見出し画像

あかね噺-第102席・怒髪天-感想

第101席感想・感想リンク・第103席感想>

「龍が如く8」をクリア。ゲームとしてはよく出来てて、面白かったけど、お話が消化不良でガッカリ。
「龍が如く7外伝」と比べてストーリー自体は8の方が良いけど、クリア後の感想は、ラストの締めの良さで外伝の方が面白いとなるから怖いね。
FF7のリメイクの売上が芳しくないって話が流れてくるけど、LOST ・8で、SEGAもいずれスクエニと同じ様になっていく予感がした。
今回、痛切に感じたけど、8はファンの為のゲームになりすぎているかな?シリーズ物だから仕方ない部分があるけど、おなじみのキャラクターが大見得来て出てくるのを見せて喜ばせるだけで、キャラの深みが無くなってきてると感じた(主人公の春日でさえ)。
龍が如くチームは、テーマ設定、現代社会の切り抜き方が良いだけに、その扱いを半端にしてしまうと、中身が軽薄に感じ、キャラを見せ場を見るだけのゲームに感じてしまう。
魅力的なキャラ(今回だと山井)を作るのが上手いので、キャラの人気で勝負したくなるのは分かるけど、あんなに良いテーマを見つけてきたのに消化不良で終わらせたのは勿体なかったな。
SNS、宗教、核のゴミ、終活、贖罪と、どのテーマでも、十分に一本の作品として仕上げられたと思うけど、どれも中途半端になってた気もする。
龍が如くは、カルトなゲームだったので、シンプルな服服でも良かったけど、メジャーなゲームになって良い服を着てアクセサリーをジャラジャラ付けだしたけど、逆にカッコ悪くなってる気がしたな。
ノリの良さとフットワークが如くの良さなので、もう二回りぐらい小さいゲームでも良いんじゃないかって思ったな。そもそもすべての人を喜ばせるようなゲームじゃなくない?眉を顰める人の方が多いゲームで良くない?ってね。

◆あらすじ


週刊少年ジャンプ 2024年3月11日発売 15号

噺を終え、暴走したことを詫びるあかねに対して、気にせず泰全の落語を見てこいと言う朝がお。泰然が高座に上がり場の空気を制圧する。

◆感想


泰全の落語は飛ばされるかなと思ったんですけど、しっかり描写されそうで、どんな高座をするか楽しみですね。
今回は、上手いだけにならない・緊張と緩和、について書いていきます。

上手いだけにならない
あかねは、主人公なので落語が上手いし上達も早い。良い事だけど、傲慢にみえたり、周りの人を相手にしていないみたいにも見られてしまいます。
現に、ひかるなんかは、あかねにまともにライバルと見られていない事に腹を立てたわけで、目標に向かってまっすぐがむしゃらなのは良いのですが、周りが見えていないと、嫌な人物にも見えてしまいます。

今回、あかねの落語は、観客の反応から出来が良く手応えもあったと思います。しかし、一歩間違えれば、朝がおのお披露目を台無しにしそうだったのも事実です。
結果として、失敗しなかったので何も問題は無いのですが、それでもしっかりと朝がおに詫びる所に、あかねのキャラクターの魅力があると感じます。

小さいシーンですが、こういう事であかねの人となりや応援しやすいキャラクター性を出しているところが素晴らしいと感じました。
あかね噺は、話は地味になりがちで、丁寧に繋ぐシーンが多い漫画なんですが、こういう細部にキャラクターがしっかり描写されている事が、人物の骨格を浮き上がらせ、話に奥行を加えていると感じます。

また朝がおの、あかねへの対応も、あかねには強気に振る舞いつつも、本心ではちょっと困ってるところなんかは人間的な魅力を感じました。
自分にとっての大一番を前にして、なお、他人に気を使えるのは、気働きがしっかり身についている証拠なので、今回のお披露目をきっかけに大きくなって欲しいと思いました。
初登場時の態度やデザイン的に、人気の出そうなキャラじゃないと思っていましたが、段々と応援されるキャラクターに成長してきた感じがします。

緊張と緩和
泰全が高座に上がると、客席の雰囲気が一変し、重たい空気になりました。泰全は阿良川四天王としての威厳を示し、場を支配しました。声を出せない状況を作ることにより、客の集中力を自分に向けさせる。
漫才師でも、客席が騒がしく、真剣に聞こうとしていない場合は、わざと小さい声でネタをやることで、客が聴こうとしないと聞こえないようにして、聞く態度を促すことと聞いたことがありますが、泰全は登場するだけでそんな雰囲気を作ってしまうのはすごいです。

とはいえ、こんな感じでどうやって笑わせるの?って思うのですが、落語には笑わせる噺だけじゃなくて、聞かせる噺というのも結構あります。
例えば人情噺なんかも、笑いどころはあるものの、じっくりと話を聞く落語ですし、怪談噺なんかは、逆に聞いて怖がる噺です。

桂枝雀の言葉に、「笑いとは緊張と緩和である」というのがあります。
この理論は、聞き手にストレスを掛けてそれを少し抜いてやると気が緩んで笑いが起きるみたいな事です。
枝雀さんの落語は、緊張を強いるような噺じゃなくひたすら笑わせ続けるような落語でしたが、泰全が客に極度の緊張をかける所を見て、この緊張と緩和を連想しました。

では泰全はどんな落語をするのか?を考えると、以前に聞いた時に「緊張と緩和」だと思った落語を思い出しました。
その落語は「鼠穴」と「柳田格之進」です。どちらも笑うところはほぼ無いけど、ストーリーに聞き入ってしまいます。主人公の境遇にイライラしたりハラハラしたりがあって、途中はストレスを感じるけど、最後に主人公が多少救われる事で、ホッして気持ちよくなれる構造の話で、これらの噺以外にも、こういった構造の噺はいくつかあります。
泰全も師匠と自分の間で苦労していて、極度の緊張を常に強いられているような落語家なので、こういう噺がすごく似合うような気がしました。
「鼠穴」は私の好きな落語なので、やってくれたら嬉しいんだけど、どんな噺をするか楽しみです。


最後に、全生が登場して終わりましたが、あかねの二つ目を止めるためだけにわざわざ出張ってくるの?って感じです。
全生は、出番やインパクトはあるものの、どういう人物かはっきりとは分からないので、どういう信念で、何を考えているのか明確になると、お邪魔するためだけの便利な舞台装置に見えるのが解消されると良いな。
お披露目にはいろんな人が居ますので、そのへんも踏まえて今後の展開が楽しみですね。感想はここまで、でわでわー。



この記事が参加している募集

マンガ感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?