてくるかのように、感じられてしまう。  遠吠えとは、コミュニケーション。  展示作品の周囲には、こんなふうにカフェに集う人たちがいて、彼らの多くは、スマホやPCの液晶を見ている。  彼ら

行き場を失う視線の先 -佐藤誠高[Reality -Dancing on the Edge-]@銀座 蔦屋書店

 佐藤誠高個展「Reality -Dancing on the Edge-」@銀座 蔦屋書店(-2/14)  まるで目隠しのように、顔を覆われた人の顔。  モノクロ写真への加工? とも思えるが、  近寄って観ると、写真でなく、手法を変えて描いているようだ。 視線の行き場  脳はエネルギー消費が非常に大きいため、できるだけ負担を減らそうとするという。  自分の場合に照らしてみれば、たしかに日常生活のなかで、人の顔を見るときは目を見る。そのほかのディテールは、よほど注

脳内補正の快感再び -中谷健一 虚歪民藝(きょわいみんげい)@京都(-12/27)

 年末、京都。  クラクラするような脳内補正ワールド、中谷健一「虚歪民藝(きょわいみんげい)」@京都 蔦屋書店 6F アートスクエア(-12/27)  作家の世界観にすっかりやられてしまったのは、6月、銀座シックスの展示。半年前のこととは思えないくらい、鮮やかに記憶に残っている。  作品は、たとえば、 ひかり福助 エフェクト招き猫 ポンプヒグマ アンビエントテクノなタヌキ 熊の手 ブリックベア 虚歪⺠藝(きょわいみんげい)とは  AMBIENT KYOT

言葉を刻み生命を吹き込む- 彫刻家 大森暁生展-血路-@蔦屋書店 銀座

  彫刻家 大森暁生展-血路-@蔦屋書店 銀座(-12/24) 動き出しそうな動物たちの像  展示会場でまず目をひくのは、2体の立体作品。生きているかのような、ほぼ原寸大とおぼしき動物たちだ。  なめらかな質感、どこか達観したかのような表情。森を支配する大型動物たちが、身を潜めている姿が再現されている。ゴリラ?のほうは「森神」という言葉が作品タイトルにあり、手負いではなく現実を超越した動物として創造されたのかもしれない、と思う。  そして今にも、次の動作が生まれそう

無垢,癒し,超越- タカハシマホ個展「MUYU MUFU (No sorrow, no wind」@蔦屋書店 銀座

 タカハシマホ個展「MUYU MUFU (No sorrow, no wind」@蔦屋書店 銀座  銀座シックス6階の、エレベーターで上がったすぐのところに、2カ所に分けて展示。まず、この立体作品に、ふわっと和まされて、  ふと背後のスターバックス横のスペースを見れば、このように作品が展示されている。  かわいい。 少女像→あの子(ANOKO)  概要を読んでみる。ただのかわいいイラスト、から超越したなにか、の理由が少し見えてくる気がする。 幼子→神へ  迷

風を呼びこみたくて(購入) -御村紗也 展 ‘scene'@銀座 蔦屋書店

 銀座で歩行者天国開催の、11月のある週末。  銀座 蔦屋書店@銀座シックス。 御村紗也 展 ‘scene'(-11/24)  ここで初めて出逢った作家、作品。 展覧会名と同タイトルの'scene'を買う  そして、こちらの作品を購入した。  衝動買い、はさすがにしなかったが、出逢ってから3日考え、やはり必要だと思ったので購入した。 作品への惹かれ方、のバラエティ  わからないながらも、今までの自分と比べて数多くのアートを観て、ここにアウトプットをしてきたわ

ただ力強く美しく-飯沼英樹 新作展[VR/XR]@銀座 蔦屋書店

 飯沼英樹 新作展「VR/XR」@銀座 蔦屋書店 (- 11/24)。 Vision Proにインスパイアされて  新作のシリーズを観ていく。  アーティストのステートメントを。  なにしろ、作品は「木彫り」なのだ。それも、(おそらくあえて?)粗く仕上げている部分がある。ステートメントのなかの「アンチテーゼ」という言葉と、ひょいと繋がってくる感覚もある。  高さは50㎝程度、価格は35~45万円というところだ。非常に心が動いてドキドキする作品があったが、やはり売約

クールな表情の向こう -Sablo Mikawa個展[I Will Survive]@銀座 蔦屋書店(-11/15)

 Sablo Mikawa(サブロミカワ)個展「I Will Survive」@銀座 蔦屋書店(-11/15)  本展では、初公開の「Surviveシリーズ」や、 「Fire Manシリーズ」の最新作も展示。  はじめに、アーティストによるステートメントを。 Surviveシリーズ Fire manシリーズ Fire woman No.2”Rest” Dobel man No12"瞑想" Civil worker 2023 無表情/顔が描かれないのは  

黒塗りから浮かび上がる[色彩] -ヒロ杉山[BLACK MOON]@銀座 蔦屋書店(- 10/25)

 ヒロ杉山 個展「BLACK MOON」@銀座 蔦屋書店(10/07 - 10/25) 黒のシルエット、既視感 まず、作品から。  全作品がモノクロ。盛り上がった、黒のシルエット。  観ているうちに「あれ?」となってくる。  「この絵って、どこかで?」と。  これらの人物画までくると、「やっぱり」となる。 セザンヌ、ピカソ、マティス 解説文を読んでみる。  具象の抽象を往復、そのための手法。  種明かしがなされた後で作品たちを観ると、改めて作家の意図をふまえた

静の中の動 -山口歴 個展@銀座 蔦屋書店(-10/17)+西武渋谷(2020)

 アーティスト・山口歴 個展「UNIVERSAL TRUTH@銀座 蔦屋書店(9/23-10/17) 一瞬の筆致を永遠に ここで、展覧会概要を。 2020年、渋谷での印象的な出逢い アーティスト山口歴の作品を、2020年、渋谷で鑑賞した。  街を歩いていて、渋谷西武のこのウィンドウを見て、吸い込まれるように会場に足を運んだ。  もちろんカメラなど持っておらず、古い型のiPhoneで思わず撮ったのみ。  グッズも販売されていた。  作品の前で足を止めて、というのでは

青野千穂 作品展[柔らかなカタチ]@銀座 蔦屋書店(-11/10)

 青野千穂 作品展「柔らかなカタチ」@銀座 蔦屋書店10/14 - 11/10。この展覧会案内を見て興味を惹かれた。  理由は、作品の素材だ。  実際の作品。  表面は布地で、中には綿が入って、という先入観を見事に裏切って「えっ」となる。発想の理由が知りたくなる。 ぐにゃりと形を変えそうな 今でも動きそうな、作品たち。  餅つきの体験。それがが原点となり、広げて広げて、このようなオリジナリティを生み出したのだなと知る。作品がいっそう、弾力をもったものに見えてくる。

名和晃平 Sandwich [Cell Field]@京都 蔦屋書店 (-11/07)

 彫刻家・名和晃平×名和晃平創設のクリエイティブプラットフォーム「Sandwich」による展覧会 KOHEI NAWA Sandwich「Cell Field」@京都 蔦屋書店 (2023年10/17- 11/07)。  開催済の展覧会ながら、写真とともに内容を。 名和晃平 × Sandwich モノクロの世界 本展は、説明が先にあってもいいかなと感じるので、趣旨から。 京都 蔦屋書店の展示作品 数ある展示作品の中で、ああ、とつながるのは、  この画像×細胞のかけ合