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只の日本人、茶を飲む

――茶を飲もう。

草薙はそう考えた。
茶は良い。
日本の伝統の一つだ。

(まだあったかな……)

お茶があるか確認する。

(……あった)

一安心。
草薙は茶を熱した。

熱した後、茶を注ぐ。

音を立て、茶の湯が陶器を満たしていく。

茶から湯気がたった。
(少し熱いか……)
それもまた良し。
熱い茶は好きだ。冷たい茶も好きだ。
体を温めるといい事が多い、多少熱くてもなぁに、それも構わないと草薙は考えた。
茶の匂いが、ほのかに鼻孔をくすぐる。

(いいな……)

茶の匂いは嫌いではない。
好きというのは多少おおげさな気もするが、好きといえば好きである。
日本人だからか、やはり茶は落ち着くのだ。

茶を入れた陶器を持つ。
湯の熱が伝わる。
そして口に運ぶ。

すーーっと、熱い茶が体を温めていく。

(いいな……)

それが茶を飲んだ今日の感想だった。
うまいとはいわない、最高だともいわない。
だが、いいなという感情が浮かんだ。

――無論、なんとなく。

今日も草薙は茶を飲んだ。

日本の――お茶。

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