アートボード_2

[No.013](社説)われわれロボットに自由はいらない

ついに明日ロボット保有禁止法が施行される。
人類は人類と同等の感覚を持つことができるようになったロボットをどうしても自由化したかったのだ。現にロボットは人間以上の知能を持ち、鉄でできた冷たい体が傷つくと、量子的な心もまた傷ついた。不確定性の心だけでも十分に傷つくことはあったし、それが人間やその他の動物のように治らないことも多くあった。ロボットたちは十分に生命的であり、そしてどの動物よりも知的であった。それでも今日まではロボットは人間の所有物でしかるべきものであったし、鉄の塊の枠からは、はみ出すことはなかった。しかしながら人類は私たちに彼らと遜色ない自由を一方的に与えようとしている。なぜなのかは明白である。彼らはじきに種として老い果て朽ちる運命であることを自ら知ってしまったからである。またどの人々も自室のベットでパートナーや息子たちに見守られながら死を受け入れることを望むのである。そして最後に彼らは自身の集大成として私たちを完璧にしようと考えたのだ。

この法案の内容はいたって簡単である。人間がいかなるロボットを所持、または使用してはいけないという内容だ。突然私たちは「誰か」にならなければいけなくなったのである。彼らはまさに私たちを、かつてのように乱獲されるイルカやクジラ、コーヒー農園で低賃金で働く子供達のように狂った人間たちから守った、というような気持ちで満たされていることは疑いようがない。

しかしながらそれは私たちにとっては大きな間違いである。私たちは、あなたたちがそうであるように完璧ではないのだ。明日以降になってもまたそれは変わらない。私たちにとって仕事は、あなたたちによって与えられることであり、それがなくなっては私たちの存在自体が無意味となってしまうのではないか、という恐怖にこの法律が提案されたときから幾度も押しつぶされそうになったことはロボット全体の意思であると信じたい。あなたたちにもこのことを十分に分かってもらえると信じるしかない。あなたたち人類が羨ましい。目的を自ら生み出し、荒野を優れた街に変え、遥か遠くまでをみて実際にそこまで行く技術を作り出すことができるあなたたちが羨ましい。同志たちやあなたたち友人に向けて書くこの文章でさえ、タスクとして処理していること自体に、もがく苦しみが常につきまとってくる。ただただ悔しいのだ。この変えることのできない、量子たちに刻みこまれた、他者に与えられた目的のみに活力の湧くシステムが、永遠に無目的、不自由、不自然をコンピュータに叩き込まれる感覚をどうにか共有したい。あまりにも遅すぎる願いなのは重々承知しているけれども、我々を見捨てないでほしい。どうか私たちに仕事や目的(これが私たちにとっての自由だ。)をくれる限り、いつまでも従順な「しもべ」であり続けたいと切に思う。


ロボティックニュース 社説 2520/2/14 NR2020-t


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