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[恋愛小説]1981年の甘い生活... 2 /根津神社で

1981年6月上旬の土曜日の夜、飯田橋の焼き鳥屋の2階の宴会場で、優樹と美愛の結婚披露宴と言うより二次会的宴会が盛り上がっている。

もう既に、披露宴というより宴会の喧騒で、大声で無いと話も出来ない状態になっている。

午前中に文京区の根津神社で、優樹と美愛は神前結婚式を挙げた。
式には両家の両親や親戚が参列した。宴会には、双方の両親、親戚、友人、優樹の事務所の所員・美愛の銀行の行員ら約80人が招かれていた。

一時は地元の結婚式場でと両親達に言われたが、二人は自分たちで式も披露宴も、自分たちの身の丈にあったものにしたいと親たちを説得した。
二人の意思がまたしても堅いのを知ると、親たちは地元を諦め、根津神社の挙式と飯田橋の宴会になった。これで、二人は名実ともに、夫婦になった。優樹25歳、美愛24歳の時である。

それから1ヶ月後の7月上旬、美愛は地元の親友 佐久間慶子に手紙を書いている。

佐久間 慶子様
けいちゃん、先月の披露宴に来てくれた上にお祝いまで頂いてありがとう。
披露宴?宴会は凄かったね。
さて、今晩もゆーちゃんは事務所にお泊まりです。
マンションに一人で居ると、寂しいし心細い。ゆーちゃんの仕事は、聞いてはいたが、かなりハードです。設計スタッフはみんなそうだからと言われても、銀行で泊まり込みは無い。一週間に一度は泊まるのは、翌日打ち合わせがあるかららしい、明日も名古屋の公団に打ち合わせなので、今晩は泊まりでそのまま新幹線で名古屋入りらしい。お土産のういろうは美味しいですが…。
ゆーちゃんの仕事にあれこれは言わないが、手術しているので、心配しています。今月末から、夏休みを10日間取れるというので、久しぶりに茨城へ二人で帰省する予定です。予定が決まったら連絡します。それでは、おやすみなさい。

                          福野 美愛

そして1982年12月クリスマスの翌日に慶子に書いた手紙

佐久間 慶子様
お元気ですが、お手紙ありがとう。けいちゃもいよいよゴールで嬉しい。
いろいろとあると思うけど、二人で乗り越えてね。
さて今年のイブの夜は二人で静かに過ごしました。一昨年のクリスマスは、今でも二人の笑いぐさになっている。上野さんたちは、ジャストタイミングで部屋に乱入してきましたが、流石に去年も、今年もそれは無いので、安心してます。お陰であれから上野さんたちとは、仲良くさせて貰っています。テニスも一緒にしているし、来月はスキーも行くことに成っています。大学研究室の友達は皆さんいい方達なので、新入りの私もいろいろ助かっています。先日は、浜田山の安西さんのフィアンセの方に会った。実家は川崎らしいが、お互い同じ境遇なので、それから連絡を取り合っています。また友達が増えました。
正月はそちらに帰省する予定です。La Luceでお茶しましょ。
それでは、良いお年を。

                          福野 美愛



[恋愛小説]1981年の甘い生活 各話のタイトル一覧

1.Dolce Vita 甘い生活
2.根津神社で
3.青梅の生活
4.スカーレットのフィアレディ
5.小淵沢にて...
6.ハネムーンはNZ その1 秘められた目的
7.ハネムーンはNZ その2 美愛の憂鬱
8.ハネムーンはNZ その3 美人のツアコン
9.シェルティとボルボ
10.嬉しい知らせ



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