只の日本人、味噌ラーメンを食べる

――ラーメン食いたい。

草薙悠弥はそう思った。

(なにラーメンにするか……)

醤油ラーメンか?
味噌ラーメンか?
塩ラーメンか?

草薙は迷う。

そして――

「味噌にするか」

草薙は味噌ラーメンを食べる事にした。
理由は無論、なんとなく。

草薙は味噌ラーメンをとりだした。

(有名なラーメンだな)

ここでいう有名なラーメンとは高級なものに非ず。
多くの庶民が食べるような大衆向けラーメンをさす。
一個百円位のものだ。

草薙は湯をわかした。

(いいな)

ラーメンの湯をわかす時のちょっとしたワクワクが草薙は好きだった。

これから暖かいラーメンが食べられるぞ、という仄かな満足感。
沸き立つ湯気が暖かさを運んでくれる感じがするのだ。

(湯がわいたな)
暖かい感じだ。
草薙は沸いた湯に麺を入れた。

しばらく湯につける。
熱い湯につけられた麺がほぐれていく。
(いいな)
麺が徐々にほぐれていく、味噌ラーメンを食べる時間が迫っている。

(そろそろいいか)
ラーメンがほぐれた。

草薙はラーメンの椀を用意する。
椀に味噌ラーメンのスープの素を入れた。

今回草薙が食べる味噌ラーメンの素は粉末状である。

そしてその上に、湯を入れた。
スープの素と湯が混ざる。
醤油ラーメンの香ばしい匂いが沸き立つ。

(うまそうだ)

味噌ラーメンの期待が高まる。

そして、その中に麺を入れる。

(味噌ラーメンだ)

味噌ラーメンが出来た。

(うまそうだ)
味噌ラーメン。
味噌という日本の伝統調味料を使ったラーメン。

草薙は箸に麺を絡ませた。

味噌ラーメンの旨いスープが染み込んだ麺を食べる。

(うまい)

麺にスープが染み込んでいる。
その麺がうまいのだ。
醤油のテイスト、様々な調味料が混ざったラーメン。
そこに庶民の贅沢を感じるのだ。
そして、草薙はスープを飲む。
(味噌ラーメン……スープがうまい)
基本的に味噌ラーメンのスープとはただ味噌を入れるとゆうわけではない。
様々なものがあり、それが味噌ラーメンのスープの旨みを作り出しているのだ。
味噌の他にも
食塩。
豚の旨み(ポークエキス等)。
魚介類の旨み(カツオエキス等。
その他香辛料やエキス等。

様々な調味料が加わっているのだ。

草薙が買ったのは庶民的価格のラーメン。
だがそんな中にもたくさんの旨みがあるのだ。

(感謝)

草薙は仄かに感謝した。

(うまいな)

味噌ラーメン。やはりうまい。
味噌は古来からの調味料の一つ、日本人に馴染みのある味だ。
その味噌の味をベースとしたラーメン、やはりうまいのだ。

(いいな)

草薙が食べてるのは一つ百円位のものだ。
大量生産品故に味付けについては大雑把であったり、人工的なものを感じる向きがないでもない。だが

それもまた良し。

その味の中に庶民の贅沢さを感じる向きがないでもない。
食が進む。

麺を食べる。
スープを飲む。
麺を食べる。
スープを飲む。

それを繰り返す。
そして、ラーメンを完食した。

(うまかった)

草薙はラーメンを食べた。
体が暖かい。
活力が沸いてくるような心地だった。
普通の味噌ラーメン。だが、

――それもまた良し