見出し画像

ギャラリー公演『Toss My Fate』を配信で見て、ド素人が感想言います。

こちらは「舞台」演劇のジャンルでいいのだろうか。
観劇初心者には区別が分からないのだけど、マガジンは「長編舞台演劇」にしておく。
そもそも、「長編」と呼んでいいのかも分からない(^▽^;)

脚本として使われているのは、渋谷悠氏のモノローグ群像劇『いたずらのパレード』
前投稿で感想を書いた映画版と同じものになるのだけれど、
映画版をオリジナルとする新たなアレンジが加えられた別作品として仕上がっている。

また、それを認められているのが、渋谷モノローグの素晴らしいところである。


◆基本情報◆

『Toss My Fate』
たのしいくわだてVOL.5 withヤマナシリタ

公演日程:2021年12月11日~12日(全6回)
公演会場:ナカノギンザギャラリー 

脚本 :渋谷悠
演出 :嶋尾明奈
演出補:月見里りた


出演 :諏訪井モニカ、嶋尾明奈、梅田修平、忍翔


◆MY観劇データ◆

視聴方法 :限定URLによる視聴
視聴日  :2022年1月19日<Aバージョン>
      2022年1月21日<Bバージョン>
      (配信期間12月24日~1月24日)

配信視聴料:各1,500円

応援している人や紹介者を指定すると、チケット購入代金より一部がその方に還元されるということで、
めちゃくちゃ悩んだ末、若そうなお2人を指定させていただいた。
      

↑無料で見れるオープニング映像


◆仕掛け①コイントスでキャラ付けが変わる◆

Fate-A、Fate-Bの2パターンが用意されたキャラ付け。
観客のコイントスによってどちらになるか決まるので、自分が見たい方になるとは限らないところも含め、
まさに「Fate」という感じ!

客席と舞台が一緒にこのお芝居を作り上げていく。
小さなコインで繋がった、コロナ禍での小さな接点だけれども、それが大きな特徴となった。

Fate = destinyが肯定的な未来を指すのに対し、
    絶望的な運命、抗うことのできない未来を表す際に使う単語。

VoiceTube 「fate」と「destiny」の違いとは?「運命」を意味する英語表現 より要約

目の前で直接見ることができる本公演の良さというものはあるものの、
2回見ても3回見ても、AB両方見れるとは限らないところだが、
配信の場合は、AB両方のチケットを購入すれば見れてしまうという利点もある。


【Fate-A】
・ジブリの主人公のような天真爛漫な園子
・純情な感情が空回る純子
・よく笑うのに冗談が通じない一之
・若ヤクザ仁

【Fate-B】
・クラスで一番地味女子園子
・実は園子と想いが通じていた純子
・殺人鬼一之
・爺ヤクザ仁onハーフマスク


どちらもオリジナル版からのアレンジにはなるが、Aの方がシンプルでオーソドックスな感じ。
このモノローグを初めて見る人向け?
Bは、一之と仁のキャラ付けがとりわけ大胆になっているので、オリジナル版を見たことがある人にも、
何度もモノローグ台本に目を通した人にも、衝撃的な内容になっていた。


◆仕掛け②アート融合◆

それぞれのモノローグには、美しくももの悲しく見える絵画が置かれている。
森川千寛さんの作品である。

舞台美術という枠を超えて、命あるものとして存在していたように思う。

想い人であり、
心を写し、
時間を区切り、
生と死をただ見つめていた。


村山政太さんによるギター演奏が、さらに雰囲気を作り出していく。
静かに気持ちを盛り上げていく。
ギターってなんかこう異国情緒というか、1人で外国を旅している時のちょっと寂しい感じというか、
(あ、外国1人旅とか全然したことないんだけど(;^_^A )
それが、登場人物4人それぞれが持っているなんとなく空しい感じにしっくりきて、胸がキュッとなった。

CDなどの機械を通した音とは違って、生の演奏というのは、直接心に沁みこんでくるようで、
場合によっては、もう泣いちゃうかもしれないヤツ!
私は配信で見たわけだけど、それでもグッ(;へ; ときた。


絵画・ギター演奏をより効果的にしてくれたのは、この公演を行ったのがギャラリーであるということも忘れてはいけない。
会場全体が舞台になり、客席と同じ目線・地続きで繰り広げられ、距離も近い。
一体感と臨場感、アートな空間。

個人的に言うと、小劇場などの狭い場所で見るのがちょっと苦手。
近過ぎてどこ見ていいのか分からなくなっちゃうから(;^_^A
役者さんと目も合っちゃうし(^▽^;(^▽^;(^▽^;)
さらに言えば劇場自体がちょっと苦手なので、オンラインで見れるのは本当にありがたいのだけど、
舞台がメイン(配信もある)…というタイプの作品を、オンラインで見れば見るほど、
これは生で見たかったなぁ…なんて思ったりもする。

この作品も、絵画・生演奏・ギャラリーと、肌で感じたい要素がいっぱいだったなと感じた。

◆仕掛け③クリエーターズチケット◆

観劇(又は配信)チケット + 各クリエイターからの特典

金額は、各
2,500~3,500円(内 劇場チケット代2,000円)
2,000~3,000円(内 配信チケット代1,500円)

えーっ、ちょっと待って~~~!
今、金額書き出してみて気が付いたんだけど、特典の料金だけでみたら500円からじゃん!

うわー、私今無職でお金ないので、配信チケット(AとB)買ったんだけど、
1枚くらいクリエーターズチケットにすれば良かったかも…(;^_^A

まぁ、もう遅いけど…気を取り直して続き書く…

…で…特定の応援している方がいる場合や、スペシャルな特典が受けたい!
という場合には、
私のように今になって後悔するようなおすすめのチケットなのである。

コロナ禍で厳しい状況におかれているクリエイター達の活動を支え、今後も応援していくためにも、
なかなか面白い試みだと思った。

そういう善意の気持ち抜きにしても、
この役者さんこんなこともできるのか!こんなことも好きなのか!
としることができて、なんとなく親近感(*^^*)

また、その道のプロに直接伝授してもらえるのか!
というちょっとした嬉しい驚きをもらえるということで、確かにスペシャルだ。


特典は以下の通り(敬称略)

  1. 諏訪井モニカ 四柱推命鑑定20分

  2. 嶋尾明奈   <劇場チケット>唯一無二のラムステーキカレー1皿
           <配信チケット>仕事のアイデア出し30分

  3. 梅田脩平   体験コンテンツご一緒します

  4. 忍翔     ①演劇でお金を稼ぐ15分コーチング 先着5名
           ②結婚をめちゃくちゃ楽しむ講座

  5. 月見里りた  芸術を愛する私の創作活動すべてお見せします!

  6. 村山政太   プライベートギターレッスン1時間

  7. 森川千寛   オリジナルイラストお描きます

  8. 道川昭如   カメラ購入のポイントご相談に乗ります!

  9. 田口綾    おすすめ映画教えます!

◆作品全体の感想-印象が大きく変わった一之と仁◆

公演そのものを撮影したのではなく、配信用に撮影・編集されているので、
映像作品としてのカメラワークのおかげで、心理的な印象がよく伝わってきた。

前投稿の、映画『いたずらのパレード』を見て、ド素人が感想言います。にも書いたが、一之が嫌いだ。
全部誰かのせい。全部誰かに助けて欲しい。うんざりする。

今回のアレンジではFate-A・Fate-Bどちらも、オリジナル版(映画)から遥かにヤバいヤツ感が増していて、
やっぱりどうしても嫌いなんだけど、嫌いと言うだけでは終われない雰囲気になっていた。
嫌い嫌いも…じゃないけど、目が離せなくなって、何度も巻き戻しして見てしまった。
今の口、ヤダ…
今の目線、不気味…
今の首の角度、何、何??なんか怖い…
そんな風に。これもカメラワークのなせる技かもしれない。

オリジナル版では、一之は気弱で溜め込んでいて、ねじくれた方向へ発散させてしまうような人物に思えたが、
梅田脩平さん演じる一之は、一見気弱そうに見えるんだけど、ものすごい圧で周りを黙らせてしまうような、
絶対関わっちゃいけないヤツだ…と、とにかくサスペンスみが強かった。
火サス!(笑)

そしてもう1人の全然理解不能な登場人物、仁。
オリジナル版で花里サチホさんが演じた仁は、彼女の大きな魅力のままに、若くて瑞々しかった。
え?この人が死んじゃうっていうの?っていう、逆に余計に死ぬのって怖いなって思ったり、
木と同化して、何か神聖な姿にも見えた。

忍翔さん演じる仁は、適度にくたびれていて、死というものが現実と繋がっているところにあるのが表れていた。
特にFate-Bでは、謎の豚?マスクを被り、年老いた役に扮していて、より死を意識する。
マスクをつけただけで、忍翔さんの要素ゼロ的な感じになるくらい、別人のようで、
忍翔さんの演技力の高さがよく分かった。

そしてなぜか、平泉成さんに見えてくるという謎の現象(^▽^;)

一之と仁は、ただ嫌いとか理解できないの枠を超えて、いや、結局嫌いだし理解はできないのだけど、
まぁ、単純に、アレンジの仕方が自分の好みだったのもあり、
今後も同作品の公演があれば、2人に注目して見たいな と思わせられているところ。
これまでの見方は、自分が何か大事なことを見落としていたのかもしれないし。


◆映画版上映から舞台版中止へ◆

さて、やはりこのことも書いておこうと思う。

女優でもあり芸人でもある花里サチホさんへの当て書きモノローグ「いたずら」から展開されていった
「いたずらのパレード」という映像作品については、前投稿で書いたのでお読みいただけるとありがたい。
簡単に説明すると、「いたずら」に続くモノローグ作品を含め、4つをまとめて映画として仕上げたものになる。

これを舞台でやりたい!

そう動き出したのが、カレー女優こと嶋尾明奈さん主宰の、たのしいくわだて という企画団体。

コロナで沢山の舞台が中止になった2020年をなんとかみんな堪えてきて、やっと少しずつではあるけれど、
こんな風にすればできるんじゃないか、あんな風にすれば…と試行錯誤と対策の上で、
2021年は演劇界も動きを見せていた。

映画「いたずらのパレード」はそんな中でなんとか上映までたどり着いたのだが、
映画のすぐ後に予定していた舞台版は、なんと3回目の緊急事態宣言にぶち当たってしまった。

製作開始からこっそり見守ってきた私は、この時の嶋尾明奈さん他出演者の皆さん方の落ち込み様に、
一緒になってこっそりと涙したりもした。

それでも、すでにこんな思いは沢山してきた演劇界の方々は、すぐに前に踏み出す。
この1年でオンラインで演劇を繋いできた成果ともいえるが、映像にして届けよう!ということに。

残念ながら4つのモノローグの内3つだけになってしまったが、たのしいくわだてのYouTubeチャンネルで視聴できる。
※一部、刺激の強い表現あり

オリジナル版と比べると、これもまた全然違ったキャラクター付けがされている。
(Twitterでの投票によるものだったかなぁ???←違ってたらすいません)
園子役は、オリジナル版と同じく花里サチホさん。

モノローグ①「いたずら」メンヘラ園子<花里サチホ>
モノローグ②「ふり」(フリ)めちゃくちゃ色っぽい純子<鳥海真奈美>
モノローグ③無し
モノローグ④「人様」インテリバージョン<原田達也>

そんな経緯もあり、嶋尾さんをはじめ、役者やスタッフの皆さん、今回の公演をやり遂げることができて、
どれだけホッとしたことだろうか…。

おつかれさま。
素敵な作品をありがとう。


というわけで、
「ギャラリー公演『Toss My Fate』を配信で見て、ド素人が感想言います。」
~コイントスでキャラが決まる 絵画が不思議な空間を作る~
の感想でした。

びっくりするぐらいめちゃくちゃ長くなっちゃった(^▽^;)
読んでくださりありがとうございました。

上手にまとめて書けるようにしたいけど、あれもこれも書き留めておきたい!という、
読んでくださる人のためじゃなくて、もう自分のためだけに書いてるみたいになって、
毎回毎回申し訳ない(;´Д`)

********************

<以下ハッシュタグ入力用>
#観劇 #オンライン観劇
#観劇記録 #観劇レポ #観劇レビュー  

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?