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あかね噺-第100席・落語ヴァース-感想

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鳥山明さんが亡くなられたというニュースはショックでした。
私が初めて読んだ漫画は、鳥山さんの漫画で、子供の頃はたくさん模写をしました。そこから絵を描くのが好きになって、それが今の仕事に繋がっているわけで、私にとっては原点の一人とも言えます。
あの日、近所のお兄ちゃんがジャンプを持ってきてくれなかったら、今の自分はなかったと思うと、本当に感謝しか無い。
絵の上手さとデザインの確かさは本当に憧れました、ご冥福をお祈りします。

◆あらすじ


週刊少年ジャンプ 2024年3月4日発売 14号 表紙・巻頭カラー

あかねは、狸賽の中で他の落語の下りを入れるなどの遊びを入れ、観客をどんどん乗せていく、しかし落語に夢中になるあまり残り時間が怪しくなる。

◆感想


2周年で巻頭カラーで表紙も良くて、さらにあかね噺の会の2回目やらPVやらいろいろ発表されて良かったんですけど、人気投票とかやんないのはちょっと残念。
そろそろやっても良い気がするけど、話作りに悪影響が出ると思ってやらないのかな?
本編に話を移すと、あかねの落語が絶好調だけど、大ポカしそうな感じで、いい塩梅でハラハラさせて終わる巻頭カラーにふさわしいお話でした。
今回は、落語ちゃんちゃかちゃん、について書いていきます。

落語ちゃんちゃかちゃん
今週は、あかねが落語ヴァースに入って噺の筋に拘らず、様々な落語のシーンを織り交ぜるということをやりました。
すごい発想で、ここまで噺で遊ぶかと感心したのですが、これは「落語ちゃんちゃかちゃん」にすごく似ています。
「落語ちゃんちゃかちゃん」というのは、落語の筋をなぞらず、いろんな落語のシーンを繋ぎ合わせたメドレー落語のような落語です。
ちゃんちゃかちゃんというのは、昔「演歌チャンチャカチャン」という演歌のヒット曲を繋ぎ合わせたメドレー演歌のレコードがあり、それの落語版だから、「落語ちゃんちゃかちゃん」だと思われます。

いろんな落語を繋ぎ合わせて笑いを取るという斬新な落語なんですが、この「落語ちゃんちゃかちゃん」を作ったのは、立川談志です。
道具屋で始まり、火焔太鼓になり、そこかららくだになってと、どんどん噺が変わっていく、話が変わるたびに笑いがおきるという落語です。
先週の話に、江戸の風や、スター・システムで談志を感じたんですが、今週の巻頭カラーで落語ちゃんちゃかちゃんのような事をやって、談志っぽさを感じるとは思いませんでした。

今回のあかねの「狸賽」は、まだ話の流れが分かりますが、談志の「落語ちゃんちゃかちゃん」は、話の筋を完全に破壊してるので、話を楽しむことは無理で、繋ぎ方や、噺のチョイスや、発想のセンスを見せるメタ的な要素で楽しませる噺なので、噺の難度も高く、客側にも落語の知識の高さがないと理解できないので、談志がこの噺をするのは、客層を見て出来ると感じないとやらなかっただろうと想像します。

今回の「狸賽」も、あかねのアドリブが、今までにあかねがやってきた噺のシーンを入れているので、読者にはアドリブが分かるので、すごく面白いのですが、あかねがやってない落語のシーンを入れられても、読者にはちんぷんかんぷんになっちゃいます。
この辺のアドリブの入れ方も、漫画的に上手だったと思います。

このお披露目は業界の注目する落語会なので、客のレベルは問題は無いと思いますが、落語的には大博打な訳で、朝がおがこんな攻めたアドリブを昇進試験でやらなくてもと焦るのも分かります。
自分の大一番で、後輩の心配が先に来る朝がおは良い兄さんですね。

しかしアドリブで乗り過ぎて、そんな朝がおのお披露目を台無しにしてしまいかねない状況です。
いくら落語がうまくとも、多くの落語家が協力してお客様を楽しませる寄席を主戦場にすると考えると、独りよがりな落語家では困ります。
泰然は、あかねの落語には一定の評価をしているようですが、時間を大きく超過し、朝がおのお披露目にケチを付けるようなことになれば、二つ目昇進は許さないと思います。

このシリーズでは、あかねのある種の生真面目さを克服する話だったのに、最後の最後でそれが裏目に出てしまう展開が面白すぎで、いつものあかねなら時間通りにきっちりやり切っていたと思うだけに、このピンチをどう切り抜けるのか、ってかそもそもあかねはそれに気付けるのか、どう落ちをつけるか楽しみです。


先週かかったコロナは治ったんですけど、後遺症なのか咳が止まらない日々が続いててしんどい。改めて健康が大事だねって事で、今回の感想はここまで。
でわでわー。



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